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2021年04月16日23:37

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[社説]「子ども庁」は組織論で終わらせるな

[社説]「子ども庁」は組織論で終わらせるな
菅内閣
2021年4月15日 19:05 [有料会員限定]


各省庁にまたがる子ども施策を一本化する「子ども庁」の議論が自民党内で始まった。若手議員のグループが提言し、菅義偉首相が検討を指示していた。


子どもが健やかに成長できる環境を整えたい
子ども関連の施策は子育て支援や児童虐待防止、少子化対策など多岐にわたり、所管は多くの省庁にまたがる。例えば就学前施設は保育所が厚生労働省、幼稚園が文部科学省、認定こども園が内閣府で「縦割り」と指摘されてきた。

提言は保健、福祉、教育などを包括的に担当する役所をつくり、専任の閣僚に総合調整する権限を与えるよう求めている。

司令塔機能を強化し、子どもが健やかに育つ環境整備に一層の力を入れる。このアイデア自体は評価できるだろう。だが子どもにまつわる課題は新たな省庁をつくれば解決するという簡単なものではない。選挙でのアピールを意識し、庁をつくるという組織論だけで終わるなら、既存の組織に屋上屋を架すものになりかねない。

子ども・子育て支援の"抜本改革"は過去にもあった。2005年には大企業や自治体が支援計画をつくることが義務となった。15年には消費税財源を使った新たな支援制度もできた。しかし成果は十分にあがっていない。

大事なのは、実効性をいかに高めるかだ。子どもの貧困率は18年時点で13.5%で、ひとり親家庭では5割近い。コロナ禍がさらに追い打ちをかけている。貧困家庭の子どもへの生活・教育支援は、議論を待たずに、今すぐにでも加速すべきだ。児童虐待防止のための体制整備なども同様だ。幼保一元化も進めてほしい。

子どもへの予算を増やすには、痛みを伴う議論も避けられない。子どもを含む家族関係の社会支出が国内総生産(GDP)に占める割合は、日本では1%台だ。欧州では3%台が多い。高齢者に偏った社会保障の財源を、もっと子どもに振り向ける覚悟が必要だ。

子どもの問題は子ども施策だけでは解決しない。親となる若い世代の不安定就労や、仕事と育児の両立の難しさ、女性に偏る育児負担……。少子化や子育て不安の根本にある問題だ。これら大人の課題にどう向き合うのか。新たな縦割りを生まない工夫もいる。

21年の日本人の出生数は80万人を割る可能性もある。「子ども庁」の議論を組織論に終わらせず、子ども本位の政策立案の契機にしてほしい。
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