〜2010年、自給自足で生活するキリスト教一派のとある村で、女たちがたびたびレイプされる。男たちには、それは「悪魔の仕業」「作り話」だと言われ、レイプを否定されてきた。やがて女たちは、それが悪魔の仕業や作り話などではなく、実際に犯罪だったということを知る。男たちが街へと出かけて不在にしている2日間、女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う〜<映画.comさんより>
これ、公式HPでも、2010年って書かれていて・・・私は何も知らないで観たから、助かったというか、驚きが味わえてよかった。
今作はアカデミー賞で、作品賞、脚色賞の2部門にノミネートされ、脚色賞を受賞。
またキャストが私好みの俳優さんだらけで、かなりの興奮状態で観賞。
で、感想は・・・うん、良かった。しみじみ、しみじみ。
ほぼ全編が、納屋での会話劇。雰囲気は、どう見ても、かなり大昔の物語。
でも、途中、あるアナウンスで、時代が、2010年と知らされ・・・驚きと同時に、監督の意図が直球で投げられてきて、そこから深みが更に増したという。
寝ている間にレイプされた女性たち。犯人は、村の男たちだ。
事態の解決のため、3つの案が出され、女たちは投票で決めることにする。
1. 何もしない 2.戦う 3.村を出る
結果、このまま村に残って男たちと戦うか、この地を去るかで意見が二分される。
そこからは、3家族が代表となって、話し合うことになる。
この家族が、難しかった。
誰と誰が家族?この子はどういう子?繋がりがエンディングになっても、完璧にはわからず。
「逃げたとしても、他でどうやって暮らすの?」
「戦えば、天国に行けなくなるのよ」
「馬車が揺れる時、間近じゃなくて、遠くの方に目を向けるの。そうすると目的地にたどり着く」
オーナ(ルーニー・マーラ)はレイプされてできた子を身ごもっている。
それでも、その子が愛しく、守ってあげようとしている。
オーナとオーガスト(ベン・ウィショー)の切なき恋模様。
マリチェ(ジェリー・バックリィー)は夫からDVを受けている
サロメ(クレア・フォイ)は「奴らを殺すしかない」と憎しみをさらけ出す。
「逃げる」と「離れる」は意味が違う。
「forgive」と「permit」は違う。
途中思ったのは、彼女たちは、文盲なのだが、その思考レベルは高い!
娘たち(子どもたち)、そして自分たちを守るために、あらゆる想定をして、解決策を考える。
※予告編
https://youtu.be/n9kd_9WRI2I
始まってからずっと、まるでモノクロ作品のように、薄暗い作品。
温暖系の色がまるで出てこなかったと思う。
町山智浩さんの動画で教えてもらったんですが、この人たちは、メノナイトという人たちらしく
「キリスト教アナバプテストの教派。メノナイトはブレザレン、クエーカーと共に歴史的平和教会の一つに数えられ、非暴力、暴力を使わない抵抗と融和および平和主義のために行動している」
つまりサロメが、男たちを殺した方がいいと言ってたのは信仰に背くことになる。
ベン・ウィショーがとにかく最高でした。
彼が演じたオーガスト(作品に登場する唯一の男性。大学教師で、この話し合いの書記をつとめる)という人物像そのものと、彼がこれから背負ってゆく役割に泣けたというか。
「12~13才ぐらいの男の子は、教育すればなんとかなる(今の大人男性のようにならないようにする)」
彼は女たちの希望を託された。オーガストそのものが希望でもある。
カメラの動きが秀逸。こちらの気持ちをも揺さぶって来る。
ちょっと息苦しくなったら、外の空気を入れてくれたり、少し光が差したり。
途中、いきなり流れてくるあの名曲には、ぶっ飛びました。
エンディング・・・赤ちゃんが生まれ、その後のオーナの台詞は、監督から観客へのメッセージ。
はい、しっかり受け止めました。
全ての人にはオススメできません。退屈って思う人もいるかと。ただ私にはかなり響きました。
会話を見ながら聞きながら、劇場の座席からその話し合いに参加しているような気分になり、一人一人の発言に考えさせられました。
サラ・ポーリー、あなたは凄い!
4.3☆
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