mixiユーザー(id:429476)

2022年04月02日14:58

128 view

命、ギガ長スW(ダブル)

『命、ギガ長スW』を観て来た。
フォトフォト

フォト
今回は再演。しかもWキャスト。ギガ組は、宮藤官九郎氏&安藤玉恵さん。長ス組は、三宅弘城氏&ともさかりえさん。
私は、ギガ組みを観賞。長ス組も観たかったけど、6800円のチケット(しかも取りにくい)を2枚確保はちょっと…と。ツイッターで感想を読んだら、ともさかさんのハジケっぷりが凄かったらしく、「ともさかさん、他の大人計画の芝居にも出て欲しい。」という感想もあった。ケラ氏もともさかさんの演技を誉めていた。やはり観たかったな。

私は役者としての宮藤官九郎氏が好き。硬軟、シリアスも笑いもいける。そして上手い。そんな宮藤氏が初演は松尾氏が演じたオサムをどう演じるか観たかった。結果、宮藤氏のオサムは、松尾氏より愛嬌マシマシのオサムになった。ダメ人間ではあるけれど、どうにも憎めず可愛らしい。反面、哀愁は松尾氏の方があったかな…と。ダメさ加減も松尾氏の方が強く感じたかも。エイコ役は初演と変わらず安藤さん。もう安定の演技(笑)。
本当に80のおばあさんに見えるのに、アサダを演じれば、ナイスバディの女子大生になる。不思議ね。

初演同様、音響効果は吹越満氏。これが不思議とこの世界観には合っている。口で演じる風の音や、シャンパンを開ける音、うまい棒を食べる音。電話の音は「オフクロロ〜」
初演同様、開演前の諸注意も吹越氏がやるも、コロナの諸注意のみ、スタッフさんがやる。吹越氏もこの芝居にはなくてはならない人。

因みに初演の感想はこちら↓
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972303384&owner_id=429476

今回はパンフレットとグッズ(マステ)を売っていたのでパンフを購入。

※以下、命、ギガ長スWのもう少し詳しい感想を書きます。ネタバレNGの方は、ここから先は読まない方が良いかもです。

命、ギガ長ス
会場:ザ・スズナリ
作・演出:松尾スズキ
出演:オサム/キシ(宮藤官九郎) エイコ/アサダ(安藤玉恵)
音響効果:吹越満

詳しい粗筋は、初演版の方を読んで下さい。細々した部分で台詞が変わっていたりするけど、内容は変わりません。
ザックリ言うと、無職でアル中の50男オサム、その母親で軽度の認知症を患うエイコ。2人は奇妙な依存関係。そこに、8050問題をドキュメントにしたいと、美大生のアサダがやってくる。アサダは大学教授のキシと付き合っているようなのだが…。
そこで巻き起こる事件とその顛末…という感じかな。

やっぱり私はこのお芝居好きだ。観ているとこれは、全てアサダの想像じゃないか?とも思え、アル中のオサムが酔って見ている幻覚なのではないか?とも思え、認知症のエイコが見ている妄想なのでは?とも思える。
最後、風呂場で溺れ死にそうになるオサムの手が伸びる。どんどん伸びて行く…あの場面は、初期の大人計画の芝居を彷彿とさせ、これも好き。
この時、エイコが言う、「オマエが死んだら、私が先死んだらどうなるんだろう?というドキドキがもう味わえない。これからもドキドキさせておくれ。」という台詞が愛情があるようで滑稽で、でも切なくて好きだ。このドキドキはエイコの生きがいでもあり、『暇つぶし』でもあるのだろう。
『暇つぶし』の話は、教授とアサダの会話でもなされる。暇で人は死ぬと。8050問題のドキュメントは、所詮安全圏の我々が観る「暇つぶし」に過ぎないんだろね。
「見下しが足りない」というキシの台詞。こちらがきちんと見下さなければ、観客は安心して見下せない。この言葉も刺さる。結果、そうなんだろう。
何某の悲惨なドキュメントを観る場合、私も何処かで「ああ、こいつらよりまだマシ」そう思って観てやしないか?
ウクライナの戦争だって、結果、安全圏からニュースを眺めて「ああ、戦争のない国に生まれて良かった。この国より、まだ日本の方がマシ。」そう思って観てやしないか?
そういえば、「優しい侵略」「優しい戦争」という言葉は、初演にはなかった気がする。松尾氏が現状を思い、急遽足したのかも知れない。

と、この場面、シリアスに重く作るコトも出来るのに、ここでキシとアサダを躍らすのが本当に好き。ケイコのマンボで踊る(これ、三宅氏とともさかさんヴァージョンも観たかったなぁ)。あと、アサダの見下し方訓練(よね、あれ?)「この豚野郎!」あれ、単なるプレイだよな(^_^;)。「エロ教授!」「エロは誉め言葉にもなっちゃうからぁ〜。」(笑)松尾氏はここで凄くクネクネするんだけど、流石に宮藤氏にあの動きは無理らしく、こちらはゴキブリ的な動きになっていた(笑)。

オサムが言う「何で無職を不幸にさせたがる?」これ、初演もそうだが目から鱗なんだよね。我々は無職=可哀想と思いがちだが、本人が無職で幸せにしてるなら、それは幸せなのではなかろうか?そもそも人の幸不幸を自分の物差しで測りますか?と。
オサムとエイコは、奇妙な依存だが、これは、その依存で成立していて幸せなのかも…。

そして、やっぱりラストが好きだ。「アハ体験」も出来る。冒頭、ボケてるエイコが炊飯器を墓だと思い込み、水をかける。最後のシーン。墓…オサムの墓だったものは炊飯器になる。墓がパカッと開き、中に熱々ご飯が入ってる絵面。本当にバカバカしい。バカバカしいのに可笑しくて切なくて泣けてくる。最後エイコとオサムの食事シーン。世界2人ぼっちにも見えて何とも言えず滑稽で悲しい。

それで、これまでのコトは本当だったのか妄想だったのか…私には分からなくなる。このボーダーな感覚も好きだ。

串焼き屋のバンちゃんも面白い。バン串でバンクシー。
初演で気付かなかったケド、エイコの母親が生きてるってのは序盤で示唆されるのね。オサムが「お神輿担ぎ過ぎて、頸椎やって、入院したんだ。」と言っていた。確かに死んだとは一言も言ってない!

再演で諸々確認も出来ました。

又、再演があったら観たいな…と思う芝居。演じる人によって、アサダもオサムも、キシもエイコも変わっていくと思うから。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年04月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930