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2015年06月30日19:48

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福島県南会津の共同浴場めぐり

福島県の復興キャンペーンで、宿泊代の半額を政府が補助するというのを知り、以前から行ってみたかった南会津を周ってきました。

今回は地元民専用、通称“ジモ専”に近い共同浴場がメインのお話です。


6/12(金)
在来線で新白河駅へ到着。レンタカーは3日間で9千円ほどするが、こちらもキャンペーンで返却時給油不要。今回はかなり移動距離があるので3〜4千円分のガソリン代が浮く計算。

車は西へ走らせる。

1、甲子温泉「大黒屋」★★★+
一旦館内から出て橋を渡った先に建つ歴史ある風呂場が非常に良い雰囲気。癖のない湯だが入浴に適した温度で湧くので加水も加温も不要の掛け流しを満喫できる。

2、新甲子温泉「みやま荘」★★
高額な料金だった割には特徴に欠ける一湯だった。

せっかく平日に来たのだから、今日だけは観光地も訪問する。宿場町として栄えた大内宿へ。
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鉄道や現在の主要道路から結構離れており、車でないとアクセスは悪い場所だが、だからこそ雰囲気があって良いね。

続いて渓谷の岩が部分的に欠けた“塔のへつり”へ。
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観光客は上海から来た2人組だけだった(写真撮ってあげた)。

いずれも入場料代わりに駐車場代を取って成りなっている観光地のはずだが、なぜか無料だった。

夕食に会津地鶏の親子丼を食べ、宿のある桧枝岐温泉郷へ。尾瀬の手前まで来たことになる。
宿で無料券をもらって近くの温泉へ。

3、桧枝岐温泉「燧の湯」★★★★
アルカリ性の硫黄泉と言う好みの泉質で、思いがけず良い湯だった。脱衣場で塩素の掲示を見て失望したが、よく見ると清掃時に使用しているだけで湯への投入はないのだろう。アルカリ性の湯というのは塩素消毒しようとすれば効果を出すために大量に塩素投入が必要で、しかも繊細な湯が多いから塩素なんて入れたら温泉らしさは吹き飛んでしまうことが多い。そうなると水道水のほうがマシ。

宿は「民宿あづま」という名で、関東の中高生が自然学校や合宿で来るらしく、廊下に集合写真やお礼の寄せ書きがたくさん貼ってあった。

6/13(土)
政府の補助やじゃらんのポイントを使い、昨晩500円するはずだった「燧の湯」の無料券ももらえたことを考えると、実質数百円で1泊朝食となった民宿あづまだが、ここの風呂も一応温泉らしいので入っておく。

4、桧枝岐温泉「民宿あづま」★+
温泉目的で選んだ民宿ではないので別に良いのだが、加水加温消毒循環という温泉好きにとって“四重苦”を示す掲示。しかし、循環装置は動いていないようで、カルキ臭もなかったので不快な入浴とはならずに済んだ。

さて、出発して今朝最初の目的地“木賊温泉”を読める人はどれほどいるのだろうか。山奥の集落と言う感じの場所にある温泉だ。
川辺にある無人の共同浴場で、看板に従って道を進みます。
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ありました!
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こんな感じの混浴風呂です。
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※浴槽写真は『東日本版まっとうな温泉』より

5、木賊(とくさ)温泉「岩の湯 露天風呂」★★★★★
出ました、五つ星!野趣溢れる雰囲気は勿論のこと、お湯も大変に良いです。まず足元の岩場からこんこんと湧き出るこの上なくフレッシュな湯は、最適な温度で冬場に入っても良さそう。そして決して主張の激しい湯ではないが、甘い硫黄臭もはっきり感じる。掲示されている「この温泉は村人が大昔から守り継いできた村の宝物です」という言葉が心に響く。よそ者も入れさせてもらえるのは本当に有難いことだし、これからも守っていきたいと強く願う。

続いて、湯ノ花温泉郷へ。ここはお湯とは違う意味で、かなり印象に残ることになった。
湯ノ花温泉も山奥の集落と言う感じの場所で、周囲に大きな町がなく、相当に辺鄙な場所と言える。
共同浴場が4軒あるようで、外来者は1日券を200円で買うと、何度もどこへでも入って良いという太っ腹。

掲示によると、
「入浴券は部落内の商店、旅館、民宿、一般家庭で購入して下さい。」
→商店や旅館は分かるけど、一般家庭に声かけても買えるのか(笑)
「入浴券を持たない人は当日券1,000円を徴収します」
→いわゆる罰金なわけですが、千円ならそんなに高くないですね。
そして、
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「部落内の全員が監視員です」って、すごいなぁ。確かに一緒に入浴していたおじさんとの雑談中、さりげなく「200円の入浴券はお持ちですか?」と聞かれたわ。
無人の共同浴場は地域の方が当番で清掃や管理をすることにより、入浴が可能なのだ。掃除をすることがない僕ら外来者は感謝の気持ちをもって料金箱にお金を納めねばならないのは当たり前。だけどここまで地元住民たちが徹底して管理しようという意思をあらわにしているところは初めて見たかも。

6、湯ノ花温泉「湯端の湯」★★★
男湯、女湯、に加え、地元民専用の浴室があった。
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自分たちの温泉を守りつつも、外来者へ分け与えてくれる住民たちに感謝。お湯は熱いが、芒硝臭を感じる心地良いもの。

