お題
イヤホン
新月
二束三文
本文
音楽を聴いていたイヤホンを外し
そっとカーテンを開けて
晴れた夜空に輝く新月を見る
明日にも二束三文の暮らしが待っているとは知らない私の
穏やかな夜だった
そして嵐のように私の生活は激変した
友人以上恋人未満
信頼していたその人の借金を肩代わりする羽目になるとは
夢ほどにも思わなかった
恋人が居ることもしらずに
それでも逃げてどこかで上手く暮らしてるなら
その想いから
事をあらたてずに
私はその肩代わりをした
ありつたけの財産で一気に支払いを済ませ
無一文から
生活保護をうけての出発だった
私には働ける体と
経営をしてきたノウハウがある
すぐにでも普通の生活に戻って見せる
そんな自信もあった
その想いの傍らに
私ではなく他の男を選んだその人を
見返してやりたい思いもあったと思う
ともかくも私がのんびり新月を再び覗く日は
そう遠くないはずなのだ
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