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2006年09月22日23:10

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ウィーン美術アカデミー名品展

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の、『ウィーン美術アカデミー名品展』を見てきました。

今回のチケットは・・・。
私ゃ、初めて懸賞というものに当たったのだよ。
新聞の懸賞に応募して当てた!まぁ、50組100名様ご招待だったので、数も多かったと思うのだが・・・(^_^;)。
応募葉書を4枚書いたのですが、その全部に『クラナハが見たいです』と書いた私・・・。
多分、「こいつは、よっぽどクラナハが見たいんだな・・・」と哀れんで当ててくれたんだと思う・・・。
でも、本当に、それほど、クラナハが見たかったんだ。

そんな私のお目当てのクラナハ(父)。4点来てました。
有難う〜。クラナハは板絵なんです。ご存知の方も多いと思いますが、板絵は、湿気に弱く、湿気ると、曲がったり、膨張して割れたりするんだそうです。だから、あんまり貸してくれないの・・・。

『ウィーン美術アカデミー』。この名前でピンと来た方も多いコトでしょう!
そうです。ヒトラーが2回受験して、2回スベった美術学校です・・・(^_^;)。
ヒトラーは、建築学科を受けたのだそうだ。ずっと絵画学科だと思ってた・・・。

当初は美術館ではなかったらしい。シュプリンツェン伯爵アントンさんの収蔵品で、クラナハやボスが寄贈され、彼の意向で、絵を見せるように(美術館も併設ってところか)なったのだそうだ。

さてクラナハの作品。『不釣合いなカップル』『ルクレツィア』『ヘラクレスとアンタイオスの闘い』『聖ドロテア』の4点。
『ルクレツィア』が良いです。薄絹を持ち、刃物を胸に当てる美女。
ルクレツィアという女性は、レイプされて、夫への貞淑の証しとして、自殺してしまうのですが、それにより『貞女の鏡』と呼ばれるようになるんです。貞女の象徴ですね。
彼女がモチーフになった絵は沢山あるんですが、クラナハのルクレツィアは、細身でおっぱいも小さい。まだ、あどけない少女のようです。

クラナハの描く女の人は、皆スレンダー美人ですよね。
『聖ヘロデア』。コレもお気に入り。画面右側を向き、花籠を持った美女。花籠は、聖ヘロデアの象徴だそうです。
彼女は、キリスト教を信じ、最後には、処刑されてしまうのですが・・・。

無料のギャラリートークというのがあり、それに参加したのですが、その時、学芸員さんが「好き」と言っていたのは『不釣合いなカップル』
中年男性が、若い美女にしなだれかかっています。とっても幸せそうですが・・・美女の手元を見ると、あぁ、中年男性の財布に手が入ってるぅ〜(^_^;)。デレデレしてるうちに、お金を抜き取られちゃうのね。
『老いは愚行から身を守らない』という寓意。
このモチーフも、絵画では良く見かけますが、クラナハのは、順当でありながら、中年男性のデレデレ顔などが、結構コミカル。

暫く見ていくと、デ・ヘームの静物画。
私の中では静物画と言えば“デ・ヘーム”です。
牡蠣の殻の光沢の加減の美しいコト。パンの質感の凄いこと。
でも、良く見ると、肉はちょっと痛んでるし、高価そうなコップはひっくり返ってる・・・。
学芸員さん曰く「富は儚いモノ」という意図があるそうですよ。
いくら豪華でも、いつかはなくなってしまう・・・というね。

17C以降、人を吃驚させる趣向の奇想(カプリッチョ)という絵画が流行ったそうなのですが、ロベールの『奇想(カプリッチョ)の廃墟』という絵が気に入りました。
石天井に大穴が開いた廃墟。

綺麗な風景画もあったのですが、私はやっぱり、廃墟の方がロマンティックで好きだなぁ〜。

クラフトの『ファウスト』も魅力的でございます。
男性が左向きに立ち、手には赤い液体。窓の方を見つめ、ハッとした表情。
ファウストの主人公が、人智の可能性に絶望し、毒杯により、命を断とうとするケド、復活祭の鐘の音と合唱の歌声により、少年時代の良い思い出を思い出し、思いとどまったところ・・・を描いたらしい。
つまり、自殺を思いとどまったところなんだね。

クヴァンダルの『美術アカデミーの裸体教室』
中心に、全裸の男性モデル。まわりには、男性を囲むように、絵を描く人達や、粘土で、人体を作る人達がいる。
でもね、どうもこの絵、変なんだ。
皆、着てるモノも豪華でお洒落。正装っぽい。年齢も高め。「コレで貧乏美術学校生〜???」と凄く不思議に思ってたら、学芸員さんの説明で判明しました。
生徒じゃなくて、教授達の絵なんだって。
どうりで、皆老けてて(失礼)、服が綺麗だと思った。
あと、裸体モデルの男性の左横にいる人が、どうしても、モデルの股間を見てるように思えてならない・・・(^_^;)。
実際は、腿の筋肉を見てるんだと思うケド、どうにも私にゃ、チンコ見てるように思えるのよぉ〜・・・・。
「ワシより、大きいがな。」そんな感じでしょうか?(笑)

ヴッキーの『月光に照らされたナポリ湾の眺め』は、なんか、ドイツロマン派っぽい絵でした。月が綺麗〜。

ベルガーの『悪徳に打ち勝つ美徳』
ウィーン裁判所の天井画の下絵らしいのですが、美徳の女神が、蛇を巻きつけた悪徳を、雲の上から蹴り落としてます(^_^;)。
いくら悪徳とはいえ、雲の上から蹴り落とすのは、気の毒じゃなかろうか??

ムリーリョもあったよぉ〜\(^o^)/。
『サイコロ遊びをする少年』
どうやら、ストリートチルドレンを描いた絵らしいです。2人の少年が、サイコロ遊びの最中。足元には、食べかけのドングリが落ちている。サイコロ遊びとは、即ち賭博。少年2人が賭博をやってる場面なんだけど、ムリーリョが描くと、そんな絵も優しげです。そして美少年だ。
学芸員さんの話だと、ムリーリョは10歳で両親と死に別れ、自分も孤児となったので、ストリートチルドレンを見る眼差しが優しかったのではないか?とのコトでした。
敬虔なクリスチャンだったしね。ムリーリョ。

カルヴァン主義下のネーデルランド(今のオランダ)の改革教会は、プロテスタントと同様、聖書の読誦に集中するようになるんだと。そうなると、画家は、王家や教会のパトロンがいなくなって困ったらしい。
で、そんな場合は、裕福な市民に絵を売るようになったそうなのだ。
なので、次は、コスプレした庶民を描いた絵もあったりする。

私のお気に入りは、マースの『アドニスの装いの少年の肖像』
可愛い男の子が、ローマ時代の防護服のような華やかな衣装を着て、手に弓矢を持ってポーズしている姿。
ギリシャ神話の登場人物である、アドニスになりきっているらしい。
美少年が、アドニスのコスプレをしてるんだな。

他にも、ルーベンスの三美神や、ファン・ダイクの15歳の時の肖像画などがあります。

アカデミー作品なので、全体的には、真面目な感じが漂います。
そんな中、クラナハがあると、色っぽくてドキッとしてしまいますね。

図録は、お金がないので諦めました。
子供用のブックレットと、ポストカード7点を買ったよ。
あと1枚招待券があるので、10月中に、もう1度行きます。
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