続きました。
◆3日目【活動時間/9:10、行動時間/6:35】
6:45/南岳小屋(標高2975m)をチェックアウト、登山再開⇒7:00/南岳(標高
3033m)⇒7:25/天狗原稜線分岐(標高2977m)⇒7:40/P2986⇒8:10/中岳の手前
で8:30まで中休憩⇒9:00/中岳(標高3084m)に登頂、ここで9:05まで小休止⇒
10:00/大喰岳(標高3101m)に登頂、ここで10:30まで大休止⇒10:40/飛騨乗越
(標高3020m)⇒11:00/槍ヶ岳山荘(標高3080m/ここで12:00までお昼休憩)⇒
12:35/殺生分岐(標高2860m)⇒13:00/播隆窟(標高2692m/ここで13:15まで小休
止)⇒13:30/横沢⇒13:40/水沢⇒14:00/滝見岩⇒14:05/天狗原分岐(標高2348m
/ここで14:15まで小休止)⇒14:55/大曲り(標高2094m/ここで15:10まで小休止)
⇒15:30/ババ平(標高1987m)⇒15:55/槍沢ロッヂ(標高1814m)着、チェックイン
◆写真はYAMAPへ↓
大キレットに行こうとした
https://yamap.com/activities/19733917
おはようございます。縦走3日目、自宅を出発してあっと言う間にもう、4日目の朝です。眠いっす。昨日に引き続き、寝不足です。え、なぜかって？それはね、「風」のせいですYO！
いやー、スゲーんですよ、風が！南岳小屋は稜線のちょうどコルの部分に立ってまして、まあ、そんなのこの界隈の山小屋はみんな同じロケーションだと思いますよ？でも昨日は夕方から風が吹き始め、夜中はそれはもう、小屋がガタガタと揺れるレベルの強風ですわ。音も凄いんです。ただでさえ無意味な早寝のせいで2時間おき位に目が覚めてしまうのに、風の音と揺れて軋む小屋のガタガタと言った振動でほとんど熟睡出来ず、でした。
何か2012年に初めて富士山に登った時、途中で天候が大荒れになったんですが、その時も小屋の中で全然寝られなかったことを思い出しました。
コレ↓
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◆山登りはじめました＃66「富士山に行ってきた」その��
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5956264&id=1882060755
◆山登りはじめました＃67「富士山に行ってきた」その��
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5956264&id=1882080404
◆山登りはじめました＃68「富士山に行ってきた」その��
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5956264&id=1883023051
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まあ、あの時は風で揺れる小屋＋屋根に打ちつける雨粒の音＋壁にバチバチと当たる吹き飛ばされた小石の音の三重奏だったので、それに比べれば全然マシではあるんですけどね。そうそう、それと今回は高度に関するトラブルは皆無でした。今年のGWに残雪の北穂に登頂、北穂高小屋に泊まった時は夜、結構呼吸が苦しくてずっと浅い眠りだったんだけど、今回は「全集中・山の呼吸/常駐」を完全マスターしたみたいですね(ﾊｧ、何のこっちゃ？)
さて、5時からの朝食は昨日と変わらず。8人しかいないので食事は当然の1ターン。小屋番の方から「本日の天気予報、更新されたので受付前に貼っておきます！」のアナウンスが。朝食後、早速最新の予報をチェックしに受付に。現在、最大風速10〜14m/s、曇り、とある。予報では9時くらいから風は弱まる見込み、らしい。次に一服しに外へ出てみると・・・。
