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2019年12月08日04:11

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Bamberg

2016年に書いた記事です。
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地ビールの宝庫・バンベルク

 ドイツ・バイエルン州の北部、ミュンヘンから250キロメートルの所にあるバンベルクは、10世紀以来の伝統を持つ城下町。幸い第二次世界大戦による空襲を免れたため、中世の雰囲気がドイツで最も強く残っている街の1つだ。レグニッツ川に面したバロック風の市庁舎など、壮麗な建築物が多い。
 バンベルクは、ビールファンにとっても魅力的な町だ。人口は約4万人の小さな町だが、約50種類のビールがある。チェコに近いこの地方では、中世からビールの醸造が盛んに行われてきた。1818年には、バンベルクだけで65の醸造所があった。今でも、バンベルクには10軒の地ビールの醸造所があるほか、町の周辺には90ヶ所の醸造所がある。これらの醸造所はたいてい居酒屋も持っており、そこで作られた生ビールを飲める。
 1405年から営業している居酒屋シュレンケルラは、その1つ。高い天井を持つ中世風の建物は、常に満員。このため、ビールを買って店の前で立ち飲みをする人々も多い。シュレンケルラの名物は、ラウホビーア(煙のビール)と呼ばれる黒ビールだ。木炭の燻製のような独特の香りがある。ビールの原料であるモルトを乾燥させる時に、木炭の煙を吸わせるためにこのような香りがつく。私は26年間ドイツにいるが、ラウホビーアを飲んだのは、初めて。バンベルクでしか飲めない特産品だ。
 この店を出て、同じ通りにあるアンブロイズィアヌムという居酒屋に入る。大きな銅製のビールの醸造釜が目に飛び込んでくる。この居酒屋が入っている建物は、13世紀に建てられたもの。ここでは色が薄い生ビールを飲んだが、ハーブのような独特の後味があった。3日間で5種類の地ビールを味わったが、どれも甲乙つけ難い。ビール愛好家のために、1日をかけて10ヶ所の醸造所を回り、ビールを試飲するツアーもあるそうだ。
 ミュンヘンにもビアホールはあるが、大半のレストランで出てくるのは、レーベンブロイ、アウグスティーナー、シュパーテンなど大手醸造所のビールばかり。バンベルクほど地ビールの種類は多くない。バンベルクでは、一つの道に複数の醸造所が並び、作ったばかりの地ビールを飲ませるのだから、正に地ビール帝国である。ビール党の方は、一度バンベルクまで足をのばしてみてはどうだろうか。
(熊谷 徹 ミュンヘン在住)

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