ネタバレの定義……なんて可能なのか

　ネットで公開しているものの話をするなってのがまずもっておかしい話。じゃあ今週のジャンプ＋のドラゴンボール319話ならどうだ。

１「スーパーサイヤ人の悟空つえー！」

悟空の強さに関しては前回の話でも既に描写があったので、ネタバレにはならなさそう。

２「スーパーサイヤ人の悟空固ぇー！」

確かゲームなんかでは「デスビーム」と名付けられているらしいフリーザの「指先からビーム」を顔面に喰らっても平気だったシーンについての言及。これは初の描写なので、ネタバレになりそうだが、このコメントだけでは「なんで固いと思ったのかがわからない」ので、ギリでネタバレにはならないか……？

３「スーパーサイヤ人の悟空はフリーザのビーム平気なのかぁ！？」

こうなると完全にこの話の中の内容描写に関わるのでネタバレになりそう。ただ、前回の時点でかなりのエネルギー波を喰らっても平気だったので、読者的には「フリーザはこのビームにすごい自信があったんだなぁ」という感じではある。しかしなんにせよ、この「ビームが効かない＝勝てない」とフリーザが結論付けるほどの技（結構ホイホイ連射出来るのにね）であり、完全に敗北を認めることになるこの描写はネタバレとしては悪質なのかもしれない。

４「ナメック星破壊されたらおしまいやん！」

完全にこの話のオチの部分なので、ネタバレになりそう。

　結局のところ、今回の話の中でネタバレにならない範囲で言えそうな感想といえば

「悟空つえー」

程度のことしかない。漫画の感想を言う上で、こんなクソつまんねー感想あるか？　全てが新展開だったらもう本当に

「おもしれー」か「つまんねー」

しか言いようがないぞ。


　今回の「ネタバレをやめてほしい」という話の根幹は

「本で読む人のためにネタバレをするな」

という話だが、本を買ったとしてその人がいつ読むのかはわからない。本の発売日、書店が開くのが10時だとして、本を購入して漫画を読み終わるのが10分後だとして当日の10時10分からネタバレが解禁なのか？　それとも雑誌ならコンビニで売ってるからもっと早くてもいいのか？　でもみんながみんな朝イチでコンビニで買うのか？

でも買った本をすぐその場で読む人ってそんなにいるだろうか。通勤電車とかならそこそこいそうだが、個人的には電車で立って本読めないタイプなので、座れなかった場合はお昼とかに読む事になる。

人によってはその日に読むかどうかもわからない。何か事情か考えがあって明日か、明後日かに読む人。帰りに買って夜読む人。「後で読もう」と積んでおく人もいるかもしれない。

そしたらもう一生ネタバレを含む話は出来なくなる。


　で、タイトルの「ネタバレの定義が出来るのか」だが、やるとしたら各漫画、各話について「これの話をしたらネタバレだから訴訟」というリストでも作るつもりなのか？　それともネタバレ訴訟担当の編集でも作るつもりか？　担当編集が「これはネタバレです！」→編集長「よし、訴訟だ！」とかって感じか？

さらにこれの困る所は、仮に各漫画、各話の「ネタバレの定義」を作成したとして、それを公表出来ない事にある。なぜならネタバレになるからだ。判定基準が公表されないのに何か言ったら罪に問われるとか言われたら、もう何も言えないよね。

そして「ネタバレの定義」をもっと漫画全般にあてはめられるようにして作ると、「その話の中で重要な要素について話す事」みたいにしてもやっぱりどうしたって曖昧だし、どこがどう重要だったと思うかは人によって違う。「フリーザがナメック星を破壊することは予想出来た事だったので、別に平気ですわ」という人にとっては別になんともないだろうが、「なるほどその手があるのか！」と思った人には嫌なネタバレになるかもしれない。この場合は後者を守る事になるだろうが、こうしてどんどん察しの悪い人に合わせて行ったら、最終的にやはり何も話せなくなると思う。「スーパーサイヤ人とはいえこんなに強いんだなぁ〜」って思う人にとっては、「悟空つえー」さえも悪質なネタバレかもしれないわけだ。


　もちろん漫画のスクリーンショットを載せるのが論外なことは言うまでもないが一応言っておく。「スクリーンショットはやめてよ」だけなら良かったんだけどなぁ……。

　私が一番腹が立ったのは、ネットで漫画を読む読者をゴキブリかハイエナかのような言い方をしたことだ。公開されているものを読むのがそんなに悪い事だったなんて知りませんでした。

　ネットで漫画読まれることがそんなにイヤならさっさとWeb掲載とかジャンプ＋とかやめたらいいんじゃないですか。