私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。川口と伊藤氏がzoomで相談を続けている。三回目になると、慣れてきた。15:00
川口
「お元気ですか。気分は良さそうですね」
伊藤
「まあ、なんとかね。昨夜は母親が眠かした後、不覚にも、僕が居眠りしてしまって。疲れてます。ヘルパーさんがさっき、来てくれたんで、その間、昼寝ができました」
川口
「眠くないですか」
伊藤
「まだ、さっきまでボーとしてましたが、大丈夫です」
川口
「そりゃ、よかった。ところで今後の進路を相談する気持ちは整いましたか」
伊藤
「毎日、頭の中で、介護しながら、自分もどうするか、考えています。普通に転職先を探すのもたいへんだから、障害者雇用を考えています」
川口
「障害者手帳がないと、難しいかもしれません。発達障害のグレーゾンに居ることを面接で言って、それでも雇用してくれる職場を探すしかありませんね」
伊藤
「どうやって。僕なりにけっこう探して来ました。母親の介護があるので、パート職が希望なのですが、それも見つからない。。世の中は人手不足なんて言ってるけど。本当なんですか」
川口
「発達障害の当事者はなかなか就職試験に受からないことがあります。企業も、できるだけ面倒なことはしたくないですからね」
伊藤
「他に方法はありませんか」
川口
「待った。その前に、伊藤さん、今までどんなお仕事をなさっていたんですか」
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