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2016年04月17日11:25

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『ドイツ戦車軍団』の『ハリコフ』

 『エル・アラメイン』『ダンケルク』ときて、いよいよ最後の『ハリコフ』です。

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 このゲーム、開始時にはマップの北西と南東に3個ずつあわせて6個のドイツ軍ユニットしか存在しません。このスカスカの状況へ東端と北端からソ連の大軍が怒濤のごとく攻めよせてきます。
 一方のドイツ軍はマップの南端と西端から徐々に増援が登場してくるので、これを片っ端から前線に注ぎこんでどうにかソ連軍の攻勢をしのぎ、後半には兵力を整えて反撃しなければなりません。
 史実では前進しすぎて疲弊しきったソ連軍にドイツ軍の巧妙な反撃が奏功し、スターリングラードから続くソ連軍の攻勢が一段落して翌年のクルスクへとつながっていきますが、このゲームでは都市への突入そのものが勝利得点になるため、ソ連軍としては無理を承知で前進する必要があります。

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 さて、第1ターンですが、第1親衛軍の戦車軍団がドネツ河を渡り、ヴォロシロフグラードの西へ進出させました。『シミュレイター』の記事ではこの部隊を渡河させず、マップ中央へ進ませるとしています。事実、初期位置と移動力のためにこの部隊はドイツ軍の最も奥の内懐まで入りこめるので、移動だけで中盤の敵の対応を大きく制限できるキーとなる存在ですから、その方がいいと思います。
 ただし、最終的には記事とつきあわせて自分なりにベストな機動を作りたいと思いますが、今回はそれに先立って自分のやり方をまとめたいので、あえて河を渡らせました。第1ターンにこの天然の要害を突破できるのはこの部隊だけだし、とりあえず都市の突入による得点を稼ぐこともできるので、最初はまずこうやる人が多いと思います。

 このゲームのオリジナル版のプレイの指針でも、初めのうちは登場地点の近くにいる敵へ向かってしまいがちながら、慣れてくるにしたがって兵力を中央に集めるようになるとされています。実際、マップの端の方で殴り合いをしていると、そこでは有利にことを進めていても、中央を敵に奪われた場合、まわりこまれて潰滅させられるか大規模な退却を強いられるかのどちらかでして、いかに中央へ兵力を抽出するかが実はけっこう重要です。

 一方のドイツ軍は退却しつつ、なんとか形ばかりの戦線を構築します。記事には最右翼の第296師団を捨て石にして敵を足止めし、時間を稼ぐべしとあるのですが、個人的には抵抗があってなんとか逃がそうとしています。記事によるとドイツ軍がこの中途半端な後退策を採った場合、ソ連軍はほぼ全軍を南方に振り分けることで防衛線を崩壊させることができるとしています。しかし、その場合は肝心のハリコフに手が回らなくなるはずで、本当に崩壊させらるのか、あるいは、できたとして総合的にそうすべきかなどはさらに検討が必要だと思います。

 そういう意味では、一回は記事の通りに部隊を動かしてみて、つきあわせるべきなのですが、今回は前述の事情でこれまでのやり方をできるだけなぞります。ちなみに、何度か対戦もしてみましたが、だいたいがこの展開なのも事実です。

 もう一つ、ここへ防衛線を引いた場合、ソ連軍が戦闘後前進で次のターンの増援登場位置の隣接ヘクスまで到達する可能性があります。こうなると増援の展開に大きな制約がかかってしまい、もとから苦しい展開の序盤がさらに深刻さの度合いを増すことになります。ただし、これもそんな端の方を攻めてソ連軍として本当に得なのかという疑問もあり、まだ試してみなければいけないことが多く残っています。

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 第2ターンでは、南方のドイツ軍もなんとか生き残り、南端から登場してきた増援と合流してどうにか紐(後衛部隊)つきの戦線を展開することができるようになりました。
 このゲームでは、機械化部隊の戦闘後前進が2ヘクス可能であるため、ふつうの戦線では包囲殲滅の憂き目にあうことがありえます。しかし、戦闘後前進の1ヘクスめが敵ZOCであったならば前進は止まってしまうため、戦線の後ろにさらに部隊を配置してこれを阻みます。この後衛部隊を俗に紐と呼びます。

 よく見ると、実は紐がついていないところもあるのですけど、この部隊自身が防御に有利な森にいるし、この部隊を包囲するためには1ヘクスからしか攻撃できない装甲連隊を退却させなければならないので、なんとかなるんじゃないかと。ダメかな?

