療養中の叔母の家に、リクエストにお応えして「裕次郎×洋次郎3枚セット」と称してDVDをお届け。
「何もひばりばかりじゃない、わたしゃ裕次郎だった」と言い張る叔母に、
「じゃ、何かDVDを見つくろって退屈しのぎにいかが」と聞いたところ、
彼女が見たがっていたのは「嵐を呼ぶ男」でも「銀座の恋の物語」でも
「黒部の太陽」でもなく、「若い人」や「陽のあたる坂道」や「乳母車」だった。
まあ、実際に女子高時代には東京の下町で育ち、身近にはチンピラやくざや
フーテンやらを見てきた世代にとっては、昭和30年代は単に「活気があってよかった」
というだけのものではなかったらしい。
戦後の暗さを引きずり、社会からドロップアウトした若者たちを身近に感じ、
その暗さや切なさを思い出したくない世代である。 セーラー服を着て小便くさい
駅裏の道を毎日通っていた日々は、輝いて思い出せるものばかりではない。
裕次郎のアクション路線は、はみ出し者のカッコよさや切なさを思い出させるが、
叔母にとってはそんなものは本当の裕次郎の魅力ではなかったという。
「そんな不良の話より、もっとカッコいい裕次郎が見たい」と言ってあげてもらったら
出てきたのが先の3本。
これって、当時一世を風靡した石坂洋次郎原作の3本でもある。
「陽のあたる坂道」はボックスセットも持っているが、別に購入した一枚があるし、
「若い人」は昨年シリーズで出ていた「吉永小百合 私のベスト20 DVDマガジン」で
持っているし、「乳母車」はかなり前にNHK BS-hiで放送したのを録画してある。
という訳でリクエストいただいた3枚を持参、DVDプレイヤーも新しいのを買って
お届けした次第。
とりあえず、DVDプレイヤーのつか方を覚えていただいて「若い人」を見ながら、
「ね、こんなにカッコよかったのよ。」と裕次郎を語る叔母を横目に
吉永小百合と浅丘ルリ子のダブルヒロインを満喫する午後であった。
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