「ぬぉあ〜！アカン！これはアカンやつだ！」
小屋の陰で一服するも、ガスでアッという間に全身が湿ってしまった。確かに雨は降っていないが、もの凄い強風でガスが流されているのだ。消防車の噴霧装置を向けられているかのようだ。視界は20〜30mも無いんじゃないか？昨日ザックを置いておいたテーブルとベンチ、小屋から直ぐなのに目視出来ないYO！
小屋に戻り、他のソロ登山客数名に今日の行動予定を聞いてみる。みんなまだ悩み中のようである。確かに予報通りあと3時間程度で風が止むなら突撃は可能かも知れないが、ガスがこのままだったら絶対無理やろ。この視界で〇×ペイントを見逃してルートをロスしたら、致命的だ。ちなみに先程外に出た時、昨日チェックインの時は一張りだけ張ってあったテン場の青いテントが無くなっていた。早朝に出発したのだと思うけど、大キレットに進んだのか撤退したのかはわからない。
一旦部屋に戻り、取り合えず身支度を進める。どの道この天候ならどんなに自分達パーティーのコンディションが良くても、大キレットに進むという選択肢は確実に無い。これは事前に撤退を決定した自分としては、かなり救われた感がありますよ。
「外、ヤバいよ！取り合えず二人とも完全雨天装備で！」
「え？雨降ってるの？上だけ着て下はゲイターにしようと思ってるんだけど」
「HGさん、取り合えず外出てみて下さい！そしたら一発でわかると思います！」
支度を終え、下に降りると他の登山客がみんな電話をしている。聞こえるのは今日の山小屋のキャンセル連絡だ。そうだ、自分も電話しなきゃ！今回は涸沢小屋への電話は一発で繋がった。現在南岳小屋にいる旨、強風の悪天候のため大キレットは撤退する旨などを伝え、宿泊予約をキャンセルする。流石にこの状況ではキャンセル料はかからないとのこと。よかったー。再び周りにいる登山客数名に本日のこれからのルートを聞いてみると、大半が横尾尾根を下るみたいで、槍方面へ進むのはあまりいない。
というのも今朝、小屋番の方から「今ここは凄い強風だけど、飛騨側から吹いてる風なので、涸沢側に少し降りただけでウソのように風は収まるよ！」って言われたんですよね。ただ、自分ら的には昨日の苦行から横尾尾根を再び通る、という選択肢は無いのです。
理由はもう一つあって、もし来た道を戻る、にした場合、補給ポイントが槍沢ロッヂまで皆無なんですよ。槍まで進めば槍ヶ岳山荘があるし、そこから20分程下れば、殺生ヒュッテもある。昼食を小屋依存にするプランなのと、道中で不測の事態が発生した場合を考えると、ルート上に山小屋が複数あった方が明らかに安全なのです。
さて、時刻は6:45。風が収まる気配は全く無いので、覚悟を決めて小屋を出発することに。最初の目標は槍ヶ岳山荘だ。まずは南岳への登り返し。昨日は槍ヶ岳まで稜線上の峰々がキレイに見えたが、今は何も見えず、ただ真っ白いだけ。天気の良いうちに写真を撮っておいて本当に良かった。タイムスタンプの写真だけ撮ったら南岳山頂を通過。下りは途中に稜線を左右に乗っ越す要注意ポイントがあるので、手前でトレッキングポールを収納。通過したらまたトレッキングポールを出す。
天狗原稜線分岐を超え、再び未踏の区間へと歩を進める。飛騨側からの強風につき、ルートは気持ち飛騨側を意識して歩く。よろけたり吹き飛ばされた時に涸沢側ギリギリを歩いているとチェックメイトになりかねないからね。自分が先頭で少し先を歩き、HGさんとONZKさんが2人固まって後から付いてくる一列縦隊のフォーメーションは昨日と変わらず。
しばらく進むと手を使わないと登れない岩が出て来た。念のためポールを縮めてザックのショルダーストラップに脇差しにして進むと、段々と岩をへつるようになり断崖絶壁のトラバースに差し掛かった！
