mixiユーザー(id:14438782)

2008年06月21日22:37

142 view

連続テレビ小説と大河ドラマの脚本

 見づらいと思いますが、下の表はだいたい同時期の連続テレビ小説と大河ドラマとその脚本家を併記したものです。
 注意すべきなのは、初期の連続ドラマ小説と『おしん』『君の名は』『春よ、来い』の期間が1年間であることと、『琉球の風』『炎立つ』『花の乱』の放送期間が変則的であわせて2年間になることでしょうか。
 ちなみにソースはウィキペディアです。そこらへんはまあ、ご勘弁ください。
 近年、連続ドラマ小説から大河ドラマに脚本家が起用されることが多く、その傾向はいつごろのものかと思って表を作ってみました。
 われながら暇な人間の考えることはよくわかりませんね、ええ。

娘と私       山下与志一
あしたの風     山下与志一
あかつき      山下与志一       花の生涯    北条誠
うず潮       田中澄江        赤穂浪士    村上元三
たまゆら      山田豊         太閤記     茂木草介
おはなはん     林謙一         源義経     村上元三
旅路        平岩弓枝        三姉妹     鈴木尚之
あしたこそ     橋田壽賀子       竜馬がゆく   水木洋子
信子とおばあちゃん 井手俊郎        天と地と    杉山義法、中井多津夫、須藤出穂
虹         田中澄江        樅ノ木は残った 茂木草介
繭子ひとり     高橋玄洋        春の坂道    杉山義法
藍より青く     山田太一        新・平家物語  平岩弓枝
北の家族      楠田芳子        国盗り物語   大野靖子
鳩子の海      林秀彦         勝海舟     倉本聰、中沢昭二
水色の時      石森史郎        元禄太平記   小野田勇、小幡欣治、土橋成男
おはようさん    松田暢子
雲のじゅうたん   田向正健        風と雲と虹と  福田善之
火の国に      石堂淑朗
いちばん星     宮内婦貴子       花神      大野靖子
風見鶏       杉山義法
おていちゃん    寺内小春        黄金の日日   市川森一、長坂秀佳
わたしは海     岩間芳樹
マー姉ちゃん    小山内美江子      草燃える    中島丈博
鮎のうた      花登筐
なっちゃんの写真館 寺内小春        獅子の時代   山田太一
虹を織る      秋田佐知子
まんさくの花    高橋正圀        おんな太閤記  橋田壽賀子
本日も晴天なり   小山内美江子
ハイカラさん    大藪郁子        峠の群像    冨川元文
よーいドン     杉山義法
おしん       橋田壽賀子       徳川家康    小山内美江子
ロマンス      田向正健        山河燃ゆ    市川森一、香取俊介
心はいつもラムネ色 冨川元文
澪つくし      ジェームス三木     春の波涛    中島丈博
いちばん太鼓    井沢満
はね駒       寺内小春        いのち     橋田壽賀子
都の風       重森孝子
チョッちゃん    金子成人        独眼竜政宗   ジェームス三木
はっさい先生    高橋正圀
ノンちゃんの夢   佐藤繁子        武田信玄    田向正健
純ちゃんの応援歌  布勢博一
青春家族      井沢満         春日局     橋田壽賀子
和っこの金メダル  重森孝子
凛凛と       矢島正雄        翔ぶが如く   小山内美江子
京、ふたり     竹山洋
君の名は      井沢満         太平記     池端俊策、仲倉重郎
おんなは度胸    橋田壽賀子       信長      田向正健
ひらり       内舘牧子
ええにょぼ     東多江子        琉球の風    山田信夫、水谷龍二
かりん       松原敏春        炎立つ     中島丈博
ぴあの       冨川元文        花の乱     市川森一
春よ、来い     橋田壽賀子       八代将軍吉宗  ジェームス三木
走らんか!      金子成人
ひまわり      井上由美子       秀吉      竹山洋
ふたりっ子     大石静
あぐり       清水有生        毛利元就    内舘牧子
甘辛しゃん     宮村優子
天うらら      神山由美子       徳川慶喜    田向正健
やんちゃくれ    石原武龍
すずらん      清水有生        元禄繚乱    中島丈博
あすか       鈴木聡
私の青空      内舘牧子        葵徳川三代   ジェームス三木
オードリー     大石静
ちゅらさん     岡田惠和        北条時宗    井上由美子
ほんまもん     西荻弓絵
さくら       田渕久美子       利家とまつ   竹山洋
まんてん      マキノノゾミ
こころ       青柳祐美子       武蔵 MUSASHI  鎌田敏夫
てるてる家族    大森寿美男
天花        竹山洋         新選組!    三谷幸喜
わかば       尾西兼一
ファイト      橋部敦子        義経      金子成人
風のハルカ     大森美香
純情きらり     浅野妙子        功名が辻    大石静
芋たこなんきん   長川千佳子
どんど晴れ     小松江里子       風林火山    大森寿美男
ちりとてちん    藤本有紀
瞳         鈴木聡         篤姫      田渕久美子
だんだん      森脇京子
つばさ       戸田山雅司       天地人     小松江里子

