この物語は、とてもありがたいファンタジーになっていますので、どうぞ気楽にお読みください(^^♪
2030年のある日、猫バスに乗って七国山を抜けると、そこには「よぼよぼの里」という老人ホームがありました。
猫バスそのものが不定期運行のため、そこにたどりつくのは大変なのですが、変わったおじいさんばかりが入居しているようです。
ヒロちゃんが開設した老人ホームで、今はもうよぼよぼだけど、かつてはミュージシャンだった人ばかりが入っているのです。
ヒロちゃんもつい最近までは、現役のドラマーでした。
ヒロちゃんはドラマーだけど、歌も一級品でソウルフルでした。
ここは常に介護が必要な老人ばかりの施設なのですが、その気になったらいつでも大丈夫なように、ギター、ベース、キーボード、ドラムスをはじめとして、各種アンプ類もしっかりと常備されています。
山のふもとだから、近くに民家は無いし、どんなに大きな音を出しても、まったく心配ありません。
それに、みんな耳が遠くなっているので、大きな音じゃないと聞こえないんです。
それぞれ、思い思いの時を過ごしていたみんなは、11時になると車イスを押してもらい、1階の食堂に集まってきます。
食事が出てくるまでの間、渋茶を飲みながら、昔ばなしに花が咲きます。
88才のぐーちゃんも、認知症は進んではいますが、彼がいるだけで笑いが生まれ、その場の空気が穏やかになっていくのです。
「オレさぁ、修三ちゃんのプレイにあこがれて、ベースを始めたんだよ。ホントはギターをやりたかったんだけどね。修三ちゃん独特のフレーズがめちゃカッコ良くてね」
「そ、そうかい？照れるなあ。オレもう指が動かないよ」
修三ちゃんと呼ばれたおじいさんは、今はもう、つるっぱげになってしまいましたが、昔は長い髪がふさふさとしていたのです。
修三ちゃんの食事が出てきました。
彼は歯が悪く、飲み込む力も弱いため、きざみ食でとろみがついています。
血圧も高いので、減塩調整してあるのか、「これじゃあ味がしないよぉ」と、ふりかけをかけて食べていました。
30分かけてゆっくり食べたあと、しばらくすると・・・「飯はまだかな？」だってさ！！
ログインしてコメントを確認・投稿する