「HGさん！ONZKさん！ダメ、ポールしまって！岩に取り付く前にポール収納して！ここから先、ヤバいよ〜！」
思わず後ろに声をかける。ルートの先を見ると、涸沢側の足元がスッパリと切れ落ちたトラバースじゃねえか。しかも岩がほんのりとルート上に迫り出してる。そしてその先、黒いレインウェアで最初は気がつかなかったけど、すれ違い待ちで岩に張り付いてる登山者がいるYO！くっそ、レイングローブの中で指が動くんだけど、こんなんで大丈夫か？ここ！手探りで大き目のクラックを探して可能な限りグローブごと指を深く差し込む。足元の幅はティッシュペーパーの箱くらいしかない。迫り出した岩を両手で抱えて何とかトラバース成功！途中でレイングローブの中の指が動いてクラックから吐き出されてしまうんじゃないかと冷や冷やした。
「あの、ポール出してて大丈夫ですか？」
すれ違い待ちの黒いレインウェアの人に話かけられた。
「ええ、大丈夫です。ありがとうございます。この後2人、まだ来るのですみません、もうちょっとお待ち下さい_(._.)_」
「いえいえ、ゆっくりで大丈夫ですから、とにかく気をつけて」
後追いの二人の通過を確認したら、黒いレインウェアの人に礼を言って先へ進む。これはちょっと、うむ。ちょっと落ち着いた方が良いかも知れん。流石の自分も面食らった！涸沢側の稜線で少し幅が広くて風があまり来ない場所があったので、一旦立ち止まり二人が追い付くのを待つ。
「ちょ、ちょっと俺氏さん！何これ、聞いてないよ、聞いてない！奥壁バンド？ねえアレ、奥壁バンドなの？」
HGさんが口を開く。
「あの、メチャクチャ怖かったんですが！歩いて通過出来るルートじゃなかったんですか？」
ONZKさん、顔が引き攣ってる！
いやいや、これは自分も聞いてないよ！聞いてないって誰に聞いたかって？槍ヶ岳⇒北穂高岳のルートで大キレットを通過したことのある人にだよ。チームO野の面々とか元副部長のﾊｯｼｰとか会社の先輩にとか。みんな口を揃えて同じこと言ったよ、「槍から南岳小屋まではただの散歩」だって。全然ウソやんけー！確かに大キレットを通過する経験をしたらそう感じるのはわからないでもない。昨年の穂高縦走では自分も北穂から涸沢岳の区間を通過した後、吊尾根や重太郎新道に対しては似た様な感覚を持ったもの。でも比喩表現と現実とのギャップがあまりにもあり過ぎるYO！
未踏の区間に入ってP2986の通過がいきなりこの死亡遊技だもん。エスケープルートのはずが、まさかまた昨日のような予想外のルートが待ち受けているのでは？と一同、不安に駆られてしまう。未踏の区間でパーティーの中に経験者が誰もいない。風速10m/s以上の強風、ガス、視界は20〜30mしかない中でのエスケープ。リーダーの自分がここで焦燥感を表に出すのは絶対によろしくない。今回の山行のルート設定やら何やら全部、企画した者としてここは不安を感じさせずにメンバーを導かなくては！
「この先も今みたいな難所が出てくる想定で行動しましょう。一列縦隊は変わらず、固まって動きます。取り合えず無線、開けましょう！」
「え、無線必要？固まって動くんだよね？」
「後ろから声をかけられても、風の音で聞こえないんですよ。同じく自分が前向いたまま話しても後ろ、聞こえないですよね？」
「うん、確かに」
「ロケーション的に毎回立ち止まって振り返るのは危険だし、声掛けは無線越しにしましょう。HGさん、EAI確認、ウェイクアップは無しで今回は常時オン、ﾖﾝｻﾝﾏﾙのメイン待機でよろしく！」
「りょーかい！」
小休止を切り上げ、次のマイルストーン、「中岳」へ向けて移動を再開。地図では中岳へのルートは涸沢側のルートが通行止めになっていて、飛騨側から大きく巻くように付けられている。取り付き部分が広い岩場になっていて、ある程度は風も遮られているので再度、ここで小休止を取ることに。機会を見て小まめに水分補給と行動食摂取をしておかないと！時刻は8時半、小屋を出る前にチェックした予報では、あと30分程で天候が収まるとのことだが、全然そんな気配が無い。ガスも時折ちゃんとした雨粒が吹き付ける雨になったりと、むしろ悪くなってないか？
