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2015年06月17日23:28

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経済談義第11回:金融機関の国債保有について(3)

経済談義シリーズ第11回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。



前々回、前回と、日本の民間金融機関が国債売却に消極的である理由を書いてきましたが、この部分についてはもうひとつ重要な論点があるのでここで説明しておきたいと思います。それは、資金の移動先の問題です。


将来、銀行などの金融機関が、何らかの理由でまとまった量の日本国債を売却したとしましょう。国債を売ってたとえば1兆円の資金を得たとして、それだけ多額のお金を、まさか現金のまま金庫に入れておくわけにはいかないでしょうから、何らかの金融商品を購入して、そのお金を資産の形に変えておく必要があります。


この際、購入する商品はなんでもよいわけではなくて、以下のような条件を満たしていなければなりません。

1. 流動性。莫大な資金の受け入れに足るだけの流通量があること。たとえば数兆円というような、非常に多量の商品を市場で購入できる必要があります。

2. 安全性。仮にも「安全資産」と信じられている国債から資金を移動するわけですから、価格が乱高下して大損するような商品は購入できません。

3. 保管性。多額・大量の商品を、現実的なコストで保管・維持できること。

上記のような条件を満たすことはとても難しくて、たとえば外国の国債を買うにしても、日本国債に比肩できるほどの流通量を持つのは米国債などごく一部に限られます。
石油や穀物などの実物資産は、実際に保管することを考えると購入対象にはなりえません。


資金の移動先が見つからなければ、現実問題として銀行は国債をおいそれと売りに出すわけにはいかない、そういうことになります。
この高いハードルがあることが、国債が市場に投げ売りされることを食い止める大きな歯止めとして働きます。

とはいえ、もし万一日本政府と日銀に対する信任が揺らいでくれば、国債保有を見直すことがないとは言えませんから、逆に言えば、上記の条件を満たす移動先がもし見つかれば、それは市場が動き出すきっかけになる可能性があります。

この点は、今後の事態の推移とその時期を見通すうえで、とても重要なポイントになっていくでしょう。



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