小さな句会の当番で八王子みなみ野駅に集合し、近くを案内した。
花に木の並木道を登りながら、珍しい花の木の花を眺める。
五弁の小さい花びらに囲まれた蕊が目立つ紅色の花である。
長野県の白馬の山中で一度見た大木を思い出した。
丘の上の畑は老人の楽しみの畑で、媼はジャガイモ植え、翁は耕しをしていたが、荒れたままの畑もある。辛夷が高く咲き、時折、丘の下を通る横浜線の音が聞こえる。
山道は鶯があちこちで鳴いている。
道を渡る番いの小綬鶏を偶然見つけ、友人たちにも見てもらう。
柄長が忙しく枝を渡ったりホバリングしているのは昨夜のテレビと同じだと皆さん喜ぶ。
野草や木の花もいろいろ見られた。
ヨモギ摘みの女性が一人、ひたすら摘んでいる。
往還を渡り、森に入る。
ここには「楠ふき子」さんの絵本館がある。
偶然道ですれ違ったのは亡きふき子さんのお父さん。
久闊の挨拶ができ、今年初めての開館をしていただけた。
ふき子さんは心臓病でわかくして亡くなり、遺された絵本と、その絵の絵葉書、袋もの、ハンカチなどを作って販売しているが、決して営利が目的ではない。
もう少しするとキビタキなどの夏鳥が来る森である。
友人たちはふき子さんに我が子の年齢を重ねて、短命を惜しみ、悼む。
丘を降りて、蕎麦やさんじ庵で昼食と句会をさせていただく。
蕎麦屋の前の川沿いの桜並木は蕾がふくらみかけていた。
以下は主宰入選句です。
蓬屋に人住む気配よなぐもり 秀行
きれぎれの鎌倉古道すいば萌ゆ 秀行
鶯も畑もいまだ整はず ちはや
辛夷咲く丘を登れば絵本館 昭子
うぐひすや畑に老待つ耕耘機 昭子
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