20分程の中休憩を切り上げ、中岳への登りに取り掛かる。ここも手を使わなくては登れない岩場ですYO！誰だよ、歩いて通過出来るとか言ったのは〜！しかもこの強風！風で身体のバランスを崩すと致命傷になりかねないポイントがいくつも出てくる！自分は先行するが、後続の2人は安全優先で確実に登るように声がけをする。
岩場を登ること30分、9時ちょうどに今回の山行では2つ目のピークとなる「中岳(3084m)」に初登頂。中岳は尖がった三角形で、その山容の通り頂上は風がシャレにならん。記念撮影のため5分程滞在したら即、移動を開始。この先は鎖とハシゴがあるはずだ。流石に「歩くだけで通過出来るよー」と言っていた面々も、中岳には鎖とハシゴがあるとは言っていた。勿論地図にも記載がある。問題なのは鎖場とハシゴ場をこの強風と雨とガスの視界不良の中、「下りで通過」するってことよ。
山頂からの下降はまずは10mの鎖場から。続いて上段が15段4m・下段が17段5mの二段ハシゴ。どちらも難易度は低いが天候が天候だけにとにかく油断は禁物！特に鉄のハシゴは雨で濡れてステップが滑るのだ。確実に三点支持で通過して行く。緊張状態が続いているので、ここを通過したら小休止を入れようと思うも、風が遮れるような場所が全然無いんだよー。ここから大喰岳までは大岩ゴロゴロの稜線を歩く感じ。雨で濡れた岩でスリップして、岩の隙間に足を挟まないように注意しながら進む。とにかく強風で煽られてよろけるのが怖い。
10時過ぎ、南岳小屋を出発して3時間半弱、今回の山行で3つ目のピーク、そして最高標高点となる「大喰岳(3101m)」に初登頂。大喰岳は長い台形のような山容で、見た目通りに山頂は「頂稜」になっている。そして事前情報の通り山稜は「二重山稜」と言う、エクレアの様な形をしていました。山頂はエクレアのチョコレート部分にあり、登山ルートはクリーム部分、真ん中の凹んだ所に付けられています。形状の通り、ルートは飛騨側も涸沢側も岩稜となっているのでここは風が殆ど来ない、正にビバーク適地である。ここでザックを降ろして30分程度、しっかりと休息を入れる。
休憩を切り上げて行動再開。ここまで来ればもう、難所は流石に無いだろう。今度こそ歩くだけで通過出来ると良いのだが。ガレガレの登山道を小岩を崩さないように小刻みなステップで下って行く。とは言えちょっと油断すると足元がズルっと滑るので、気は抜けない。
「ONZKさん、HGさん！それぞれ間隔を空けて歩いて下さい！スリップしたらここ、前の人を巻き込むので！2m以上間隔を空けて！」
後続に注意喚起の声かけをする。ガレ場を下り切るとようやっと飛騨乗越に到着。ここから標高差60m程度を登り返したら槍ヶ岳山荘に到着だ。途中、槍ヶ岳山荘のテン場を通過したが、ここのテン場もトンデモないロケーションやなあ！一番下のサイトなんてもう、ほとんど飛騨乗越じゃねえか！
11時ちょうど、何とか無事に槍ヶ岳山荘に到着した。今のところ本日の行動計画に対しては大幅な遅延も無く、順調にタイムスケジュールを消化している。しっかし槍には人が沢山いるなあ。南岳小屋が自分ら以外には5人しかいなかったので、余計にそう感じるんだろう。とにかく中に入って休息を取らねば。ここがゴールなら良いが、今日はこの後、長い長い槍沢ルートを降りなくてはならない。天気もさっきまでのガスが完全に雨に変わってしまったし、歩くだけとは言え苦行は続くよ、どこまでも！