 初めて連続テレビ小説と大河ドラマの脚本を執筆したのは平岩弓枝です(1967年度『旅路』と1972年『新・平家物語』)。
 いきなりきれいな連続テレビ小説から大河ドラマへの移行パターンですが、まだこの時期には例外的な事例です。
 杉山義法は、1969年『天と地と』・1971年『春の坂道』と大河ドラマを連投した後、1977年度後期『風見鶏』・1982年度後期『よーいドン』と連続テレビ小説も書いています。
 山田太一は、1972年度『藍より青く』の後、1980年『獅子の時代』を執筆しています。平岩弓枝と同じパターンですが、ちょっと間があいています。
 橋田壽賀子は、1981年『おんな太閤記』の後、連続テレビ小説に転じて1983年度『おしん』、大河に戻って1986年度『いのち』・1989年度『春日局』、ふたたび連続テレビ小説1992年度前期『おんなは度胸』・1994年度後期から1年間『春よ、来い』。連続テレビ小説と大河ドラマだけでも大車輪の健筆をふるっています。
 冨川元文は、1982年『峠の群像』の後、連続テレビ小説で1984年度後期『心はいつもラムネ色』・1994年度前期『ぴあの』を書いています。
 つまり、1980年代前半ぐらいまでは両方の脚本を書いているといっても、たまたまそうなっただけであって、互いの関係になんらかの規則性は見当たりません。そもそも、この時期に双方の脚本を執筆している例はごく少数です。

 前項の時期とはやや重なりますが、1980年代には連続テレビ小説から大河ドラマへの流れが生じてきます。
 1980年代の10年間のうち、連続テレビ小説を担当した脚本家が大河ドラマを執筆した例は3つです。
 小山内美江子は、1979年度前期『マー姉ちゃん』・1981年度後期『本日も晴天なり』の後、1983年『徳川家康』・1990年『翔ぶが如く』。
 ジェームス三木は、1985年度前期『澪つくし』の後、1987年『独眼竜政宗』・1995年『八代将軍吉宗』・2000年『葵徳川三代』。
 田向正健は、1976年度前期『雲のじゅうたん』・1984年度前期『ロマンス』の後、1988年『武田信玄』・1992年『信長 KING OF JIPANG』・1998年『徳川慶喜』。
 また、この後、連続テレビ小説と大河ドラマの脚本を執筆する場合は、かならず先に連続テレビ小説を担当するようになっています。

 1990年代は、前述の小山内美江子・ジェームス三木・田向正健の他、さらに2人の脚本家が連続ドラマ小説の後に大河ドラマへ起用されています。
 竹山洋は、1990年度後期『京、ふたり』の後、1996年『秀吉』・2002年『利家とまつ』。連続テレビ小説に戻って、2004年度前期『天花』。
 内舘牧子は、1992年度後期『ひらり』の後、1997年『毛利元就』。連続テレビ小説に戻って2000年度前期『私の青空』。
 脚本家は5人ですが、田向正健が2本書いているので作品としては6本になります。
 連続テレビ小説から大河ドラマへの流れはますます顕著になってきたといえるでしょう。

 さて、2000年以降の大河ドラマの脚本家は2003年『武蔵 MUSASHI』の鎌田敏夫と2004年『新選組!』の三谷幸喜以外、すべて連続テレビ小説を執筆してから起用されています。
 井上由美子は、1996年度前期『ひまわり』の後、2001年『北条時宗』。
 金子成人は、1987年度前期『チョッちゃん』・1995年度後期『走らんか!』の後、2005年『義経』。
 大石静は、1996年度後期『ふたりっ子』・2000年度後期『オードリー』の後、2006年『功名が辻』。
 大森寿美男は、2003年度後期『てるてる家族』の後、2007年『風林火山』。
 田渕久美子は、2002年度前期『さくら』の後、2008年『篤姫』。
 小松江里子は、2007年度前期『どんど晴れ』の後、2009年『天地人』。
 ここにきて、連続ドラマ小説から大河ドラマへの流れはほぼ固定化されたといっていいと思います。例外である鎌田敏夫・三谷幸喜はすでに一般にも知名度の高い業界の大ベテランでして、連続ドラマ小説を経由せずに大河ドラマの脚本をオファーされるには、よほど圧倒的な実績が必要といえます。

 予期した以上にはっきりした結果が出たので調べた当人も驚いていますが、連続テレビ小説が大河ドラマの予選のようになっているのは、いささか釈然としません。
 平日朝のホームドラマと日曜夜の歴史ドラマは、はたして同じように扱えるものなのか?
 もちろん、シナリオ・ライティングの技術のかなりの部分は共通でしょうし、起用に際しては大河ドラマへの適性も考慮されるでしょう。実際、連続テレビ小説と大河ドラマをきちんと描き分けた脚本家も多いです。
 しかし、一方でよく言われている大河ドラマのホームドラマ化の原因は、こうした起用法にもあるようと思います。あるいは、大河ドラマをホームドラマ化するために、こうした起用法が採られているのかもしれません。

 最後にプロデューサー(NHKでのクレジットは制作統括・制作)について触れておきます。
 表からは省きましたが、プロデューサーについても調べてみました。
 プロデューサーが連続テレビ小説から大河ドラマに起用されているにすぎず、そのプロデューサーが馴染みの脚本家を起用しただけであったなら、脚本家だけ調べてもあまり意味がないからです。
 実は1990年度以前の連続テレビ小説のプロデューサーがわからなかったのですが、調べた限り連続テレビ小説と大河ドラマにまたがって同じ脚本家を起用しているのは、『てるてる家族』『風林火山』の若泉久朗と『どんど晴れ』『天地人』の内藤愼介、ごく最近の2例のみでした。
 脚本家の起用法を制作体制も踏襲しつつあるということでしょうか。
 ドラマ制作の現場というのは私にはまるでわかりません。個人的にはもっとバリエーションがあった方がいいようにも思えますが、そんなことは杞憂でおもしろいドラマを制作できる仕組みになっていることを希望するばかりです。
 どちらも好きなドラマ枠ですので。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2008年06月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

最近の日記