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2019年07月12日22:59

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5.15事件の法廷模様 陸海軍には甘く民間人に厳しい判決が

 5・15事件は陸軍側の士官候補生、海軍側の青年士官らの異様に感情的な法廷模様と違って、民間側の参加者には冷酷そのものだった。軍人側は言いたいことを存分に述べる機会が与えられた。決行者たちは自分の命はどうなってもいい、国を救いたいのだ、と涙を流して訴え、世間に情緒一本やりの空間をつくった。

 陸軍側の判決言い渡しの日、法廷の傍聴席から初老の婦人が「裁判長さま、この青年たちに温かい判決をお願い致します」と叫んだ。結果として、陸軍側の判決は被告人全員を禁錮4年とした。

 海軍側は、最終弁論が終わった2カ月後の昭和7年11月9日に判決が言い渡された。この日は1000人近い海軍の革新派の水兵などが、被告を奪還するために法廷を襲うという噂まで流れた。結局、主犯格の2人(三上卓と古賀清志の士官候補生)は15年、その他は13年。10年や執行猶予が付く判決など軍人への甘さがみられた。

 このような軍人への甘さに対して、民間側はあまりにも過酷であった。橘孝三郎を指導者と仰ぐ愛郷塾(水戸)の会員たちは事件に連座したといっても、実際は事件当日に東京周辺の発電所を止めようと計画したが、誰も実行できなかった。金づちで機械を叩いた程度である。首相官邸の襲撃に参加した者は一人もいない。

 民間側の法廷で、橘孝三郎にも弁明の機会が与えられた。橘は一高時代に学んだ西洋哲学と西洋思想を交えて自らの愛郷塾の思想を語った。橘も会員もやはり涙を流してこの時代の社会構造の歪みを訴えた。まさに軍人と同様の法廷風景であった。

 しかし判決はまったく異なっていた。橘孝三郎は無期懲役、他の2人の指導者は懲役15年と13年、決行者たちは10年から8年であった。

 軍事が起こすテロは刑が軽く、民間の場合は重罪。日本社会はバランスを失っていくこととなった。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258221
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