槍ヶ岳山荘は小屋の外に荷物をデポする屋根付きの場所があるんですよ。ここで不要な荷物を置いて、身軽でピークアタックをするんですね。2014年に初めて来た時は、喫煙スペースで灰皿が置いてあった場所も、今はこの荷物デポのスペースとなっている(2018年の時から既に喫煙スペースは撤去されてましたYO！)。先客のザックで屋根下のベンチは既に埋まっている。こんな悪天候でもみんな槍の穂先にピークアタックに行っているんだろうか？
ザックを置いたら小屋に入る。ちょうどランチ営業が始まる時間とのことで、良かった〜！昨日も一昨日も、昼間は行動食だけでちゃんとした昼食を摂るのは実は3日ぶりなんですよ。3人とも「ブラックキーマカレー」を注文。ご飯がやたらと尖がった盛り付けになっているんだけど、これは槍ヶ岳を体現しているのだそうだ。いつもは水分補給で炭酸飲料(概ねCCレモン)を飲むのだが、今回は身体が疲労しているので糖分補給を兼ねてロイヤルミルクティーなんぞを飲んでみる。甘くて美味しい。
外は相変わらず雨が降ったり止んだりを繰り返しており、槍の穂先はずっとガスの中で、シルエットすら見えない。ホントは時間に余裕があれば、HGさんには先に下山を始めてもらい、自分とONZKさんの2人は穂先のピストンをしようと思っていたんだけどね。この天気じゃ危険だし山頂からの視界はゼロだし、何よりも時間に余裕が無い。自分は4年前と8年前、どちらも快晴の槍ヶ岳登頂を経験しているので、今回は登頂を見送っても全然悔しくないんだけど、ONZKさんには是非、ピークを踏んでもらいたかった。
せっかく南岳⇒中岳⇒大喰岳と、3000m峰3座のピークを踏む縦走をしたのに、槍ヶ岳に登頂しないまま降りてしまうなんて・・・！
「ONZKさん、残念ですが時間的にも条件的にも槍のピークを踏むことは出来ません。せめてガスだけでも晴れて穂先が見えたら良いんだけど・・・」
「別に構いませんよ、元々登る気も無かったし。そもそも未練など無いので見えなくも全然平気です！」
「今回はさあ、途中から天気がこんなんなっちゃったからさあ。ホント残念だったけど、今度は晴天時に是非また、、」
「え？もう二度と来ませんけど？」
うーん、この。。うーん。ONZKさん、やっぱり何か怒ってるのかなあ？顔見れば不機嫌なのはわかりますが、私、何かしでかしたでしょうか？何かやらかしましたかねえ？昨日からずっとこんな感じなので正直辛いです。フィジカルは辛くないけど、メンタルが辛いです。
そんなこんなで12時ちょうど、槍ヶ岳山荘を出発。槍沢ルートは下山で2回下ってますが、2回ともヒュッテ大槍からだったので、坊主岩屋下から肩までの区間は実は未踏なんですよねえ。とは言え、予想通りガレガレの急斜面を九十九折にえっちらおっちらと下って行くだけでした。稜線から隠れたので、さっきまでの強風が嘘の様に弱くなった。肩から下降することちょうど1時間、「播隆窟」に到着。標高は2692m、まだまだ先は長い。
ヒュッテ大槍から下って槍沢ルートと合流する分岐が「坊主岩屋下」であるが、ここはその分岐から少し離れた岩小屋の本体である。槍ヶ岳を開山した念仏僧の播隆上人が籠ったというね。実はここも今回、初めてなんです。分岐までしか来たことなかったので。ちょうど1時間、1ピッチ経過したので、ここで小休止を入れるつもりだったが、ONZKさんから
「俺氏さん、少し休みませんか？疲れた・・・」
と、リクエストが！これには驚いた。過去の山行でONZKさんが自ら休憩したい、なんて言い出すのは一度も無かったからだ。ONZKさんはこと「歩く」ことに関しては、自分なぞ比較にならないレベルのフィジカルエリートですよ！
最近では「日本スリーデーズマーチ」にも出場して120kmを踏破しているし、本場オランダの「4 Days March」にも何度か出場したことがある、って聞いてますぜ？GWの残雪の北穂チャレンジの時だって、梅さんにピッタリくっついて、北穂山頂から上高地までの一気下山を普通にこなしてたよ〜(この時はむしろ、自分が遅れて2人を待たせてしまっていた)。やっぱり昨日、消耗した体力が回復していないんだろうか？
