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2020年09月26日22:24

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「〜たら」と「〜れば」をめぐって 独り言です34くらい──日本語教師関連編14くらいの顛末

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【23】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1975055968&owner_id=5019671

mixi日記2020年09月26日から

 テーマサイトは下記。
【「ば」は後ろには依頼などの表現は付けられない、主語が違う場合、つけられるといいますが、】2020/09/16
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/11896534.html
===========引用開始
「ば」は後ろには依頼などの表現は付けられない、主語が違う場合、つけられるといいますが、つまり、「雨が降れば、窓を閉めてください」という文は文法的には正しいですね、確認したいんですが、教えていただければ助かります

【質問者からの補足コメント】補足日時:2020/09/16 23:57
皆さん、はっきり言えなくて、すみませんでした、中国の先生が編集している参考書に、「s1+ば、s2」という文型が書いてありますが、「s1の動詞は状態系述語文、あるいは、前後の主語が違う場合は、後ろに依頼文とか、意志文とか、命令分とか付けられないという制限があって、でも、テキストの後ろに「×雨が降れば、窓を閉めてください」と強調しました、どうしても理解できなくて、皆さんに伺ってみました、丁寧なご返信を、誠にありがとうございます
===========引用終了

 まず当方のコメントを回収する。
===========引用開始
No.6

回答者: 1311tobi 回答日時:2020/09/16 20:25
こういう質問をするならば、できるだけ詳しく書いてください。
 これなら、「ば」の後ろに依頼がついていてもおかしくないですよね。

〈「ば」は後ろには依頼などの表現は付けられない〉
〈主語が違う場合、つけられる〉
 これは何に書いてあったのか。信頼できる書籍なのか。「依頼」のほかに何かあったのか。そのあたりを教えていただけませんか。
 
 以前、同様の質問を見ました(詳細は下記リンク参照)。
 そのときは〈参考書はスリーエーネットワークの日本語文法ハンドブック 222ページ〉に
===========引用開始
「〜ば」の文では、原則として、後件に意志・希望・命令・依頼などの表現はくることはありません。この点で「〜たら」とは異なります。  
===========引用終了
 と書いてあったそうです。
 信頼できる参考書のはずですが、この記述は疑問です。あてはまらない例文がいくらでも考えられます。

1)雨が降れば、試合を中止する(意志)←やや不自然な気がしますが、辞書にある例文です
2)君さえよければ、一緒に行きたい(希望)
3)それでよければ、やりなさい(命令)
4)それでよければ、お願いします(依頼)

 4)は主語が違いますかね。
 でも「それでよければ、始めてください」なら、主語は同じですよね。
 主語が同じか違うかはあまり関係ないのでは。

 先行コメントにも、あてはまらない例がありますね。
 ただし、
★雨が降れば、屋根が閉まります。
★電車が間に合えば、行けると思います。
★学校が始まれば行きます。
 は後半が「依頼」になっていないので意味不明です。何かの勘違いでしょう。

 日本語文法ハンドブックの〈この点で「〜たら」とは異なります〉は、わからなくはありません。「雨が降れば、窓を閉めてください」はちょっと不自然で、「雨が降ったら、窓を閉めてください」のほうが自然と言いたいのでしょう。
 でも、
〈「ば」は後ろには依頼などの表現は付けられない〉
〈主語が違う場合、つけられる〉
 とは言えないでしょうね。

 この「ば」「たら」「なら」「と」は、ちゃんと書こうとするとたいへんなことになります。詳しくは下記をご参照ください。冒頭の例文は「ば」ではなく「ならば」を使っているのでちょっとズルかもしれません。
【「〜たら」と「〜れば」をめぐって 独り言です34くらい──日本語教師関連編14くらい】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-721.html
===========引用終了

 これに対して質問者が補足コメントを入れた。
 あのさぁー。そういう記述を抜いて書いたらダメでしょ。論外。
 実はこの数分前に、ある意味衝撃的なコメントが入っている。質問者が補足コメントを書く前に読んでいるか否かは不明。
===========引用開始
No.10

回答者: nwsaburoo 回答日時:2020/09/16 23:51
難しい問題ですね。

まず、いくつか資料を。

1 松岡弘監修(2000)『日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク

  「〜ば」の文では、原則として、後件に意志・希望・命令・依頼などの表現が来ることはありません。この点で後に述べる「〜たら」とは異なります。
  (5){×帰宅すれば、/帰宅したら}、必ずうがいをしなさい。
 ただし、前件の述語が状態性の場合((6))、および前件と後件の主体が異なる場合((7))は例外となります。
  (6) わからないことがあれば、いつでも聞いてください。
  (7) 父が許してくれれば、彼と結婚するつもりです。      (p.222)

2 蓮沼・有田・前田(2001)『セルフマスターシリーズ7 条件表現』くろしお出版

  バには次のような制限がある。タラにはこのような制限はない。
 1.Yが依頼・命令・意志・希望・勧め・許可・義務などを表すときには、
   Xは状態述語だけが使える。
        X            Y
     ○時間があれ  バ   仕事を手伝ってくれ。    (依頼)
     ○時間があっ  タラ  仕事を手伝いなさい。    (命令)
     ×あした来れ  バ   先生の部屋に寄ろう・寄りたい。(意志・希望)
     ○あした来   タラ

