シアターガイドを定期購読していたころ、中の記事にセーラームーンのミュージカルの三代目ヒロインは15歳という記事があって、その若さが注意をひいた。
どういうわけかその当時、このミュージカルの話題に触れることが多く、そのヒロインがまたバトンタッチして今度の三人目は15歳ということが、自分にはひどく印象深かったらしい。
もっとも、笹本玲奈は13歳でピーターパンを演じているから、ああいうミュージカルはそういうものなかもしれない。
気にはなったものの、ミュージカルを観る習慣はなかったから、そのことはそれきり忘れていた。六年後、『仮面ライダー響鬼』のレギュラーとして出演して見るようになり、そこでまた思い出した。
結局、この番組でしか彼女を見ることはなかったけれど、ここでの彼女はあまり子役出身であることを感じさせない、あけっぴろげで快活な女性だった。バラエティでは陽気な個性を発揮していたというから、本人の性格に近い役ではなかったかと思う。
もっとも、仮面ライダーを支える組織のメンバーの一人という役柄なので、そんなに登場の機会は多くなかったし、番組終了と同時にまた見る機会はなくなった。
その三年後、24歳で彼女は亡くなっている。ウィキペディアをなんとなくだらだら閲覧していたら、なぜか彼女のページに来ていて、そんなことまで書いてあるのかと驚いたのだけれど、通夜と告別式が行われたのがこすもす川崎会館との記述があった。
間抜けなことに名字が神戸だから兵庫出身だろうと思っていたのだけれど、地元は川崎だった。こすもす川崎会館はコストコのフードコートにピザとホットドッグを食べに行っていたころ、よく前を通った。
そんなに大きなところではない。どちらかといえば、小さな葬儀をメインにしていると思しきところである。500人のオーディションから選ばれて15歳でミュージカルのヒロインを演じ、24歳で物故した女性の葬儀はごく身近な人間によるささやかなものだったらしい。
そういうものかとも思ったし、そういうものだろうなという気もした。
鶴見に向かう途中でこすもす川崎会館の前を通ったので、そんなことを思い出しながら歩いた。
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