さぁ、隠し湯に挑戦しよう。
湯ノ花温泉で評判の良い「石湯」と呼ばれる浴場は外来者向けの看板は一切出していない。外来者を禁じているわけではないが、探し当てたものだけが入浴できるのだ。
川のそばと言う情報しかなかったので、橋の上から見渡してみるが・・・
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それらしきものはないなぁ。橋の付け根のところには天神湯と言う別の浴場はあったけど。
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仕方なく住民らしきおばさんに聞き込み、指をさされた方角へ歩いていく。
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それらしき湯小屋がありました!
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いやぁ、これは宝探しですなぁ。見つけられたときの嬉しさは共同浴場めぐりの楽しさの一つですね。
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浴室にあるドアを開けると道はなく、川です(笑)
渓流釣りを楽しむおじさんが川の中を歩いていました。
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7、湯ノ花温泉「石湯」★★★
お湯はやはり無色透明無味無臭(MTMM)だが、もちろん掛け流し。川沿いのロケーションが素敵な一湯。

午後は北上して、只見線沿いの共同浴場を周る。
一番訪問してみたかった大塩温泉は改装中らしく、次に行きたかった西山温泉へ向かう。
ここは数件の宿が建つ小さな温泉郷で、せいざん荘という綺麗な日帰り入浴施設があるが、カルキで温水プール状態になっていると聞いているので、最も評判の良い老沢温泉旅館へ。
凄く雰囲気の良い木造の建物だが、予想通り閉まっていて電話にも出ない。事前情報でも入浴できる確率は低いそうなのだ。
仕方なく中の湯という別の宿へ。老沢温泉旅館のことを話すと、
「ああ、きっと畑へ出てるんでしょう」とのこと。自由だなぁ。

8、西山温泉「中の湯(内湯)」★★★★+
硫黄の湯の花が卵スープのように大量に舞い、素晴らしい逸品。

さらに時間の許す限り共同浴場を周ります。

9、八町温泉「亀ノ湯」★★★★+
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もちろん無人なので箱に200円以上を寄付する。高額寄付者は壁にずらりとフダが掛けられてますね。
比較的高温なので肌に泡はつかないが、炭酸成分を豊富に感じる湯で、長岡から通うというおじさんと一緒に入浴を楽しみました。

10、湯倉温泉「共同浴場」★★★+
情報では相当鄙びた共同浴場だったはずだが、エアコンまでついた綺麗な施設になっていた。塩分や鉄分を感じる湯だが、かなり源泉が熱くて投入量を絞っている様子。

11、滝沢温泉「民宿松の湯」★★★+
石材屋さんを思わせるほど石造りの置物が多いが、100円で立寄り入浴可能だ。
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湯は貝汁色で、口に含むとお吸い物のような濃度の塩化物泉であることが分かる。美味しい。塩化物泉はこれぐらいの濃度が一番気持ち良い。

南会津町にある宿へ戻って山菜料理を満喫する夕食。まさかの相席に驚いたが、登山客やツーリングの方とすぐ打ち解けて楽しい夜を過ごしました。

6/14(日)
東へと走らせ、新白河へ戻る。

12、岩瀬湯本温泉「湯口館」★★★
江戸時代開業の歴史ある宿。内湯しかないし、湯に強い個性があるわけではないが、至極まっとうな掛け流しで提供しており、好感が持てる。

13、二岐温泉「大丸あすなろ荘」★★★(露天だけなら★ゼロ)
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日本秘湯を守る会の会長の宿らしく、今回周った多くの共同浴場や鄙びた宿と違って豪華な宿。
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足元湧出の有名な岩風呂はリニューアルされたのか綺麗でしたが、こんこんと湧く様子が感じられ良い印象です。ただ思いっきり水道水で加水されており、源泉100%にこだわりが強い人は少しがっかりするかも。
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川沿いの露天風呂は素晴らしいロケーションに心が躍りました!着替えて早速浸かろうとすると・・・まさかのカルキ臭!こりゃ温水プールです!こんな自然味溢れる掛け流し露天風呂に塩素消毒!?元々成分の濃くない繊細な源泉なので、塩素によって温泉らしさは全く感じなくなっています。残念ですが15秒で出ました。

宿が悪いのではなく、行政による指導のためなのかもしれないが、秘湯を守る会の会長の宿としては非常に情けない。というか皮肉なことに、秘湯を守る会の宿というのは全国どこでもハズレがない見事な湯ばかりだったので、ここは秘湯を守る会の宿で最もダメな宿という結論に至る。
殺菌のため元々高温の源泉を沸騰させて使ったり、加水に井戸水や地下水ではなく安易に水道水を使ってしまったり、言われなければ気づかないこれらには目をつぶってもいいが、このカルキ臭だけはダメだ。

自然湧出の源泉しか認めない、一滴の水の加水も許さない、と極論を言うつもりは毛頭ないが、循環と塩素消毒だけは温泉が温泉でなくなってしまう。特にこんな無色透明な繊細な湯をそういう扱いにすれば、水道水と何が違うというのか。どこに温泉に来た喜びを感じろというのか。

まぁ露天以外はまともな湯だったので、平均よりは良い湯ですが、ちょっと期待してハードルあげすぎちゃいましたね。


福島県の温泉は、会津若松を観光した際に東山温泉が酷かったので印象が悪くなっていましたが、今回周った南会津のエリアには多種多様な名湯が存在することが分かりました。
どうも行政によってまともな温泉が消されていきつつあるようなので、如何にして温泉を守っていくかを考えなければいけない時代に来ているようです。
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