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2018年10月08日14:05

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陶と模様のものがたり 菊池コレクション

菊池寛実記念 智美術館へ“陶と模様のものがたり 菊池コレクション”を観に行きました。チケットは新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、いつもいつも有難う。
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この美術館、好きなのですが、なかなか行くチャンスがない。結構面白い企画展をやっているんだよね。そして、展示室が美しく、建物内部も美しいんだ。特に、らせん状の階段とクリスタルで出来た手すりね。
土曜日に行ったのに、「お客さん私だけ?」ってくらい少なくて空いていた。でも、1時半過ぎたら人が来て、私が帰る3時くらいに、マダムの団体が来ていたな。時間帯にもよるのかな?

↓陶と模様のものがたり公式HP
http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html

今回は、菊池コレクションから、模様に着目した陶器を展示。模様ってあって当たり前のような気がしていたのですが、そんなコトはなく、そもそも模様と一言で言っても絵付け、象嵌等色々あり、形、色、模様、これが揃って陶器なのか…と思いました。模様がない物は「模様がない」という模様なのかも知れない。

観賞してたら、係員さんに「どれが1番良かったですか?」と訊かれたが、1番はなかなか選べないよなぁ。一応「加山又造の三日月文大鉢」と答えたが、富本氏のも良かったし、布目みたいな陶器も良かったし。暫く、係員さんと陶芸談義をしました。折角だから、係員さんのイチオシも訊いておけば良かった(会話不如意の為、そこまで気が回らず)。あの係員さんは、仕事でこの美術館で義務的に働いてるんじゃなくて、本当に陶器が好きなんだろう(色々教えてくれたし)。

菊池氏は1950年代後半から現代陶器を集め出したらしい。模様は表面を飾るだけではなく、形にそって立体的に展開し土や釉薬等の素材、焼成が引き出す質感や色を相互に影響し合うことで、作品に複雑な表情をもたらす。手技が痕跡としてそのまま現れる直観的なもの、技術的に高度な絵付け等もある。
伊達や酔狂で適当に模様描いてるワケじゃないんだね(^_^;)。

まず、私の目当てが序盤で出て来た。加山又造『鉄絵金彩波涛三日月文大鉢』その名の通り、波涛の模様と三日月が描かれたデカイ鉢。波模様の地に金青に観える銀(金?)で描かれる三日月。月の色が観る角度によって、金、青、銀に変化する。まぁ〜美しい。ずっと観ていられる。これ観ただけで結構満足(笑)。

そもそも模様ってどういう種類があるの?ってコトなのだが。
☆絵付け 陶器に筆を用いて絵や模様を描き焼き付ける方法。釉薬の上に模様を表したり、釉薬の下に模様を表したりする。“色絵”は釉薬の上に表したもの。“染付”は釉薬の下に表したものを言うらしい。へぇ〜、知らなかった。

☆彫文 釘状の道具を用いて素地を彫る“線彫り”、ヘラを使う“ヘラ彫り”等がある。

☆貼付 素地と同じ土を用いて型抜きや手びねりで文様を作り、それを器面に貼り付ける。花瓶の耳や香炉の足も貼付けの一つ(なるほど!そうだよね。あれ、貼り付けてるよね)。

☆象嵌 素地の表面に線や模様を刻み、そこに素地色と異なる他の材料を嵌め込む。

☆釉彩 素地に釉薬で模様を彩り描く。殆どは異なった釉の二重がけ(かけ流し、あびせがけ等があるらしい)。あびせがけって相撲の技みたい(^_^;)。

☆練り込み 色や濃淡の異なる2種類以上の色土を練り合わせたり重ね合わせたりして文様を作る。焼成は高度(複数の色土を使うので)。土によって、焼ける温度違うもんね。

☆掻き落とし 生乾きの素地に化粧土や釉薬、絵具を塗った後、これの一部を削り取り、下層の色を出して模様とする。

このような技法があり、それぞれ味わいが違うんですね。形、模様、色とそれぞれの要素を不可分のものとして、作品の中で調和を図り制作していると解説にあった。形、模様、色は三位一体なんだな。