 こういう感じでちょっと危なっかしいところもあるのですけど、なんとか防衛線を構築しています。ちなみに、記事の方ではこうした危険性を排除するため、スターリノ支線(マップ上の黄色い鉄道線)の一部をあえてソ連軍に渡すような戦線をひいています。スターリノ支線を切断した場合、ソ連軍は1ターンにつき1ポイント獲得するので、ドイツ軍にとってはけっこうな痛手ですが、そこを割り切って戦線の保持を優先する方がたしかに有効かもしれません。

 それから、このターンのドイツ軍の増援については、装甲部隊の移動力ぎりぎりのスラビャンスクの右下ヘクス1716にはなんとしても移動させる必要があります。ここを押さえないと、南下してきたソ連のポポフ軍にロストフ本線(オレンジ色の鉄道線)を切断されてしまうからです。このロストフ本線はスターリノ支線のターンにつき1ポイントに対して倍の2ポイント稼がれてしまうので、かなり厳しいことになります。昔、対戦でここへの配置を失念してひどい目にあいました。

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 第3ターンにはソ連軍のすべての部隊が揃います。北方では先頭の部隊がハリコフの一角に突入。南方でも第5戦車軍が登場してさらに激しく攻撃しますが、この方面ではドイツ軍も強力な援軍が到着して、まだ劣勢ではありますがさすがにもう崩壊の危機は脱しています。

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 マップ西端に近いポルタワかドニエプロペトロフスクが占領されると、その時点でソ連軍の勝利としてゲームは終了します。こちらにはポルタワ周辺に歩兵師団が3つあったきり、増援もまったく登場してきません。一方のソ連軍は第6軍と第3戦車軍と第40軍が文字通り無人の野を駆け続けてきて全4ヘクスのハリコフを完全に制圧し、さらなる前進の姿勢すら見せるのですが、ドイツ軍は開始時の3個師団すらマップ中央へ送り出しています。
 かくてポルタワの命運は風前の灯火かと思いきやまったくそんなことはなく、この第4ターンにいきなりグロスドイッチェラントと第2SS装甲師団という超強力な援軍が登場して戦力バランスは瞬時に逆転します。
 史実ではそんなことを知る由もないソ連軍がそのまま前進し、あっさり壊滅させられてハリコフすら奪回されましたが、ゲームのソ連軍はそのことを知り尽くしているのでもうあまり進みません。
 特にハリコフ防衛のためその西の森林ヘクスに入ると、ここが登場したばかりのドイツ増援のぎりぎり届くヘクスで即座に攻撃されてしまうことを知っているため、あえて入りません。ドイツ軍がこのターンに隣のヘクスまで進んでくるのを見届けてから、おもむろに歩を進めて防備をかためます。
 そういうわけで、ドイツ軍によるハリコフ奪回は史実とは異なってかなり難航します。

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 第5ターン、他ではあまり動きがないなか、ドイツ軍は中央へ突出してきたソ連軍を迎え撃って潰走させ、いよいよ反撃の烽火をあげました。

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 第6ターンには南方でソ連軍がアルテモフスクを占領しました。主導権がドイツ軍に移りつつあるとはいえ、まだまだ局所的な優勢を維持しているところがいくらもあります。

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 第7ターン、さらにソ連軍はスラビャンスクとアルテモフスクの間にあるクラマトルスクも占領しました。

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 最終の第8ターン、ドイツ軍はハリコフを奪回するため、南北からまわりこむように攻撃をかけていましたが、結局、間に合わず果たせませんでした。
 ポイント的には都市の占領と部隊の損失によるポイントで両軍とも同点、ソ連軍にだけ与えられる都市への突入ポイント12点分だけソ連がドイツを上回り、ソ連軍の勝利となりました。

 優勢であったはずの後半において、アルテモフスクとクラマトルスクを占領され、あまつさえそのまま保持されたことがドイツ軍の敗因の一つに数えられます。
 なぜそんなことになってしまったかといえば、中央への兵力集中にこだわりすぎたためかもしれません。たしかに中央を破られないことは重要ですが、なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとしで、この方面にはポイントリソース自体がありませんから、むやみに大軍を集めるのも考えものです。
 それよりも、アルテモフスクとクラマトルスクを防衛し、可能ならばスラビャンスクの奪回こそ目指すべきでした。

 とはいえ、それでも点数としてはまだドイツ軍は勝てません。ハリコフ奪回についても、地形効果を過大に評価しすぎたことによる迂回作戦が時間切れを招いてしまったといえそうです。兵力的には正面突破でもそれなりに成算はあったと見るべきで、スピードとの兼ね合いを見誤りました。

 プレイの直後はドイツ軍による反撃のタイミングが遅かったような印象を持ったのですが、時間がたってから振り返ってみると、兵力配分のアンバランスにその原因を求めるのが妥当なようです。特に南方のソ連軍を過小評価してしまったことが、後半の2都市失陥へとつながったといえます。

 ハーフマップの手ごろなサイズながら、まだまだ検討すべき事項の多いゲームです。『エル・アラメイン』と『ダンケルク』のサイズでは、さすがに展開の収束していく方向が見えていますが、マップが広さが倍になったこのゲームは、今後もしばらくはバリエーションが拡散していきそうです。
 そんなこんなではあり、また、何度かプレイをくり返しないと深く掘れないことも自明なのですが、まだまだ20年越しで手をつけていないゲームが多すぎて、とりあえず、そちらに一巡させたいので、この先については、いずれまた。

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