     ×二、三分たて バ           足したほうがいい (勧め)
     ○二、三分たっ タラ ふたをあけて水を 足していいです  (許可)
                         足さなければならない(義務) 

3 庭三郎「現代日本語文法概説」から (1999)

 49.3 〜ば
 (略)
 「〜ば」の制限としてよく言われるのは、主節(後件)の述語に制限があることです。
 命令や強い意志などを表わす文はだめです。
    ×間違いを見付ければ、すぐ直しなさい。(→たら)       
    ×ご飯を食べれば、散歩に行きましょう。(→たら) 
    ?雨が降れば、中止にしよう。 
 しかし、前件の述語が非意志的な状態の時は、使えます。
     次の文に間違いがあれば直しなさい。
     何か不満があれば、どうぞ言って下さい。
     食べ物が足りなければ、買いに行きましょう。
     帰りたければ、帰りなさい。   (「希望」は意志ではない)
     安ければ、たくさん買おう。
    ×風邪をひけば、すぐ薬を飲みなさい。(○ひいたら)
    ?彼がいれば、連れてきて下さい。  (○いたら)


◇コメント
この「〜ば」に関する「制限」は、けっこう昔から言われているものです。
    後件に意志・希望・命令・依頼などの表現が来ることはありません。(『ハンドブック』)

ただし、『ハンドブック』が書いているように、「前件の述語が状態性の場合」は「例外」となり、制限がなくなります。(私は「非意志的な状態」としました。)
これを言っておかないと、「あてはまらない例文がいくらでも考えられます」。
No.6の回答の「〜よければ、〜」は状態性ですね。No.3の(1)「あれば」も状態性です。

もう一つの「例外」、「前件と後件の主体が異なる場合」については、よくわかりません。
    雨が降れば、試合を中止する。
は、この例ですが、
    雨が降れば、試合を中止しよう。
    雨が降れば、試合を中止しなさい/しろ。
とすると、どうでしょうか。「ちょっと引っかかるけど、OK」でしょうか。
「〜たら」にすれば問題ないことは明らかです。

以上が「バの制限」に関する説明の基本ですが、実際に例文を検討していくと、なかなか難しいところがあります。

「〜しよう」という強い意志はダメでも、「〜する」という「終止形」による「意志」だと言えてしまいそうだとか、依頼の「〜てください」はけっこう言える、とか。
(私の「文法概説」では「命令や強い意志など」として、「依頼」は抜いてあります。)

質問の例文、

    「雨が降れば、窓を閉めてください」

は、OKと言う人がけっこういるようですが、私には?です。
言われてわかるし、「間違いだ」とは思いませんが、自分ではそう言わないな、と思います。

文法の問題は、○か×かがはっきりしている問題もありますが、その中間がいろいろあって、程度問題に過ぎないこともよくあります。
また、「そういう使い方が多い/少ない」だけだとか、文体によって違うとか、世代によって違うとか。

条件表現の「文法性/適格性」の判断は、人により多少違い、方言によってもけっこう違うようです。
関西の研究者が話しことばの条件表現について書いた論文で、どうも内省の違いがあるな、と感じたことがあります。
なお、話しことばの文法が方言によって違うのは当然のことです。形式が違えばはっきりしますが、形が同じだと、その違いが見えにくくなります。

それにしても、上に出した例文で、

    ×間違いを見付ければ、すぐ直しなさい。(→たら)       
    ×ご飯を食べれば、散歩に行きましょう。(→たら) (「ご飯を食べる」のは「私達」)

これらをOKだと言う人は、私とは頭の中にもっている「文法」が少し違うのだな、と思うしかありません。そう言う人が多ければ、私は少数派になります。

saburoo 
===========引用終了

 ったく。こういうちゃんとしたコメントが入るなら、当方が手間をかける必要はなかったのに……。
『日本語文法ハンドブック』にも〈ただし、前件の述語が状態性の場合((6))、および前件と後件の主体が異なる場合((7))は例外となります。〉とあるらしい。そこを省略してはダメでしょう。
 ということは、当方がひいたmixiののやり取りもメチャクチャ。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46604909&comment_count=1&comm_id=19124
 質問のしかたが論外。しかもコメントしているのは、当方以外は日本語教師だよね。誰一人『日本語文法ハンドブック』の原本を確認してないってこと。

 こうなるとトンデモなのは参考書ではなく●●のほうだろう。
 中国のナゾの参考書にも〈あるいは、前後の主語が違う場合は、〉とあるが、よく読むと、これは『日本語文法ハンドブック』の記述とはちょっと違う。
 ちなみに庭先生のコメントにも〈「前件と後件の主体が異なる場合」については、よくわかりません〉とあるように、よくわからないというのが正解だろう。

 この質問は、No.10のコメントで終わっているはず。
 ところがそのあとに、本題と関係のないやり取りが延々と……。
 下記を思い出した。
【「洗濯に」と「洗濯しに」の違いを教えて下さい】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/11698966.html
 なんと申しましょか。
 出色?はNo.14のコメントだろう。こんなヒドい論理?を堂々と。案の定No.18にコテンパンに……でもダウンしないんだよな(笑)。

〈【たら】は、基本的に、【一回限りの仮定→帰結】という関係性を表わす場合に使われる仮定条件〉というのも根拠が不明だけど、ネット検索すると同じような主張は多い。真偽はよくわからない。
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