宮川香山(二代或いは三代)『青華彩色椿ニ文鳥之画花瓶』椿と文鳥の絵の花瓶。文鳥に金粉かな?(銀粉?)が使われているのか、キラキラしている。オレンジの椿と藍色の葉の美しさよ。

鈴木藏『織部大皿』水色と茶で描かれる川の急流のような模様。グッとU字に曲がる大胆な曲線。この人の他の作品が気になってググったら、予想に反して、優しそうな顔のオジサン出て来て驚いた(笑)。

藤平伸『飾筥 薊』デコボコがある物に紙を置いて上から鉛筆で擦ると、下の模様が浮き出て来るでしょ?それみたいな感じの質感なんだ。鉛褐色に白く浮き出る薊の花。どうやって作るんだ?オジサンが「この筥、蓋ついてるケド、この蓋、いらなくない?重いでしょ?」と係員さんに言っていたのが可笑しかった。確かにな(^_^;)。でも、その筥には、蓋が必要なのだろう。重くて実用性がなくてもだ。それは、縄文土器の縄目や使いづらそうな火焔の飾りと同じでサ。因みに、係員さん曰くお菓子を入れたりもする筥らしいよ。

伊藤東彦『布目杉林文長皿』これ、布が貼ってあるんじゃないよね?こういう質感にわざとしたんだよね?本当に布目なんだ。たけのこの山のようなポコポコとした杉林が可愛い。杉は下から焦げ茶でグラデがかかって、てっぺんは薄茶になって行く。地は金色。

前田正博『色絵金銀彩鉢』黒地に金の単純化された四角い角ばった千鳥。ゆるキャラっぽくて可愛いの!外にはフチに赤い地に水玉が描かれたギザギザな帯。その下に四角い何かがあるのだが、コレは何?千鳥じゃないよね?一瞬、もやしもんのオリゼーにも観える(^_^;)。

近藤豊『粉華大鉢』蝶ネクタイのような形の模様が連なっている。先端に目玉のような2つの丸。中心に円を描くように蝶ネクタイの連なりが彫られていて、私にはサナダムシのようにも見えた。2つの○が目でサ。地は焦げ茶。模様は白。

岡田裕『炎彩花器』朦朧体の絵のようなぼんやりとした薄茶の炎。花器の中心、高台(って言うのか?)の部分の跡が白い月のように見える。白い炎は蝶にも見える。上半分の黒で全体が締まって観える。

松井康成『練上嘯裂文大壷』毛糸玉のように見える大きな壺。縄を1本づつ輪にして積み上げたような形。白、薄茶、紺、水色等の色が入り綺麗。

加守田章二『皿』2点あった。対なのかな?1枚は、円が2つ線で表してあり、エイリアンのように見えた。もう1枚はハートを持っている人みたいに見え、やはり線で表している。どちらにも、横線が2本引かれている。素地は鉄灰色かな。

「抽象」「自然」「鳥」コーナー。抽象は自由に出来て良いなと思うも、作者の腕次第では、変になるだろうし、自然や鳥は良くある題材なので、下手すると凡庸な作品になってしまうらしい。

藤本能道氏の一連の鳥と植物を合わせた作品が良かった。皿が4枚くらいあったかな。写実的な鳥と植物は最早皿と言うより絵画だった。私は『絵皿 鵯と椿』が1番好みかな。写実的な鵯と椿。椿の枝にとまる鵯が可愛い。素地は白。これは、飾り皿なのかな?
同じく、能道氏『雪白釉釉描色絵金銀彩翡翠図扁壷』上に柳(かな?)。水面から飛び立つカワセミが前面に描かれている。裏には水面に着地しようとするカワセミの姿が。皆、裏を観ないで行っちゃうの。思わず心の中で「裏〜!後ろも観て〜!表の絵の続きがあるからぁ!」と言ってしまう。

