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2017年03月31日12:33

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乗鞍岳　H29.03.30

雪山に魅せられたらもう後戻りは出来ない。この圧倒的な美しさと厳しさを前にしてしまうと、更なる領域へと駆り立てられる様になるのだ。その領域は私の追い求めているあの感覚と極めて近い位置にあるのだと思う。要するにそこは彼岸なのだけれども。

…と戯言はこれ位にして、予期せぬ2連休が入っていたので、本格的な雪山に慣れるべく残雪期の乗鞍岳に行って来ました。ここはこの時期、初心者でもアプローチがし易いという事で、それ程の不安感はなかったのですが、3日前には那須で痛ましい雪崩事故があったばかりだし、それなりの覚悟で臨んでいました。

夜勤明けで余り寝られない儘に車で家を出たのは0時半、長野自動車道の松本ICで下りて麓にある休暇村に着いたのは5時で、直ぐに登り始める予定であったのに、そこからのルートが判別しなかったし、全く気力が湧かなかったので、やはりリフトを利用する事にして8時半の運行まで仮眠する事にしました。そしてスキー客ばかりの中、真っ先に夢の平クワッド、かもしかリフトと乗り継いで9:00にバックカントリーエリアへ。そこから1時間半掛けて位ヶ原山荘への分岐点に至ると、ここでワカンを履いてトレースの全くない中を肩ノ小屋を目指しました。そこにスキーヤーが追い付いて来て暫く話を交わしたのですが、毎年の様に富士見岳を滑りに来ているとの事でした。その後方にも1人のスキーヤーが居て、その方も避難小屋からは別ルートを辿って行かれました。という事で本日の剣ヶ峰への登山者は私1人だけだったのですが、休日は登る人が多いと聞いていたので、トレースが消えていたのはその後に降雪があったからだと思われます。本日の天候は曇りでガスが掛かっており、稜線上では結構風がきつかったものの、3月末ともなれば寒さはかなり和らいでいました。しかし3000m峰にしてまさかのトレースなしの単独行ではありました。

㊧　かもしかリフト（Mt. 乗鞍スノーリゾート）
㊨　乗鞍岳の雪原

時折ガスの切れ間から現れる景色を指標として、漸く肩ノ小屋に12:20に辿り着くと、ここで上着を1枚着込んで手袋を交換してから剣ヶ峰を目指して登り始めました。実はワカンの爪でも充分に雪面に刺さるので安易にそのままで通していたのですが、流石に途中からはアイゼンに履き替えました。試しにそこでピッケルに持ち替えた所が、これは雪面に深く刺さってしまって却って扱い辛いのでストックに戻しました。そうして蚕玉岳に登り詰めると、ここで完全なホワイトアウトになってしまったので先に行こうか迷いましたが、一瞬、ガスの切れ間から剣ヶ峰への稜線が現れたので恐れずに足を踏み出しました。その後はルート上の杭が出ていたので迷う事なく14:15に剣ヶ峰に登頂、達成感と言うよりも何だか1つの課題を遣り終えた気分ではありました。山頂にある奥宮を参拝してから下山、しかし蚕玉岳からは自分の足跡を見失ってルートに確信が持てずに、方角は真北で間違いないのだけれども、若しも肩ノ小屋に行き着かなかったらと思うと、その時ばかりはぞっとしました。20分ほど逡巡してから意を決して下りて見ると、直ぐに自分の足跡を見付けたので安心したのですが、雪山の恐ろしさを垣間見た思いでした。ここで幸運にも1羽の純白のライチョウに遭遇、写真を撮ろうと近寄った所が飛び去ってしまいました。

㊧　肩ノ小屋
㊨　剣ヶ峰の山頂直下

㊧　剣ヶ峰山頂（乗鞍本宮奥宮）
㊨　肩ノ小屋を見下ろす

肩ノ小屋へは15:20に戻って来ると、殆んど空腹を覚えなかったものの、ガスが晴れるのを期待してここで初めて食事を摂る事にしました。水分も全く摂っていなかったのですが、テルモスに入れた温かいココアに身体が癒される様でした。そして再び歩き出すと、何度も振り返ってはガスの切れ間から乗鞍岳の山並が現れるのをじっと眺めていました。この後も履き替えるのが面倒だったのでアイゼンの儘で通していましたが、深くても膝下20cm程度ではありました。

㊧　自らの往復跡
㊨　前川国有林の表示板からの眺め

㊧　左から剣ヶ峰、蚕玉岳、朝日岳
㊨　摩利支天岳

16時を過ぎるとリフトは運行しておらず、そもそもリフトでは下りられない規定となっているので、ゲレンデを下って17:30に下山。最近では漸くにしてスキーにも興味が湧いて来たのでした。しかしバックカントリースキーの方なので、私にとってはリスクを高めるだけになるのかも知れませんね。荷物を整理してから車を走らせると、この時間帯であれば凍結の心配はないので、今度は東海北陸自動車道の飛騨清見IC経由で23時に家に帰り着きました。何はともあれ眠たいので風呂に入ると直ぐ様、就寝。今回も無事に帰って来る事が出来ました。

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