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2016年02月27日16:36

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青山の癒しの夜

昨晩、いつもは縁のないオッサレな街のオッサレなスポットに行ってきた。

マイミクの長谷川泰子✩YACCO✩さんがそこでライブを演ったんでね。

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仕事がハネた後、速攻で最寄りの銀座駅に向かい地下鉄に乗り込んだ。

で、外苑前で降りて、南青山3丁目交差点に出た。

で、なんとなく異空間に迷い込んだ感覚を味わった。

なんていうかなあ、もちろん職場の近場の銀座も華やかな街なんだけど。

青山という街はそれとはまた違う雰囲気のファッショナブルでラグジュアリーなエリアなんだよ。

で、僕の普段の生活はそういうのにはまったくご縁がないんでねえ。

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その3丁目交差点を左に折れて、これまたオッサレな店々を眺めながらストリートをちょっと行ったところに目指すライブスポットがあった。

南青山MANDARA

これがまたオッサレでねえ。 こういう空間。

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で、係りの人に案内されて、丸テーブル席の一つに座ったところで。

僕はすっかり緊張して身を固くしてしまった。


僕の普段の日記を読んでくれてる方は、こいつほんとにノーテンキな呑んべだなと思っておられるんじゃないかと思う。

たしかに今週の自分の行状を省みても。

月曜日はヲタ仲間の総帥と新宿バルト9で今年第4号のアニメ鑑賞作戦を展開し。

その後、恒例のサイゼリヤで白のマグナムとベルデッキオのボトルを空けつつ。

「やけに黒い設定だった」、「まるでマドマギだ」といった濃い会話にふけった。


翌火曜日は家族と海鮮丼や餃子(すごい組み合わせだ)の食卓を囲んだものの。


水曜日は30数年来の相棒のろまさんと馴染みのうどん屋でいいちこのボトルを空けつつ。

お互いの仕事のことやら家族のことから、最近読んだ小説のことまでとりとめなくダベッた。

で、木曜日は職場の同世代で同じようなポストの仲間二人と馴染みの蕎麦屋で黒霧のボトルを2本空けつつ。 典型的なリーマン職場話に興じた。


で、こういう席での僕は自分で言うのもなんだけど、屈託のない陽気なイタリアンオヤジなんだけどさ。

それはあくまで気のおけない仲間と一緒にいるときだけでねえ。

いったん見知らぬ人たちの中に入ると、人見知りのチキン野郎になっちゃうんだよ。


ましてや、昨日の南青山MANDARAはねえ。

お客さんは9割方が淑女の皆さんでお友達連れが大半。

残り1割の紳士の皆さんはその淑女方のパートナーで、しかもあらかたがコーデュロイ、ジーンズ、セーター系のカジュアルな服装でねえ。

そういう中に仕事明けのよれたスーツとネクタイの野暮な格好で一人紛れ込んで。

淑女方が座ってる丸テーブルの一角に案内されたわけでさ。

そりゃ、カチンコチンにならざるをえなかったわけだ。


で、サービスのジントニックを舐めつつ、早く開演してくれないかなあと待ってたら。

待望のステージが始まった。


そのステージの印象を一言で言うと。

佳い音楽は時間の流れを忘れさせるということだ。

だってさ、これで第一部を終了して休憩時間に入りますというアナウンスがあったとき、僕はおいおいこれだけでもう終わりかよと思っちまったんだけど。

実際は40分以上演奏が続いていたんだ。

これは普通の交響曲1曲分の長さで、そりゃあ、プレイヤーもオーディエンスもブレイクタイムが必要になるわけだ。


その第一部はラテン音楽の有名どころのオンパレードだった。

マシュケナダ、イパネマの娘、コンドルは飛んでゆく、花祭り、その後サックスの野村亮太さんのコーナーを挟んで最後が恋心。

最初の2曲は言わずと知れたボサノヴァの名曲。

で、これが新鮮だった。

というのも、僕にとってはボサノヴァのヴォーカルというのは、声量よりも囁くような雰囲気を大事にする印象がある。

特に「イパネマの娘」は色んなカヴァーがあるけど、僕にとっては一も二もなくスタン・ゲッツのサックスメインのあの一発なんだ。

一方、YACCOさんはなにしろオペラのソプラノが元々の本業だった人だからねえ。

ビゼーは得意として、アントニオ・カルロス・ジョビンはどうなのかなあと思ってた、正直なところ。

それがね、しっかりジョビンのイパネマの娘をしてたんだよ、YACCO流で。

やっぱあれなんだなあと思ったよ。 ある道で一流になると、別の道にその流儀を持ち込んでも通るんだなあと。


YACCOさんのソプラノがさらに冴えたのは3曲目の「El Cóndor Pasa」だった。

よく知られているように、このフォルクローレはアメリカのサイモン&ガーファンクルがアレンジして大ヒットした。 釘よりトンカチの方がいい、という奇妙な英語の歌詞でね。

で、YACCOさんはそういうアメリカンフォーク調にはしないで、アンデスの民謡を再現することに力を注いだように思う。 ソプラノを駆使してね。 で、それは成功していた。 

