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2016年07月29日08:44

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ハーグ裁定「太平島=岩」に慌てる台湾 かねて主張の十一段線も危うく 日本に奇妙な八つ当たりも…

 下記は、2016.7.29 付の産経ニュース【緊迫・南シナ海】です。

                      記

 南シナ海の領有権めぐり仲裁裁判所が中国の主張を認めない裁定をしたことで、台湾の蔡英文政権が微妙な立場に立たされている。台湾当局はこれまで、中国とほぼ根拠に基づき、ほぼ同じ範囲の島嶼(とうしょ)と関連海域の管轄権を主張してきたためだ。特に、実効支配するイトゥアバ(太平島)が「岩」だと認定されるとは想定していなかったとみられ、反発する域内世論向けの対応に追われている。

混乱する当局

 仲裁裁判所が裁定結果を公表した12日夕から夜にかけ、台湾当局は総統府がまず、裁定を「絶対に受け入れない」とする声明を発表。外交部(外務省に相当)と内政部(内務省)も相次いで声明を発表し、李大維外交部長(外相)が緊急の記者会見を開いて抗議声明を読み上げた。外交部は12日午前の段階では、「内容の分析に時間がかかるため、対応は報道文発表にとどめる」(幹部)としており、政権の慌てぶりを示唆した。

 蔡総統は予定を変更して13日朝、南部・高雄の海軍左営基地を訪問。康定級フリゲート艦「迪化」の艦上で談話を発表し、「特に太平島の認定は、わが国の南シナ海の島嶼と関連海域の権利を深く傷つけた」と強調した。同艦は南シナ海を「遊弋」して領有権をアピールするため、直ちに出航した。ただ、蔡総統の談話の後半は、1日に起きた対艦ミサイルの誤射事件などの不祥事を念頭に置いた訓示で、ここにも混乱の跡が見てとれた。

裁定内容は想定外?

 そもそも台湾では、フィリピンが仲裁裁判所に提訴した15項目に太平島に関する訴えが入っていなかったことや、裁判所が中国が主張する「九段線」についての判断を当初、留保していたことから、踏み込んだ裁定が出るとはみられていなかった。

 九段線は、1947年に中華民国が公表した地図に描かれた「十一段線」に由来する。現在の台湾当局も公式には十一段線を元に、南シナ海全域の島嶼の領有権と周辺海域の管轄権を主張している。ただ、「中華思想」が強い中国国民党の馬英九前政権が歴史的な立場を強調し、実効支配していない島嶼への領有権も主張しがちだったのと異なり、民主進歩党の蔡政権は、国際法をより重視する対米協調の姿勢を示しており、十一段線は「強調しない(が)、否定しない、放棄しない」(自由時報)との方針を取ってきた。

 また、馬前総統が1月、太平島に上陸し、淡水が出る「自然の島」であることを内外にアピール。馬前総統が理事を務める「中華民国国際法学会」が3月、地質調査などを元に「太平島は島だ」として提出した意見書が、仲裁裁判所に採用されてもいた。このため、裁定が太平島を「岩」だとしたことは、九段線に「法的根拠がない」としたこと以上に驚きをもって受け止められた。

日本に八つ当たりも

 裁定翌13日付の聯合報によると、国際法学会の幹部は、裁定の基準を当てはめれば「世界には島がほとんど無くなる」と批判。国民党前立法委員の林郁方氏は、馬前政権が沖ノ鳥島(東京都)を「岩礁」だと主張したことを念頭に、「太平島が島でないのなら、沖ノ鳥『礁』は、(岩礁ですらなく)“鳥”でしかない」と痛烈な皮肉を込めた。

 馬前総統も16日付聯合報に投書し、太平島の滑走路の延長や、これまで見送ってきた排他的経済水域(EEZ)の設定など10項目の提案を行った。これには民進党の立法委員(国会議員)から「なぜ任期中にしなかったのか」と反論が出た。

 このほか、中国寄りの中国時報は13日付社説で「両岸(中台)は共同で南シナ海を守れ」と中国当局との連携を主張。一部の立法委員は駐留部隊を海軍陸戦隊(海兵隊)に戻すことを提案するなど、蔡政権に対外的に強硬な姿勢を取るよう求める声が出ている。

 現在のところ、蔡政権は巡視船や軍艦を太平島周辺海域に派遣するに止め、それ以上の“対抗策”を取る動きは見せてない。ただ、沖ノ鳥島との関連では、6月に着任したばかりの謝長廷駐日代表が14日、台湾メディアの記者から「太平島が岩なら、沖ノ鳥(島)も岩とみなすべきでないか」と問われ、「(国際法は)全体を一体で適用することが望ましい」と応じた。間接的に「沖ノ鳥島も岩だ」との見方を示したように受け取れるが、自らが「絶対に受け入れない」と否定している裁定内容を、日本に当てはめようとするのは矛盾以外の何物でもない。謝氏の発言は台湾世論向けとみられ、日本側も蔡政権の正式な方針とは受け止めていないものの、7月下旬に予定されていた「日台海洋協力対話」が裁定の影響で延期されたこともあり、今後の台湾側の出方が注目される。(台北支局 田中靖人)

 http://www.sankei.com/premium/news/160729/prm1607290004-n1.html
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