牧阿佐美バレヱ団によるローラン・プティの《ノートルダム・ド・パリ》(於・文京シビックホール)を観てきた。
プティのノートルダム・ドパリは1972年にパリ・オペラ座バレエ団がこの作品を日本で初めて上演したときに、当時13歳だった私に創作物のグランドバレエのすばらしさを教えてくれた作品である。 そのときの主役エスメラルダとカジモドは故クレール・モットゥとシリル・アタナソフだった。 パリ・オペラ座によるノートルダム・ド・パリはその後1980年代にドミニク・カルフニのエスメラルダで観ている。 どちらのエスメラルダもすばらしかった。 プティのノートルダム・ド・パリは今でも私の好きなグランドバレエベスト3の中のひとつである。
今日のエスメラルダはミラノ・スカラ座バレエ団のプリンシパルのニコレッタ・マンニ。 まだ20代の若いプリンシパルだが、上記二人に劣らず魅力的で、第一級のエスメラルダだった。 ただ、最近DVDで観て最高だと思ったナタリア・オシボワのエスメラルダに比べると、妖艶な面と可憐な面の演じ分け、きめ細やかな表現という点で一歩譲る感はあった。
主役以外の牧阿佐美バレヱ団のダンサーたちの質も高く、表現の難易度の高いプティの世界を十分に表現していた。
今日の公演で唯一物足りなかったのはこれだけの大作であるのに音楽がオーケストラでなく録音によるものだったということである。
開演前には、ロビーでスターダンサーズ・バレエ団時代にたいへんお世話になり、ご迷惑もおかけしたS先生とA先生に十数年ぶりでお会いした。 S先生は80歳代後半、A先生も70歳代になると思われるが、お二人とも以前と変わらず美しく、また、お元気そうで、たいへん嬉しかった。
ちなみに私の好きなグランドバレエベスト3のあと二つはロミオとジュリエット(ラブロフスキー版 クランコ版 マクミラン版)とオネーギン(クランコ版)である。
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