mixiユーザー(id:1471688)

2020年05月19日16:06

66 view

【本】【ブックカバーチャレンジ7日/その2】

本日取り上げるのは、1984年に刊行されて2014年に文春文庫から復刻したテリー・ホワイトの『真夜中の相棒』と言う小説。


マックとジョニーは、ヴェトナムの戦場で出会った。住民を虐殺した村のなかで、ひとり虚脱した青年兵のジョニーがいた。精神を病み、だれかそばにいないと生きていけないほどだった。マックはジョニーの面倒を見、除隊したあとも、ニューヨークで一緒に生活をはじめるが、窮乏から殺し屋稼業に乗り出す。マックが仕事をとり、ジョニーが殺す役割だった。腕利きの評判を勝ち得ていたが、招かざる客を射殺して運命が変わる。

これも内藤陳さんの『読まずに死ねるか』にて紹介されて、読んで打ちのめされた一冊であります。誰も庇ってくれない大都会の片隅でギャンブルの為身を持ち崩してしまうマック(本名:アレグザンダー・マッカーシー)が、一人では生きていけなさそうなんだけれども拳銃の腕は天才的なジョニー(本名:ジョン・ポール・グリフィス)がその腕を活かし生計を立てていくんですが、もう一組の男同士の連れ合いがいて相棒を殺されたサイモンと言う刑事が二人の行方を追うと言う話。だから原題は『Triangle』なんですね。

この小説の凄いところは、同性愛的な関係に限りなく近いけれどもギリギリのところで距離を置いているところでして、マックとジョニーの関係は不安で、孤独で、寂しいありようが、しんしんと伝わってくる。生きがたく、不器用で、ねじれたまま、何かしら流されていくしかない人生の混沌とした手触りが、たまらなく愛おしいのであります。

ゴールデン街のバー「深夜+1」では、ボトルを入れる時に、そのボトルに自分の好きな小説や映画の主人公や題名を付けるのが習わしで、初代オーナーであり今は亡き内藤陳さんのフォア・ローゼスのボトルにはエド・マクベイン先生がカート・キャノン名義で発表した『酔いどれ探偵街を行く』の主人公である「カート・キャノン」を付けておりました。自分の記憶が確かならばアーリー・タイムズのボトルにはギャビアン・ライアルの名作『深夜プラスワン』の主人公である酔いどれガンマンの「ハーヴェイ・ロベル」だった気がします。このボトルのハンドルネームは人とダブらないことがルールでして、自分の最初に入れたボトルはニッカウィスキーでこの小説の主人公である「ジョン・ポール・グリフィス」を付けたのが最初であります。ハンドルネームはコロコロと変わって今は『シン・レッド・ライン』に落ち着いております。
4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年05月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31