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2015年07月21日22:08

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【解説】１９９１ポルシェ９１１カレラ４ライトウェイト

タイプ９６４型のポルシェ９１１量産モデルの中で最軽量を誇ったクラブマンレーサー、９１１カレラ４ライトウェイトの解説です。

ベースとなったのはその名の通り、１９８９年に発売された９１１量産モデル初のフルタイム４ＷＤモデルである９１１カレラ４です。

１９８９ポルシェ９１１カレラ４

１９８９年モデルは９３０型との併売であり、８９年モデルのタイプ９６４はカレラ４のみが先行して販売されました。

フロントに３１％、リヤに６９％の駆動トルクを配分するフルタイム４ＷＤを採用していました。

そんなカレラ４をベースに開発されたのが９１１カレラ４ライトウェイトです。

この９１１カレラ４ライトウェイトは、アメリカの熱心なポルシェフリークからの『クラブマンレースで勝てる９１１が欲しい』という依頼を受けて、ポルシェの開発ドライバー／ワークスドライバーだったユルゲン・バルト氏が指揮を執り、バイザッハで製作されたという変わった経緯を持っています。

９１１カレラ４ライトウェイトは限定２０台の予定で１９９１年から生産が開始されましたが、１台ずつバイザッハのファクトリーで手作業で生産されたこともあり、生産期間は２年半ほどと長く、１台１台細かな仕様が違っているようです。

最終的には２３台が生産されたといわれています。

まずはエンジンです。
エンジンはＭ６４／０１型で全くのノーマルでした。
これはメンテナンスコストを抑えるための工夫です。

ただしオプションとしてノーマルの２５０ｐｓ仕様以外にカップカー用の２６５ｐｓと２７５ｐｓの２種類のスペックも用意されていました。

エキゾーストパイプです。
カレラ４ライトウェイトにはヒーターが装備されていないため、ヒートエクスチェンジャーのないシンプルなものが装備されています。

ボンネット内部です。
ボンネットフードは軽量なアルミ製を採用しています。

タワーバーは標準装備(画像は社外品)で、ストラットタワーは悪路での走行を考慮して補強されています。

燃料タンクは７７リッター、軽量化のためスペアタイヤは省略されています。

左側の３つのフルードリザーバーはブレーキのツインマスターシリンダー用(サーボなし)とクラッチマスターシリンダー用です。

フロントウインドウの左側にあるのはキルスイッチ用のツマミ。

ヘッドライトリングは軽量化のため装備されず、この部分は無塗装のため素地のままです。

ドアアウターパネルはグループＢカーの９１１ＳＣ／ＲＳと同じアルミ製。

サイドミラーは固定式のエアロミラーを採用しています。

右リヤフェンダーには７２年の９１１や９５９と同じオイルフィラーが備えられており、間違ってガソリンを注入されないようにマイナスドライバーがないとリッドが開かないようになっています。

ウインドウは前後がノーマルのカレラ４と同じ４．７ｍｍ厚のガラスで、サイドウインドウはアクリル製のスライドタイプが採用されていました。
個体によってはクォーターウインドウに９６４カレラＲＳと同じ３．３ｍｍ厚の薄板ガラスを装備したものもあるようです。

サイドウインドウはオーナーの手により１枚板のアクリルウインドウへ交換されている例もあります。

エンジンフードは２種類あり、こちらの場合はウイング一体成型のＦＲＰ製です。

こちらは９１１ＳＣ／ＲＳと同じアルミ製で、その場合ウイングは９３０カレラ３．２と同じウレタン製の翼端が装着されたものになります。

ホイールは９１年までのディッシュタイプ１６インチアロイでフロント６Ｊ，リヤ８Ｊのサイズも同一です。

ブレーキはパッドのみレーシングタイプに交換されています。

ドア内貼りです。
ナナサンカレラこと７３年型カレラＲＳのライトウェイトモデルなどと同じプラスチック製を採用、ドアオープナーは赤いストラップで、ウインドウレギュレーターは手動式です。

