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2020年01月09日11:00

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『家族を想うとき』感想

〜イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士として時間外まで1日中働いていた。家族の幸せのためを思っての仕事が、いつしか家族が一緒に顔を合わせる時間を奪い、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンは寂しさを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう〜<映画.comさんより>

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年末ギリギリに観賞して、昨年度の私のベストテン2位作品。

観た直後の私のツイートバッド(下向き矢印)
「これでもかこれでもかの苦境の連続に巻き込まれ呼吸困難に。
どれだけ懸命に働いても、その理不尽なシステムにおいては、どん底から這い上がれない。
妻の叫びに号泣。
エンディングのその先は、観客に委ねられた。
ダブルミーニングのタイトルの余韻。
闘うローチ監督にしか描けない家族愛と尊厳」

実は、先日、また観てきました。
2回目は、展開がわかっているから、タイトルが出る場面にゾクっ。
長男セブの声質、話し方が『シング・ストリート』のエイモンに似てる(どうでもいいからあせあせ(飛び散る汗)

ずっと我慢、我慢、我慢。
ただ、普通に幸せになりたいだけなのに。
家族のために選んだ仕事。それが家族を遠ざけ、何ひとつ上手くまわらなくなる。
早く持ち家がほしい。でも、借金もあるから、とりあえず、それを返さなきゃ。
でも、新しい仕事のために、更に借金をしてしまう。

リッキーの仕事はルールと罰金でがんじがらめ。
車から2分離れたらブザーが鳴り、ドライバーたちがどこにいるか、どんなルートで配達しているか、すべて、端末でお見通し。
他人はもちろん、車に家族を乗せるのも禁止。自分の車なのに!!

妻のアビーは介護福祉士。夫のみならず、妻も朝早くから夜遅くまで働きっぱなし。
だが、彼女の仕事のモットーは「(介護する人たちを)自分の家族だと思って接する」。
介護者の一人から「髪をとかさせて〜」とお願いされたけど「忙しいから今度ね」と断る場面と、とかさせてあげながら涙ぐむ場面。こちらまでもらい泣き。

リッキーの仕事の端末と、息子セブのスマホ。
それぞれの大事な’命’。それらが、破壊され、奪われる。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』では豆の缶詰が印象に残ったが、この作品でも、出てくる食材は、’超’がつくほど、庶民的なものばかり。
シリアル、パスタ、唯一の贅沢がテイクアウトのカレー。
シリアルは、通常は朝食だけど、学校帰りの娘ライザがおやつとしても食べていた。

万引きしてしまった息子。
警官の言葉に胸を打たれる。
「君には君を想ってくれる家族がいる。お父さんは、忙しい中、来てくれた。全く来てくれない家族だっているんだぞ。気持ちを改めるんだ。新しいスタートを切れ」
邦題は、おそらくこの場面の台詞からとったのでは?

原題の『Sorry We Missed You』は英国の不在連絡票のこと。
きっとこれはダブルミーニングなんだろうと観賞前から思っていたのだけど、確かにそうだと確信したのが、ラスト近くの場面。
不在連絡票に込めたリッキーからの家族への謝罪と愛。
「ごめんな。いつもすれ違いばかりで・・・」

残念だったのが・・・セブの仲間たちとの活動が、イマイチわかりづらかった。
あとは、エンディング。
最初に観た時、やや物足りなく感じて、でも、もう一度観たら変わるかなって思ったんだけど、2回観ても、やはり、やや物足りなかった。
あれで終わらせた監督の気持ちや意図は、とってもわかるのだが・・・ううっ、こちらとしては、あと一つ何かがあったほうが、更に、作品を深く感じられたのではと思ったのです。

そんな中でも、ローチ監督ならではのユーモアに吹き出したり。
相変わらずのサッカー談義!かなりのローチ作品で、サッカーが出てくるのよね(笑)

3本足の犬。ゴミ袋で溢れている道を子供の自転車で走り抜けるリッキー。

エンドクレジットの「(業界の)情報をくれた皆、ありがとう。決して名前を教えてくれなかった彼ら」がこれまた印象的。

ケン・ローチ監督へ
年齢的に、体力的に、映画作りは、ますます厳しくなられるとは思うのですが・・・現代社会は、まだまだローチ監督作が必要です!!
あなたの力強き信念が、容赦なき描写が、そして、温かな眼差しが必要です。
無理なさらず程度で、もう少し、作り続けていただけたら、幸いです。4.5☆
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