下記は、2019.10.19 付の 産経抄 です。
記
至極もっともな話でも、この人が口に出すと抵抗を覚える。「益々(ますます)災害は大型化してきます。老朽化した橋梁(きょうりょう)、道路、河川の堤防などの総点検を東京五輪などより最優先すべきです」。甚大な被害をもたらした台風19号を受け、鳩山由紀夫元首相が15日に自身のツイッターに記した言葉である。
▼平成21年9月発足の民主党・鳩山内閣は聞こえの良い「コンクリートから人へ」をキャッチフレーズにした。ダム建設など公共事業は政官業の癒着の温床だと強調し、事業仕分けなどで予算をカットしたが、そこは気にならないらしい。
▼ダム批判の象徴が、群馬県長野原町の八ツ場ダムだった。日本三大暴れ川の一つ、利根川流域の1都5県の利水と治水のため計画が進められていたが、民主党政権が一時凍結した。政権交代後に着工され、今月1日にようやく安全性確認のための試験湛水(たんすい)を始めたばかりだった。
▼ぎりぎり間に合って大氾濫を防げたというのが、多くの国民の感想ではないか。にもかかわらず、鳩山氏は18日のツイッターで強弁した。「ダム推進派は八ッ場ダムのお蔭(かげ)で利根川を守ったと強調しているようだ。でもそれは事実ではない」。
▼かと思うと、民主党政権2代目の首相、立憲民主党の菅直人最高顧問は、台風19号の関東直撃後の13日昼のツイッターに書き込んでいた。「改めて『備えあれば患(うれ)いなし』という言葉をかみしめています」。はて菅内閣は台風被害を防ぐため、どんな備えをしていたっけ。
▼立憲民主党会派の岡田克也元副総理も17日、記者団に語った。「(八ツ場ダムの)1つの事例を捉えて、大規模ダムの建設を正当化するのは当たらない」。旧民主党政権幹部の辞書に、「反省」の文字は見当たらない。
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20191019/0001.html
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