インテリアです。

パワーステアリング以外の快適装備は一切ありません。

レカロ製のバケットシートが２脚備わりますが、運転席はシートがステアリングと正対するように１０ｍｍほど内側に寄せて取り付けられています。

メーターは５連メーターの内、右側の時計が廃止され、９６２Ｃや９３４などのレースカーに装備されたコーションランプが収まります。

ペダル回りです。
アルミ製ペダルの奥にクラッチ用シリンダー、ブレーキ用ツインマスターシリンダーが見えます。
先ほど書いたように、ブレーキはノンサーボです。

ブレーキにはブレーキバランサーが装備されています。

５速マニュアルミッションはパリダカールラリーに出場した９５３用のギヤボックス(９５３．３００．０３０．０００)が標準装備され、標準設定では最高速２１０ｋｍ／ｈというパリダカ仕様のままの超クロスレシオミッションが組み込まれていますが、ファイナルレシオを含めて様々な仕様が用意されていたようです。

カレラ４ライトウェイトには軽量化のためかサイドブレーキが装備されていません。
その代わりにラインロックが装備されており、ブレーキを踏んだ状態で画像のように赤いレバーを立てるとラインロックされサイドブレーキの代わりになります。

インパネに装備された２つのダイヤルは、センターデフの駆動トルク配分調整用とリヤＬＳＤのロック率調整用のダイヤルです。

これはミッションだけでなく駆動系全てに９５３のパーツを使用しているためで、前後駆動トルク配分は５０対５０から３５対６５まで、いつでも任意に調整することが可能で、同様にリヤＬＳＤのロック率は０％から１００％まで、つまり完全フリーな状態からデフロックまでを任意に調整することが出来ます。

右上にあるメーターがそれぞれの調整具合を表示する油圧計で、標準設定はセンターデフが１５ｂａｒ、リヤＬＳＤが５ｂａｒで、トルク配分は４０対６０、ＬＳＤロック率は３５％の設定です。

マターのアルミ製ロールケージはボルト固定式、助手席には簡素なフットレストが一応備わっています。

徹底した軽量化によって、９１１カレラ４ライトウェイトの車両重量は僅か１１００ｋｇに抑えられてました。

１９９２ポルシェ９１１カレラＲＳ

これはノーマルのカレラ４から３５０ｋｇ軽量化され、カレラＲＳよりも１２０ｋｇも軽く仕上がっています。

なおカレラ・カップカーの車重は１１２０ｋｇとなっており、それをも凌ぐ軽さを実現しています。

☆１９９０ポルシェ９１１カレラ４ライトウエイト(ｔｙｐｅ９６４) 　車両諸元
全長：４２５０ｍｍ
全幅：１６５２ｍｍ
全高：１３２０ｍｍ
ホイールベース：２２７２ｍｍ
トレッド(Ｆ／Ｒ)：１３８０／１３７４ｍｍ
車両重量：１１００ｋｇ

エンジン型式：Ｍ６４／０１
エンジン形式：空冷水平対向６気筒ＳＯＨＣ１２バルブ
ボア×ストローク：１００×７６．４ｍｍ
総排気量：３６００ｃｃ
バルブ径(ＩＮ／ＥＸ)：４９／４２．５ｍｍ
シリンダー：ガリバニカリ
クランクケース材質：アルミダイキャスト
バルブタイミング(ＩＮ／ＥＸ)：４－５６°／４５－５°
ピストン製法：鍛造
圧縮比：１１．３
燃料供給装置：ボッシュＬＥジェトロニック
エンジンマネージメント：ボッシュ・モトロニック
クラッチ径：２２５ｍｍ
燃料：無鉛９５オクタン
発電機：１６１０ｗ
クーリングファン：２４５ｍｍ径１２枚ブレード
最高出力：２５０ｐｓ／６１００ｒｐｍ
最大トルク：３１．６ｋｇｍ／４８００ｒｐｍ
燃料タンク容量：７７リットル
※カップカー用２６５ｐｓ、２７５ｐｓエンジンもあり。

トランスミッション：９５３．３００．０３０．００型５速マニュアル
①３．５００
②２．０５９
③１．４０９
④１．０７４
⑤０．８６１
ファイナル：４．６２５

※オーダーによって様々なレシオを用意。

ホイール：Ｆ６Ｊ×１６、Ｒ８Ｊ×１６

タイヤサイズ：Ｆ２０５／５５ＺＲ１６、Ｒ２２５／５０ＺＲ１６

世界限定２０台　※最終定期な生産台数は２３台
日本国内新車時価格：２８００万円

☆参考資料
９１１ＤＡＹＳ　Ｖｏｌ３９　他

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