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2020年01月17日21:44

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【史実を検証】映画『フォードvsフェラーリ』

http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1833905&id=4898082


1月16日、IMAXレーザー(2D)にて鑑賞。
轟音とスピード、駆け引きのスリルを存分に堪能しました。
しかも、4DXシアターからの振動で座席が揺れ、臨場感はさらにアーップ!笑
痛快!爽快!大興奮!2時間半を一気に駆け抜けました。
ラストにはしみじみした余韻もあり。
1960年代アメリカの気分を彷彿とさせる彩り豊かな音楽もゴキゲンです。

(試聴)https://www.amazon.co.jp/dp/B0817BSYMD


レースカー製作と同様、物語の方も冒頭で大胆な整理と軽量化が図られたおかげで、
キビキビ展開しました。骨組みが簡単になった分、とっても分かりやすい。
だから、車やレースはチンプンカンプンな観客でも大丈夫です。笑

伝統的な大作ハリウッド映画のお約束はきっちり守られ、安定感も抜群でした。

男前でマッチョでアウトサイダーのヒーロー、男同士の熱い友情、強いライバル、
クールで色っぽい美女、素直で可愛い子供、家族愛、憎々しい悪役、明快な構図。

一般大衆が見たいものは一通り揃っていて、提示するテンポも順序もバッチリ。

(例えば、ケンの妻モリーはやたらいい女。 https://youtu.be/xWALxhDrCjk


さらに、最初から最後まで、かっこいい車がノーCGでバリバリ走りまくる!
なんだかんだ言って、これが本作の見どころであります。

エンドクレジットを確認したらVFXチームはいたものの、驚くほど人数が少ない。
YouTubeに、クラッシュシーン撮影の様子がアップされています。

https://www.club-typhoon.com/archives/2020/01/04/ford-film-ferrari.html#CG

レースカーを大砲のような装置でぶっ飛ばしていたとは恐れ入りました。笑
この手作り感がとても贅沢で、生々しい興奮を生んでいます。

 


(このシーンは意外とツボww でも、史実ではないそうです)
 




さて。作品は面白かったんですが、「史実はどうだったの?」と気になって…。
帰宅した瞬間、調べまくりました。笑
以下は完全ネタバレで書きますので、読みたい方だけお進みくださいませ。






1966年ル・マン24時間レースについて、「3台同時にゴールしたが後ろからスタートしたマクラーレンが1着とされた」瞬間、私は「嘘でしょ!」と突っ込みました。そんなルールはありえないと思ったから。
2時間で決着がつくマラソンでもそんな補正はないのに、「24時間レース」で?
スタート時のわずかな距離なんて誤差でしょ。コース取り等で出る差もあるのに。

しかも、マスコミやギャラリー全員がその変なルールを知っている(だから、みんな一斉にマクラーレンに駆け寄った)にも関わらず、「優勝経験者のシェルビーとベテランのマイルズだけが知らない」だなんて、おかしくない??

モータースポーツファンの人たちが、こんなレビューを投稿していました。

『史実においてマクラーレン/エイモン組が優勝となったのは、彼らのミスで追い越してしまったことによるものであり、のちにフォード社もマイルズ/ハルム組を同時優勝とするよう協会へ依頼したが認められなかったということをここに記します。』

https://eiga.com/movie/90540/review/02244369/

『ちなみに劇中に登場する副社長=レオ・ビーブは憎まれ役として脚色されてしまっているけど、実際はあんな人じゃありません。 ゴールシーンも実際とはちょっと違う。』

https://eiga.com/movie/90540/review/02245282/

この点、英語版wikiには映画通りの経緯とありますが…。

https://en.wikipedia.org/w/index.php?&oldid=935274298


危険・警告追記・証拠映像を見つけました! 黒がマクラーレン、白がマイルズ
  ゴールの瞬間は 25:21〜 です  https://youtu.be/7rrVOVuwPV0?t=1521



そこで、「副社長、そんなに悪人じゃなかったかもよ?」疑惑と、「マイルズ、そんなに"ブルドッグ"(噛みつき屋)じゃなかったかもよ?」疑惑を検証してみました。

まず、副社長。実際は「いい人」だったようです。

 https://theriver.jp/fvf-leo-beebe-truth/

『3台同時フィニッシュがマイルズの勝利を奪ってしまうことについては、想定外だったようだ。当時、「同時フィニッシュの場合は長く走った走者が勝つ」というケースは前例もなかったこと。ゴール後、マイルズが2着に降格したと知ったとき、ビーブは「なんてこった、こんなはずじゃなかったのに」と言ったという。』

だったら、少なくとも3台同着後の順位決定は「審議」だったでしょうね。

余談ですが、『フェラーリ会長の観戦はジェームズ・マンゴールド監督が用意した架空の設定だった』『自分のドライバーがあまりにもコース上で死にまくっていたかららしい』『ヘンリー・フォード2世がレース中にヘリで夕食に出かけたという逸話は事実』とか。

https://theriver.jp/fvf-creation/2/


次に、ケン・マイルズの英語版wikiで、彼が残した言葉を見つけました。

I am a mechanic. That has been the direction of my entire vocational life. Driving is a hobby, a relaxation for me, like golfing is to others. I should like to drive a Formula One machine, not for the grand prize, but just to see what it is like. I should think it would be jolly good fun!

https://en.wikipedia.org/w/index.php?&oldid=935274298

これを見る限り、穏やかで内向的な職人っぽい雰囲気ですねぇ…。

マイルズは1963年にシェルビー・アメリカンのチーフドライバーに就任。
1965年の24hル・マンは故障でリタイア。翌1966年は「上層部の意向を受けたシェルビーの指示で」減速し2位。同年8月、テスト走行中にクラッシュし、即死。享年47。

そう、マイルズは「2回」、24hル・マンに出場していました。

実は私、そのことだけは知っていたんです。だから、クライマックスのレースで「あれ?1年目、やけに長くない?」と思っていました。爆
さらに、ブレーキ交換後、ピットに佇むシェルビーの足に当たったナットが転がっていき、フェラーリのメカニックが拾い上げる…というシーンで(これはマイルズの車が故障する伏線?滝汗)と緊張しましたもん。結局、何も起こらず、あれの意味は何だったの??と首を傾げています。爆

 




その他、気になった点としては、シェルビーがマイルズを口説き落とした直後「英国から」レース車が届いたこと。あれってつまり、「英国で作ってる」ってことでしょ。
マイルズは改造担当?いや、ひげのおじさんが改造のチーフだよね?とモヤモヤ。爆

あと、ル・マンの本番で、マクラーレン・チームのメカニックは仕事がやたら早いなとシェルビーが気づき、ひげのおじさんが「なんとかを引き抜いた」と囁くとシェルビー驚愕!という件。
いくら別チームとはいえ、その情報を本番まで知らなかったの?とか、ピットイン時間の計測や時間を縮める訓練をやってなかったの?とか、多々モヤモヤ…。爆

そして、常に死と隣り合わせのカーレース業界を生き抜いてきたシェルビーが、マイルズの死後半年経ってもメソメソしている様子も、少々腑に落ちませんでした。
しんみり締めた方がドラマとしては面白いんですけどね。
史実は違うだろうと確信(笑)しながらも、心地よく結末を見届けました。



その他「史実と映画の共通点や差異について」は、こちらの記事が詳しいです。

https://www.club-typhoon.com/archives/2020/01/04/ford-film-ferrari.html#i-3




「フォードvsフェラーリ」公式 http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/


hayamiさんの感想日記
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974289965&owner_id=2399973

zooeyさんの感想日記
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974355310&owner_id=547825


 

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