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2018年03月28日12:46

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間違った「カンガルーケア」の罪

カンガルーケアはそもそも未開発国で生まれた未熟児のためにあった。
未熟児の一番の問題は「体温調節がうまくできない」簡単にいうと「冷えてしまう」こと。
人体は一定以下の体温になると自動的に停止するシステム、つまり死ぬ。
未開発国できちんとした保育器がないとか、保育器あっても電力ないとか
そういう環境の場合、お母さんが胸の谷間にいれて温めるのが一番。
そうすることでなぜだか、体温だけでなく心拍とか呼吸なんかも安定する。
母体の心拍を聞いて育った子宮内のように、
何か未熟児を安心させる作用が全身状態を安定させるかもしれない。

…という話から、一番最後の「赤ちゃんの状態を安定させる」部分だけが取り出され、
日本みたいな先進医療が簡単に入手できる国で、未熟児でなくても
なぜだか「生まれてすぐの赤ちゃんを母親に抱かせる」ことが
「カンガルーケア」(和訳「早期母子接触」)と呼ばれて取り入れられてしまった。

たぶんなんだけど、助産師主導のお産、助産院で生むお産、みたいな流れで
お産のオプションとして「生まれてすぐに赤ちゃんにさわれる」のが
あたかもいいことみたいな、そういう話になったのではないか。
「赤ちゃんのためにいいこと」「母親としてやるべきこと」
「やって当たり前やりたくないなんてありえない」みたいな流れが
できてしまっていた可能性がある。
カンガルーケアを取り入れていることが
「赤ちゃんと母親を大事にしている証拠」みたいに言われたりしていた。

通常はまず医者が赤ん坊を診察して状態確認し、
体温がある程度安定するまではインファントウォーマーで温め、
落ち着いた状態で母子対面なり初回だっこ、初回哺乳なりしてもらう。
もちろん助産師は赤ん坊と母親につききりで、
面会が終わったら赤ちゃんは新生児室に移してお母さんは2時間休んでもらう。
産後2時間は「まだお産が終わっていない」、つまり出血みたいなことが起きやすいので。
赤ちゃんがコット(新生児用ベッド)に入ってお母さんの側にくるのは
一番はやくて分娩室を出て病室に帰ったあと。
帝王切開みたいな母親の状態が安定しにくいときは、
数日新生児室で預かり、授乳時だけ連れていくこともある。

その「診察」「ウォーマー」なんかをすっ飛ばして、
ただすっ飛ばすだけじゃなく「不要な医療介入」とかワルクチまで言ったりして、
「赤ちゃんとお母さんの間の特別な絆」を大事にするとか理屈つけて、
結局は分娩直後の疲れ切ったお母さんにぐだぐだな赤ん坊を無理に乗っけて
助産師は他の仕事をしにいなくなってしまう。
これが「カンガルーケア」と呼ばれるものの実態だったりした。

結果として、母親が眠ってしまって赤ちゃんをおっことしたり、
赤ちゃんが動いてしまって、腕や胸で赤ちゃんを窒息させてしまったり、
実は赤ちゃんに何か問題があってだんだん冷えてきたり呼吸ができなくなったりしているのに、
お母さんが動けず、ナースコールを押せないままに状態悪化させてしまうとか、
そういう事故が相次いだ時代がある。

事故の報告後にほとんどの病院では、こういう
「見せかけだけカンガルーケア」は中止された。

でも、「一度はじめたこと」を「やめる理由がない」から続けているという病院は
けっこうあると思う。
しょっちゅう若い医師が大学から交代で派遣されてくる地域中核病院なら
「最近はこういうことはもうやっていません」という情報が常に入るけど、
大手の開業医さんなら医者の数は多くても中身は十数年変わらない。
場合によっては数十年変わらない。
てことは、カンガルーケアという名の「助産師業務サボリ」が続いていたって不思議はない。

医者は常に勉強しなきゃならない、ってのはこういうことも含めてだと思う。
そしてお産は、陣痛開始してから母子が退院するまではいつ何があってもおかしくないから、
医者はきちんと目配りをすべきだと思う。
助産師になんかお産を任せるからこんなことが起きる。
助産師はあくまでも「お産の介助者」にすぎない、医療行為は何もできない。
危機に陥った母子に気づいてそれを救えるのは、医者だけだ。

早期母子接触 障害残り解決金
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5045409
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