ある友人が、日頃から仕事の合間を縫って禅の修行をよくしています。お寺に10日間ほどこもって、自分と向き合うのだそうです。
ある時、好奇心から彼にこう聞いてみました。「そんなに熱心なら、いっそのこと出家すればいいのに」
友人は、こう答えました。「いいや、禅の修行は何かを捨てるとか、ご利益を頂くとかということじゃなくて、自分との対話、自分と向き合って悟りの境地に近づくためなんだ」
「自分と向き合うなら、何もお寺に行かなくてもいいじゃない？どこでもできることだと思うけど？」
「確かにどこでもできることだけど、より集中するには、外界と接触のないところの方がいいと思う」
「でも、それじゃ何だか逆につまらないような気がする。私なら寂しくて耐えられないかな」
「そんなことないよ。その寂しさが必要なんだ。そこでようやく内なる自分と対話が出来る。それは、もう寂しさじゃなくて、落ち着いた静けさとして感じられるようになるよ」
この時の会話で、何か目覚めたように、自分との対話をしてみようと思いました。さすがにお寺まで足を運ぶことはしませんが、家族がみんな寝静まった夜に、自分に話しかけたり、日記を書いてみたり、自分に手紙を書いてみたり、と色々試してみました。そのうちに、こうした時間がとても心地よく感じるようになってきました。
寂しさを嫌う人は多いと思います。そのような人達は、いつでもどこでも誰かを見つけてはあることないこと話すのです。そうすることで、寂しさから逃れようとします。そして、他人の口から出る言葉で自分を慰めようとします。でも、それではいつまでたっても、心は空しいままで終わってしまうでしょう。
私たちはどんな時に、自分と対話をするべきでしょうか。特にこんな時、という風に以下にまとめてみました。
�� 人生のどん底と感じられるとき：人生は山あり谷あり、雨の日もあれば晴れの日もあります。何事もうまくいかない、というのは人生でよくあることです。そういう時にこそ、静けさの中で自分と向き合ってみましょう。きっと自信を取り戻す手がかりがあるはずです。
�� 自分が成功を収めたとき：人生が順風満帆のとき、人はよく我を忘れがちになります。そのようなとき、ちょっと一歩退いて、自分と向き合ってみましょう。自分を見失わないこと、自分の立場をわきまえることは大事です。
�� 些細なことで煩わしく思うとき：今の社会は物質主義で、容易に心が煩わしくなることがあります。いろんな所で忍耐を強いられ、すきあらば、人の利益を横取りする者さえいます。こんなとき、自分と向き合いましょう。自分の立場をわきまえ、自分を落ち着かせましょう。
�� 人生の大事な決断を迫られるとき：長い人生、決断を迫られる時がよくあります。もし、ここで決断を誤ったら？取り返しのつかないことにでもなったら？ここでもやはり、自分と向き合いましょう。冷静を取り戻し、理性的に自分の進むべき方向を決めましょう。
誰かに相談に乗ってもらうのは、ある意味で心が落ち着くし、問題解決の糸口が見つかることもあります。でも、ここでも注意が必要です。
１）友達に相談をするとき、自分の考えが、相手の考え方に影響されやすいということに気をつけましょう。相手が客観性と理性を欠いていることもあります。他の人の考えに影響されている時は、心の冷静が保ちにくい状態です。
２）自分の発する言葉をうまくコントロールできていないと、聞いている相手に不快感を与えてしまいます。それゆえに、相手との関係が悪くなる場合があります。
（心光網より抜粋）
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