【時評】女性宮家賛成・皇国史観にNO！

日本書紀によれば、皇位継承の大原則は、天壌無窮の神勅。
天照大御神の子孫が日本を統治する。
父系も母系も関係ない。大原則は子孫であること。

皇統が父系で継承されてきた歴史的事実はない。
「継承されてきた」と称しているのは皇国史観の信奉者。
しかも記紀(古事記と日本書紀)には、父系継承を命じる文言は書かれていない。

歴史上、実在を認められた最古の天皇は第１５代応神天皇。
その両親は、いまだ実在を認められていない。
神話、伝説は歴史ではない。歴史とは区別して扱うこと。

応神の父については諸説ある。
記紀では仲哀天皇だが、疑問視する専門家もいる。
また住吉大社神代記によれば、応神天皇の父は住吉大神。
とはいえ母は神功皇后（皇族）だから、母系では天照大御神とつながってる。
応神は実在の天皇でありながら、父系天皇なのか、それとも母系天皇なのか不明。
それどころか、応神は新王朝の皇祖という説もある。

応神天皇の子孫、継体天皇にも謎が多い。
応神の子孫、武烈天皇には世継ぎがいなかった。
そこで武烈の姉妹(仁賢天皇の娘、内親王、皇女)が、婿養子を迎えることで、皇位をついだ。
継体、安閑、宣化、の３天皇だ。
記紀では、継体天皇は応神の子孫で、安閑、宣化は継体の息子とされている。
しかし歴史としては、継体は応神の子孫なのか？、継体と宣化、安閑は親子なのか？は、いまだ結論はでていない。不明である。

この古代3天皇の婚姻関係は複雑だ。
継体、安閑、宣化の親子3人は、仁賢天皇の娘(皇女・内親王)・3姉妹を皇后にしている。
親子3人が婿養子で、義兄弟でもある。
継体天皇と手白香皇女の間に生まれたのが、欽明天皇。
宣化天皇と橘仲皇女の間に生まれたのが、石姫皇女。
（手白香皇女と橘仲皇女は姉妹）
欽明天皇と石姫皇女の間に生まれたのが、敏達天皇。
歴史では、 欽明天皇は母系天皇であることは認められている。
だが父系天皇なのかは不明。

継体と宣化の２系統にわかれていた皇統が、敏達天皇で統合されている。
婚姻形態が複雑なので、継体、安閑、宣化は親子ではないのでは？と、指摘されているのだ。

余談ながら、このように皇統が複数にわかれ、また集まってくることを、万葉一統と呼ぶらしい。
万世一系よりも古い表現だ。
吉田松陰が唱えた。

記紀の記述を歴史とみなすことを皇国史観と呼ぶ。
かつて記紀は歴史だったが、現在では神話伝説。
すべての記述が歴史とは認められていない。
宮家の議論は、歴史と神話伝説を区別してほしい。

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■旧宮家の皇籍復帰提言へ＝自民保守派
(時事通信社 - 06月12日 17:01)
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