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2017年09月28日15:03

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中国に屈した名門ケンブリッジ大…西洋アカデミズムが直面する異次元の価値観

 下記は、2017.9.28 付の産経ニュース【世界を読む】です。学問も金の前には屈したか?仏教の駒澤大学もチャイナ・マネーに屈して、仏の精神を失ったぐらいですから・・・・。

                       記

 英ケンブリッジ大出版局が中国側の要請で論文アクセスを遮断した問題は、伝統ある世界トップレベルの大学でも中国に屈する事態をあらわにした。欧米の研究者が一斉に憂慮の声を上げて撤回されたが、中国と西洋の板挟みになって右往左往した同出版局を中国共産党系の「環球時報」は「低次元な振る舞いだ」と揶揄(やゆ)した。自由な研究や議論に基づく西洋アカデミズムの前に、言論統制を是とする異次元の価値観が立ちはだかりはじめている。 (坂本英彰)

名声に大きな傷

 ロイター通信は9月9日、同出版局が中国の輸入業者から研究誌「アメリカン・ポリティカルサイエンス・レビュー」についても論文へのアクセス遮断を求められたが要求を退けたと発表した、と報じた。

 中国側から、さまざまな研究誌について執拗なアクセス制限の要求があることをうかがわせる。この場合は拒否したが、一度は中国の要求を受け入れたという事実は大学の名声を大きく傷つけた。

 8月18日の声明で同出版局は、権威ある中国研究誌「チャイナ・クオータリー」に掲載された論文315本について、中国当局の意向を受けた輸入業者の求めに応じて中国国内でのアクセス遮断措置を取ったと表明した。天安門事件やチベットなど中国にとって繊細な内容を含む論文だ。同出版局は「われわれが出す他の学術文書が中国で利用し続けられるようにするため」と説明したが、欧米の研究者らからは激しい批判がわき起こった。

 英紙ガーディアンなどによると、自身の論文も含まれていた米コロンビア大のアンドリュー・ネイサン教授は「この検閲行為によって同誌の権威は回復不能なほど傷ついた」と非難した。北京大で経済学を教えるクリストファー・ボールディング氏の「同出版局の書物のボイコットも辞さない」とするオンライン署名は、またたく間に1000以上の署名を集めた。

「利益計算に基づく」

 同出版局は結局、数日でアクセス遮断措置の撤回に追い込まれた。アイザック・ニュートンら偉大な先達が真理を探求してきた大学に付随する、世界最古とされる出版局は、中国が台頭する21世紀の世俗の現実につまずいたのだ。

 「ケンブリッジ大にとって中国市場の開拓は重要だが、西側のオピニオンメーカーが騒ぎ立てると、今度は西側社会でのステータス維持がより重要になった」

 環球時報は揺れ動いたケンブリッジを鋭く突いた。さらに「西洋の“原則”や“正しさ”は一定の条件下では適用されないということだ」とし、「決定は利益計算に基づくものだった」と断じた。

 中国国務院(政府)は「輸入出版物は中国の法律や規則に従う必要があり、業者は内容をチェックする責任を負う」として、輸入業者によるアクセス遮断の要求を正当化している。

「忖度」の形跡

 5年に一度の共産党大会という重要行事を10月に控え、習近平指導部は政府批判につながる言論に厳しく目を光らせている。

 英誌エコノミストによると2月に海外の学術データベースの中国における検閲を求める法律が通り、3月には出版物の輸入に関する規制が強化された。

 「海外の学術出版物について、かつては一般の人々には禁じても研究者には許す寛容さがあった」とし、自由な研究が阻害されている雰囲気を描写。リスクを避けたい大学などの図書館担当者が先回りして、とくに害のない本でも注文を控える恐れがあるとの懸念が出ていると指摘した。

 下級の担当者らによるこうした「忖度(そんたく)」が働いた形跡は、ケンブリッジ大側への論文遮断要請でもあったことが指摘されている。 

 ロイター通信によると 英オックスフォード大の研究者は「検閲担当者はいくつかのキーワードで検索をかけ、上司を喜ばせるに足る見栄えのよいリストを作るのに必要な論文を選び出したようだ」と、ツイッターに投稿した。

 リストには毛沢東を擁護する中国に都合がいい論文が含まれ、分離独立運動がある「新疆」と同音異義語が含まれるが政治的には無害な論文もあったという。

 英ノッティンガム大のジョナサン・サリバン准教授は「ひとことでいえば雑。十分な考えをもとに選ばれたものではないようだ」と切り捨てた。

「中国に学ぶ」

 オックスフォード大中国センターのラナー・ミッター主任は香港紙サウスチャイナモーニングポストへの寄稿で、検閲は「西洋よりも中国の方が失うものが大きい」と警告している。政府にアドバイスする専門家が事実に基づいた調査ができなくなり、分析や判断が制限されてしまうからだ。

 ミッター氏は、チャイナ・クオータリーのような学術誌は世界中の研究者が発表し参照する主要な中国研究の場だと指摘。「米英など他国の研究者がフルアクセスできるのに、中国にいる研究者は二級の立場に置かれることになる」と、検閲の逆効果を指摘した。

 オックスフォード大中国センターは、香港の実業家などの寄付を得て2014年にオープンした。中国の在日大使館サイトが、開設式典に出席したウィリアム王子の挨拶を伝えている。

 「現在、中国に学ぶことが、これまでのいかなる時よりも重要になっている」

 学者を投獄し、書物やネットの言論を制限する。現在進行形の21世紀型焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)から、学べることは少なくないだろう。

 http://www.sankei.com/west/news/170928/wst1709280001-n1.html
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