浅野陽『松皿』焦げ茶の松。素地は薄いピンク色。無数の気泡があり、ポコポコと皿の表面に穴が開く。これもキラキラ輝く皿だった。

金重素山(加山又造絵付)『桔梗半月 金銀彩茶盌』外に銀の花と金の葉の桔梗が描かれている。内側にはクリーム色っぽい金の半月。素地は薄灰白っぽい感じ。金銀使ってるのにくどくなく、品の良い感じがする。

若尾利貞『双璧』形がアイロンみたいな対(といっても、片方少し小さい)の花器(かな?)。上部に月。下に流水模様が彫られている。素地は肌色で、その上に青灰の釉薬(かな?)がかかってる。

清水六兵衛(六代)『玄窯小鹿文花瓶』銅色の素地に焦げ茶の小鹿が走り跳ねる。上下に水玉模様。バンビの模様かな?とも思い、可愛い一品。

最後に富本憲吉ルームが出来ていた。ここも良かった。
富本憲吉は、明治後期に高等教育機関で図案を学ぶ。「図案は見・考えそして悟ること。」と言っていた。
1886年奈良生まれ。東京美術学校図案科を出る。1908年英国留学してヴィクトリア・アンド・アルバート美術館で各地の工芸を観て刺激を受ける。1915年、本格的に製陶。技術を知らねば形や模様にも優れた作品作りが出来ないと言っていたそうな。
この頃は、まだ、模様は別の人が描き、器は技術の長けた職人が作る分業制だったらしい。
憲吉の言葉。「自作模様を選する取りたるもの二百図。うち百図は年代順の進み来た針路を示すためのもの。残る百図の中、今もなお命あって使えるもの二・三十図。この二・三十も一点の古名作と比較するなら私の全部はあとかたもなく消える」と言っている。
ストイックだなぁ。それとも、それほど古名作は素晴らしいってコトなのかも。

憲吉は、図案家から陶芸家になったのだが、図案の勉強してたけど飽きちゃったらしく、その理由が「教える人が、その教えることが実技から遊離浮動していた」と。ようは、実際陶芸作品作ったコトないのに、図案云々語っていたらしい。憲吉「それで知らないことを堂々とよく教えたものだ」と言っていて、ちょっと笑ってしまった。きっと若き憲吉君は「コイツ、実際作陶したコトねえのに、何偉そうに図案たるもの〜とか語ってんだよ?」って思ったんだろうね(^_^;)。前述のように、この頃は分業制が主流だったみたいだから、それが当たり前だったのだろうケド。

『色繪飾箱』憲吉は1936年に石川に滞在し、色絵を久谷焼窯元で学ぶ。中と底部には四弁花。定家葛が元らしく、実際は五弁の花だが、連続して描きやすいよう四弁にしたらしい。赤、茶、緑、紺、黄の花の模様が内に描かれ綺麗。外側には菱形の文様。蓋には撫子(だよね?)が描かれている。素地は白。

『色絵金銀彩飾箱』蓋に朱の四弁の花。横側面にルビー色の四弁の花。縦側面には菱形の文様が赤や銀、黄で描かれる。

憲吉さんの箱作品コーナーはどれも良かったです。展示の仕方も美しかった。

お土産に憲吉さんの箱ポストカードを買った。

こんなに模様とは?と考えて観たコトなかったです。そもそも、こんなに色んな技法があるって知らなかった…。
11月4日までやっています。

陶芸好き、模様好き、花鳥画好きも楽しいと思う。

おまけ。
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相変わらず登録有形文化財の西洋館が美しい。フランス料理とセットで、建物内部が観られる企画もやってるよ(ちょっとお高目だケド(^_^;))。

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これは御茶室なのかなぁ?
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