ここで雨が再び本降りになってきたので、15分程の中休憩を切り上げ行動再開。14時過ぎ、天狗原分岐に到着。ここでやっと今回の周回ルートの輪が閉じたことになる。地図で見ると大した距離じゃないのに、ものゴッツ、大変でした。いやー、厳しかったわー。雨脚が強く、そうそうゆっくり休んではいられないので10分程で小休止を切り上げ、再び標高を下げる作業へ。この後は大曲りで最後の小休止を入れ、ババ平はスルーして16時少し前、槍沢ロッヂに到着した。
チェックインする前に少し身支度を整えないとイカン。長時間の雨天行動でもう、全身がずぶ濡れである。このまま小屋に入るわけにはイカンだろう。レインウェアを脱いで水を切るも、レインウェアの下は結露でビッチョッビチョになってる。そして厄介なのがザックですよ。ザックはカバーを付けていても背中の部分からどんどん浸水してきますからね。もう完全に水を吸って、ザックが水没状態になっている。これは今ここでどうにもならないので、可能な限り水気を払ってから小屋へイン。受付を済まして一昨日とは一つ隣の部屋へ案内される。
今日はまだ平日だと言うのに、一昨日と比べてかなり混雑している。部屋の畳を濡らさないよう、ザックは廊下に置き、まずは何よりも荷物整理だ。とにかく濡れた物を乾かさないと！乾燥室へ行くとそこは既に先客達の干し物でいっぱいでした。隙間を見つけてレインウェア上下やザックカバー、グローブ、山ズボンなどを干していく。明日の朝までに乾くと良いんだが。部屋に戻って着替えたらお風呂へ。夕食は17時〜だが、男女交代制のお風呂の最終回が16:45〜の男ターンなのだ。
手早くお風呂を済ませて夕食に。予約の際に2日前にも宿泊した旨を伝えると、「ではメニューは連泊者用メニューで前回とは変えますね！」との嬉しいご配慮をいただきました！が・・・。寧ろこれは悪手ですわよ、奥さん！槍沢ロッヂも南岳小屋も同じ槍ヶ岳山荘グループの山小屋です。なので食べ物、特に副菜類は同じ物が使われてるんです。どういうことかと言うと、配慮いただいた結果、前日の南岳小屋の夕食とほぼ、同じおかずが出てきました！まあ贅沢は言いませんが一応、ご報告でした。
夕食後、ONZKさんは昨日と同様、直ぐに寝てしまいました。ホントお疲れ様でした。ゆっくり休んで下さい！今日はHGさんが比較的元気なので、小屋の外に出て庇の下に雨避けとして張ってあるブルーシートの下で少し飲むことに。雨は相変わらずのザーザー降りですよ。段々気温が下がってきたので、早々にお開きにして小屋へ戻る。肉体的疲労はさほどでもない。疲労はしているが、今直ぐにでも布団に入りたいかと言われたら全然そんなことはない。フィジカルは元気でも寧ろ、ONZKさんの件でメンタルの方が辛いです。はあ、明日もまた1日、ずっと不機嫌な顔なのかなあ・・・(泣)
消灯時間までは談話室で漫画を読みつつ、今回の山行を振り返って一人考え込んだりしてみる。20時、消灯時間となり、部屋に戻って布団へ潜り込む。HGさんももう、寝入っているようだ。自分も寝ますかね。
その�イ紡海�・・・。
■写真解説
�ゞ�風と視界不良の中、P2986の絶壁のトラバースでまさかのすれ違い発生！中岳の手前にこんな滝谷の奥壁バンドみたいな難所があるなんて、全く想定していなかったので流石の自分も面喰いました。今回のルートで一番怖かったのがここです。
��中岳(3084m)に登頂〜！強風と雨で山頂での長居は無理！ほとんど「通過しただけ」でしたー。
�Ｅ袈藐粁農�分岐から槍ヶ岳への稜線を眺める。中岳と大喰岳の配置も良くわかります。今回の山行でのお気に入りの一枚です。
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