極楽の宴で
宙返りしながら錦鯉と丹頂鶴に変身して魅せた
12歳と7歳の美少年を楊貴妃は気に入り
玄宗皇帝の、9月の誕生日の宴にて、二人の美少年に幻術ショーをさせるため、後宮に呼びました。
後宮の、壇上の玉座に座している楊貴妃は、家令の潤一と女官たちを侍らせて
「極楽の宴では、あなた方の、不思議な幻術ショーに感動しました
凌周妖術師は、このような、立派な二人息子の弟子がいるなんて、幸せな父親ですね。」
「ありがたきお言葉に、感謝いたします。」
白鶴と青龍は、極楽の宴の時に、楊貴妃が落とした簪を拾って、二人でそれを持ち帰って
宝にしていたのを叱られると思い、覚悟して、楊貴妃に謁見していました。
「楊貴妃様、この世は、夢幻しです。
妖術は、実在の、あの世の霊人が、密教という修法を通じて、僕たちを使って奇跡を起こし、
あの世の霊力を、人々に見せているだけです。」
「僕は、父親の借金の肩代わりで、凌周師匠に買われた、賤しい孤児です。」
青龍は、凌周と白鶴とは、血の繋がりはないと言うことを強調して、簪を持ち帰った罪を、自分だけが被ろうとしました。
楊貴妃は、慈愛に満ちた目で、二人の美少年に語りかけます。
「私は、両親に売られた、異民族の血を引く、孤児です。
でも、自己卑下なんかした事は、一度だって無いわよ。だって、
愛されて、生かされていることに、いつも感謝しながら
一生懸命に生きているからです。
出会った人が、親切にしてくれた事は、一生忘れないし、
愛してくれてる人には、恩を返したいと、いつも思っているから、何があっても
頑張れるのです。
青龍
あなたも同じでしょう
血の繋がりはなくても、白鶴と青龍は、美しい兄弟なんですもの。
」
思春期の白鶴と青龍は
楊貴妃に、恋心を
持っていかれました
この時から白鶴と青龍は、凌周から仕込まれている幻術を極める為に、密教を熱心に学び続け、
楊貴妃への
恋の大願成就に
命を使うようになるのでした。
一方
楊国忠は
「朝廷は舵取りを失って、ただ混乱するばかりだ。」
「仕方あるまい。決裁を仰がねば、先に進まぬのだから。」
「俊左相殿よ、良い機会だと思わぬか
」
「どんな機会かな
」
「李林甫首相の横領は、ここで終わるべきだ
」
国忠は、怒った声で言いました。
しかし、年若い楊国忠大臣が、感情的に話しても、二回り年上の俊左相は
冷静に聞いて、すぐには答えずに、沈黙していました。
「俊左相殿は、心根の優しい方ゆえ、欲深い人間の企みを理解できますまい。
李林甫首相は、飼い慣らせぬ犬の正体を、見破れなかったのだ。
華清宮襲撃の件に対し、李林甫首相は責任を取るべきだぁ
」( ̄^ ̄)
一方
辺境の本陣では
⛰
「安飛鳥大将軍、長安から報告です。
李林甫首相が倒れ、失脚するらしく、近々、朝廷の人事異動により、その後釜に
楊国忠が大権を握るそうです。」
「あの男の子がか
あの美男子は、出世が早いなぁ。」
「その楊国忠が、大将軍に一役、買って欲しいそうです。
李林甫に引導を渡すために、力になっていただきたいとの事。」
「楊貴妃の七光りで出生した、あの成り上がり者め……」
安飛鳥は、面白くない顔をして言いました。
「大将軍
今回は手を貸すべきでしょう。」
安飛鳥は、じっくり考えてから
「手を貸しても良いが……
その代わり、私の息子の縁談に、楊花花仲人に、一役、買ってもらう事としよう。」
つづく
⛩絶世の美女と言わせ続ける妖魔伝説
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