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2017年02月22日09:31

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国土を見守り続ける偵察機「RF−4E」 普賢岳噴火や東日本大震災でも活躍した空の番人

 下記は、2017.2.22 付の産経ニュース【防衛最前線110】です。

                       記

 有事の際、効果的に敵をたたくためには正確な情報が欠かせない。情報収集を行う部隊はさまざまだが、航空自衛隊に所属する偵察機もその1つだ。百里基地(茨城県小美玉市)に拠点を置く偵察航空隊の「RF−4E」は、昭和50年に配備されてから40年以上も日本の国土を空から見守り続けている。東日本大震災をはじめとした数々の災害でも被災状況の把握に尽力しており、まさに「空の番人」と言えよう。

 戦闘機や爆撃機に先行して敵陣へ向かう偵察機の役割は「情報を持ち帰る」ことに尽きる。向かう先は、有事の際に敵艦が向かってくる海上や、万が一にも上陸された場合には陸上も対象となり、上空から主に写真撮影を行う。

 敵陣に近づけば当然ながら敵に狙われる。だが、偵察機の任務は収集した情報を持ち帰ることであり、戦わずに引き返す。その際、自らも戦闘機としての性能を有していれば敵の戦闘機から逃れやすい。第3世代のF4戦闘機をベースとして作られたRF−4Eは最高速度がマッハ2・2に達する。

 なお、RF−4Eの「R」は「reconnaissance(偵察)」に由来。「E」は米国から輸入する際の型番で、特別な意味はないという。機体に迷彩塗装が施されているのは、RF−4Eをさらに上空から見たとき、地上の山河に溶け込んで分かりにくくするためだ。

 機体は2人乗りで前部に操縦士が座り、後部座席の乗組員は誘導を担う。任務の中心である写真撮影はその都度分担する。戦闘機としての主要な武装を取り外した代わりに、カメラやレーダーといったさまざまな偵察装置を搭載しているのが特徴だ。

 偵察装置のうち「前方偵察カメラ」は、機体の真下に加えて、斜め下の前方や側方の撮影に使用。「パノラミックカメラ」は広範囲を撮影でき、低高度用と高高度用の2種類がある。

 夜間に用いる「フラッシュ発射器」は市販カメラのフラッシュに相当するが、照明弾を発射して周囲を明るくする。かなりダイナミックで当然敵に自機の存在を知られてしまうが、「そもそもジェットエンジンの爆音で敵は気付いている。撮影したら即座に離脱するから問題ない」と空自関係者は話す。

 ほかにも「赤外線探知装置」は夜間や悪天候でも地上や海上の目標を見つけることができ、機体の側面にある「側方偵察レーダー」は上下に電波を飛ばして周辺の地形を測量する。

 ちなみに機体の前部にある「前方監視レーダー」は偵察用ではなく、通常のレーダーと同様に敵機の発見などのために用いるそうだ。

 以上のように多様な偵察装置を備えているRF−4Eだが、昭和50年に配備されただけにカメラはフィルム式のままで、撮影時は機体を安定させないと写真がピンぼけとなりかねないなど、少々古めかしい。世間では手ぶれ補正機能付きのデジタルカメラが当たり前なだけに、更新の余地はありそうだ。

 それでも、RF−4Eはこれまで、災害が発生するたびに飛び立って、被災状況の確認などに役立ってきた。

 主な事例だけでも雲仙普賢岳噴火(平成3年)や奥尻島津波(5年)、阪神・淡路大震災(7年)から近年では東日本大震災(23年)や御嶽山噴火(26年)、熊本地震(28年)などさまざまな災害で出動し、収集した貴重な情報は救助活動などに役立てられてきた。むろん、災害以外で出動することもあるが「詳細は言えない」(空自関係者)とのことだ。

 一方、40年以上も日本の空を飛び続けてきたRF−4Eの後継機に関する検討は、当然ながら行われてきた。第4世代のF15戦闘機を偵察機に改修する構想もあったが、国から偵察装置の開発を受注した東芝が納期に間に合わず、契約解除を経て訴訟にまで発展。いまだに後継機の見通しは立っていない。

 “老兵”の引退はまだまだ先のようだ。(政治部 小野晋史)

 http://www.sankei.com/premium/news/170222/prm1702220005-n1.html
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