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2020年12月26日23:42

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【解説】1993イズデラ・コメンダトーレ112i

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イズデラAGとは、1980年代から90年代にかけてドイツに存在した自動車メーカーであり、ポルシェやメルセデスベンツでエンジニアを務めていたエーベルハルト・シュルツ氏が設立しました。

同社の有名な『インペレーター108i』は、元々メルセデスベンツが開発していた『CW311』というモデルのプロジェクトを買い取って生産にこぎつけたモデルでした。

当時で1億円を超す価格だったインペレーター108iの売れ行きも芳しくない中、1993年に発表されたのが、このコメンダトーレ112iです。

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1993イズデラ・コメンダトーレ112i

車体は鋼管スペースフレームにグラスファイバー製のボディパネルを被せる形で構成されており、インペレーターのエッジの効いたデザインとは真逆の、全く角のない曲面で構成されたボディが特徴となっています。

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ヘッドライトはポルシェ968用のポップアップ式を流用、サスペンションは同じくポルシェの928用を流用し、高速域では車高が3インチ下がる車高調整機能も備わっています。

車体後部には減速時にせり上がるエアブレーキ機構も採用されています。

ボディは空気抵抗を極限まで小さくすることを目的にデザインされており、ワイパーアームすら極力抵抗にならないような専用設計品で、ドアミラーは装着されず、代わりにルーフに取り付けられたペリメータースコープによって後方視界を確保しています。

これらの設計によってCd値は0.306というかなり低い数値を達成しています。

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エンジンは400ps以上を発生するメルセデスベンツ製のM120型6リッターV型12気筒DOHCエンジンを搭載、これは後にパガーニ・ゾンダC12に搭載されたものと基本的に共通です。

トランスミッションは目標の最高速340km/hを実現するために、ルーフ社に依頼して制作したゲトラグ製5速をベースとした6速マニュアルトランスミッションを採用しています。

BBS製2ピースホイールはフロントが18インチ、リヤに19インチを採用、タイヤはそれぞれ255/35ZR18、295/35ZR19となっています。

動力性能は100km/h加速4.8秒、最高速342km/hと公表されています。

公式に製造されたコメンダトーレ112iは1台のみで、フレームやボディは2台目が制作されていたものの、これは当時計画されていたルマン24時間耐久レース参戦のためのレース仕様車だった可能性があります。

それはバブルによって好景気であった日本からの資本を基に進められる予定だったプロジェクトでしたが、バブル崩壊によってその資金が得られなくなったため、計画はおろか会社の存続そのものが危うくなり、イズデラAGは事実上の倒産状態となりましたが、その後スイスの投資家グループによって救済され、現在も存在しています。

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救済された後の99年のフランクフルトモーターショーには、細部が変更されたコメンダトーレ112iが出展されました。

そのモデルはペリメータスコープが廃止され、一般的なドアミラーが左右に装着されており、ホイールも5スポークタイプに改められたほか、ボディにはメルセデスベンツのエンブレムが取り付けられていました。

エンジンも600ps以上を発生する7リッターのメルセデスベンツ製V12エンジンに換装されていました。

2016年にイズデラAGは当時の所有者からコメンダトーレ112iを買い戻し、ボディやエンジン、ホイールなどをオリジナルの状態に復元し、再びミラーレス/ペリメータースコープという外観に戻っています。

ボディも元々のポルシェ純正アークティックシルバーで再塗装されています。

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そんな1台しか存在しないはずのコメンダトーレ112iですが、『ES−UK 112H』というライセンスプレートが取り付けられたもう1台の個体が存在しています。

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どうやら、このライトアイボリーの個体は、本来のイズデラAGが倒産する前に未完成だった2台目のコメンダトーレ112iを基に制作された個体のようです。

オリジナルと比べるとエキゾーストパイプの出口がサイドに設けられていたり、リヤのグリルが簡素なものになっているほか、バンパー/ディフューザーの形状もオリジナルとは異なっています。

インテリアもメーターやダッシュパネルのデザインがオリジナルと全く違うものになっているのが特徴です。

計画されていたルマン仕様、もしくはより走りに振ったGTモデルを基に制作されたのは間違いないでしょう。

未完成の個体のオーナーは、インペレーターを所有しているコレクターで、同氏はシュルツ氏にモデルを完成させてほしいという依頼を直接行っていたようですが、このライトアイボリーの個体がどのような経緯で完成に至ったか、詳しいことは判っていません。

ただしイズデラAGとしては、メーカーズプレートも無くVINコードも持たないこの個体を正式には認めておらず、あろうことかオリジナルのインペレーター108iに取り付けられていたライセンスプレートが取り付けられていることもあり、どうやら所有者との間で揉めているようです。

☆1993イズデラ・コメンダトーレ112i 車両諸元
全長:4665mm
全幅:1885mm
全高:1040mm
ホイールベース:2600mm
トレッド:前後とも1550mm
車両重量:1480kg

エンジン型式:メルセデスベンツ製M120
エンジン形式:水冷60°V型12気筒DOHC48バルブ
ボア×ストローク:89×80.2mm
総排気量:5987cc
最高出力:408ps/5200rpm
最大トルク:59.1kgm/3600rpm
燃料タンク容量:120リットル

トランスミッション:ルーフ製ゲトラグ6速マニュアル

サスペンション:不明(ポルシェ928流用)

ブレーキ:4輪ベンチレーテッドディスク F332mm径 R312mm径

ホイール:F8.5J×18 R10J×19

タイヤ:F255/35ZR18 R295/35ZR19

☆参照記事
Carscoops
https://www.carscoops.com/2020/12/the-one-and-only-isdera-commendatore-112i-is-up-for-grabs/

SECRET-CLASSICS
https://www.secret-classics.com/isdera-commendatore-112i/

☆スペック参照
Carfolio.com
https://www.carfolio.com/isdera-commendatore-112i-5258

SUPERCARS.NET
https://www.supercars.net/blog/1993-isdera-commendatore-112i/


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