なんていうか知らないけど、原曲ではペルーの笛が響き渡るあのパートをソプラノで熱唱してねえ。  素晴らしかった。

次の「花祭り」もまったく同じく、ソプラノとアンデスのフォルクローレの見事な融合だった。


第一部最後の「恋心」は打って変わってタンゴの名曲。

YACCOさんはこの日最初で最後の日本語バージョンで歌ってくれたんだけどさ。

これは懐かしかった。

というのも、自分が子供の頃、親父がさ。 これのレコードをしょっちゅう鳴らしてたんだよ。

有名な菅原洋一のでなく、誰だったか女性の大御所の歌手だった。

で、YACCOさんの声量豊かなヴォーカルを聴いていて、その子供の頃の記憶、リビングの絨毯とかステレオセットとかの情景が蘇ってきたわけだ。


YACCOさんは2年ちょっと前にスペインに演奏旅行に出かけたことがあってね。

そこでラテン音楽の魅力の虜になって、自分もこの音楽のコンサートを開きたいと思うようになったそうだ。

これ、ネットで拾った写真なので確証はないんだけど、たぶんスペインでのステージじゃないかと思う。 間違ってたらごめんなさい。

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でも、なにしろ自分のオリジナル曲が133曲(!)もあるんでさ。

やっぱりコンサートはそっちのほうが中心になる。

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そういう中で今回のステージが実現したのは、才能ある若手のミュージシャンとの出会いも大きかったんじゃないかと想像する。

サックスの野村亮太、パーカッションの吉本ヒロ、ピアノの須藤慎一郎。

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この三人がねえ、揃ってテクニック抜群でかつ爽やかなキャラなんだよ。

僕よりちょっと年上のYACCOさんが4人の平均年齢40歳と二回ばかり強調してたけど。

まあ、逆算すると、それなりに場数を踏んでいて、そうはいってもまだ若いという脂の乗ったミュージシャンたちではないかと推察する。

で、YACCOさんはね、そういう若手のミュージシャンと息を合わせることで、自分も若くなったんじゃないかなあ。 

実際のプレイ、その合間のやり取りを見て聴いていてそう思った。


その中の一人、サックスの野村亮太さんが第一部の後半でソロを取った。

で、僕はその中の一曲、ジョージ・ベンソンの「変わらぬ想いNOTHING GONNA CHANGE MY LOVE」の甘くかつ軽やかな演奏を聴いて。

このフュージョン系のサックス奏者をちょっと思い出した。 野村さんの方が骨太だけどね。

The Moment    Kenny G



https://www.youtube.com/watch?v=447yaU_4DF8


う〜ん、第一部だけで随分書いちゃったな。 これでもけっこう絞っていて、ほかにもいくらでも書きたいことはあるんだけど。


ということで続けると。

そも、YACCOさんとはどういう人か。 こういう人です。

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ほんとは昨日のステージの模様を貼りたかったんだけど、撮影禁止(当たり前だ)だったんで。

上の2枚はネットで拾った別のステージのYACCOさんです。

で、二つとも丹田に力を込めるような場面なので、ちょっとこういかめしいオペラ歌手っぽい表情になってるけど。

僕はYACCOさんの魅力の本源はその可愛らしさにあると思っている。

これは2010年3月25日に新宿のライブハウス、ミノトール2で初めてそのステージに接したときからの一貫して変わらない印象だ。


その記念すべきときを書いた当時の日記からの抜粋。


わあ、本物のYACCOさんだ。 

で、第一部のクラッシック・オマージュがスタートした。

最初はG線上のアリア。 いいなあ。 きれいなソプラノだなあ。

ここで、僕のYACCOさんの第一印象を言うと、実は・・・言っていいのかな・・・

まあ、いいか

つまり、なんて可愛い人なんだろう、というのが率直な感想でした。

これって、アイドル歌手とかそういうのならいいんだろうけど、もしかしたらすごく失礼にあたるのかもしれないので、最初に謝っておきますが、でも、僕の実感はそうでした。

歌声と表情、それから歌の合間のトークの声も、全てが可愛いなあ、という印象だったんだ。

                                     2010年3月の日記より


あれから6年。 その間、YACCOさんのステージに参加したのは、今回が4回目という不肖のファンなんだけど。

YACCOさんの可愛らしさにはますます磨きがかかってきてて、それには今回共演した若者たちも貢献してるんじゃないかと思ったわけだ。


で、第二部だけど。 こっちもよかったよ〜

僕は第一部でもう完全に癒されちゃって、最初のギクシャクが雲散霧消しちゃってさ。

ブレイクタイムにジントニックのお代わりをして、ゆったりリラックスしてステージを楽しんだ。

こっちはどっちかというと妖艶系の歌唱が主体。 

しかもねえ、世界各国の歌満載。

これを全部オリジナルの言葉で歌っちゃうんだから、YACCOさんは語学の天才でもあるゴルゴ13並みだ。

最初がオブリヴィリオン。 タンゴね。

これのイントロで、フランス帰りの野村亮太さんがなにかの詩を朗読した。

で、なにかと思ったら、セルジュ・ゲンスブール作詞から取った一節なんだって。

なにやら女を振る話らしい。 僕はこの人がわりと好きでね。

さすが世紀の女たらしが書いた詩だけあると思った。

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で、次に同じくピエソラの「リベルタンゴ」。

で、ジリオラ・チンクェッティのカンツォーネ「愛は限りなく」と「夢見る想い」があり。

最後はロシア民謡の「黒い瞳」とくるんだから、もうねえ。


で、最後にアンコールの一曲(タイトル忘れたけどよく知ってる曲)で手拍子して。

なんというか、非常に月並みな表現だけど、癒された。

で、大満足して会場を後にしようと思ったら、YACCOさんが出口にいてくれて、ご挨拶をすることができた。

なんというか、かのアルバート・アイラーの言葉を実感した夜だったよ。

音楽は宇宙の治癒の力である。 Music Is The Healing Force Of The Universe.
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