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2021年06月06日14:38

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だいたい同じような毎日

ともかく省エネで乗り切ることしか考えていない一週間。現状打開のために、とりあえず一つ動いてはみたものの、今のところは反応なし。焦る必要はないが、ここでぼんやりしていては、後でにっちもさっちもいかなくなるのは見え見えなので、動けるところはどんどん動いてみようと思っている。

本を読む。プールに行って泳ぐ。マッサージをしてもらう。ピアノの練習も少しだけ。今週はプールの帰りに市の美術館に寄って、名前も知らない画家の水彩画をぼんやりと眺めてきた。僕は特に才能もないし、運動神経だってないし、頭もよくはないし、友達だっていないし、仕事だって全くできなかったけど、それでも本を読んだり音楽を聴いたり絵を眺めたり、そういう心を豊かにする時間だけはキープしてきたし、それで誰かに迷惑をかけた覚えもないんだから、それでいいじゃないかと開き直りつつある。

ときどきはデパートで孤独な人のふりをして
満ち足りた人々の思い上がりを眺めてる
昼下がりは美術館で考えたり

というのは井上陽水の「長い坂のフレーム」という曲(本当にいい曲だ)の歌詞の一部だが、美術館に絵を見に行くという行為は、ありふれた日常からふと意識を別の次元にトリップさせてくれる、手軽でありながら何か特別な行為であると思う。

最近、アマゾンでミュシャの画集を注文して買って、夜中にワインをちびちび飲みながらぼ〜と眺めている。僕の街の図書館にはなぜかこの有名な画家の画集がなくて、思い切って買ったのだが、買ってよかった。

若いころの苦しい下積み生活。30代半ばからのパリでの大成功。50歳となったミュシャは、パリから祖国チェコに帰国。画風もがらりと変わり、20年近くを費やしてスラヴ民族のための『スラヴ叙事詩』を制作。晩年はナチスに迫害され牢獄の中で生涯を閉じる。牢獄で死を迎える時にこの人はどんな思いだったのか、なんて考えるとなんか切なくなる。

国立新美術館に絵を見に行ったのはもう4年前の話。絵の素晴らしさはもちろんだったけど、ともかく見物客が多すぎてゆっくり絵を鑑賞する気分になれなかったのは残念。まだ自分が20代の頃にモネの「睡蓮の絵」を見るためだけにパリのオランジュリー美術館を訪れたことがあって、今にしてみればよく行ったなあと思うけど、死ぬまでにチェコまで行って「スラブ叙事詩」は見ることはできるかなあ。

なんて大げさなことはしなくても僕の住む街には図書館と併設してなかなか立派な美術館があるので、プールで泳いだ帰りにはまた立ち寄って、ちょくちょく非日常的な時を過ごしたいとは思っている。

今週の映画は「雨月物語」(監督:溝口健二/出演:森雅之、京マチ子)を観ました。巨匠・溝口健二の代表作で、戦乱の中で世俗の欲に翻弄される人々を幽玄な映像美で描き、多くの映像作家に影響を与えた世界的名作。

欲にかられた人間の愚かさを描いたある意味残酷な映画。主演の二人に三船敏郎を加えたら「羅生門」になるが、猥雑な庶民の生活や洗練された伝統文化を落とし込んだ見事なモノクロの映像美が素晴らしい。これを現代日本で、カラーでリメイクする度胸のある監督はいないかな。

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