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2014年07月27日23:49

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『必殺仕事人2014』 鑑賞

ううむ。

やはり、田中聖の抜けた穴は痛ぇなぁ、と云わずもがなの
事は当然ありつつも。

『必殺』としては悪くなかった、今作。

あまりに無茶苦茶な脚本に「乗れねぇなぁ」
と残念な気分で一時間ほどを過ごしていたのだが、
渡辺家とおつうが邂逅してから、
「あ、やりたいのは『主水、娘と同居する』か!」
と分かってからは、俄然興が乗ってきたのですな。

スタッフが、この作品は「必殺である」という
事を忘れていない、という事が分かったから
嬉しい、という単純なお話。

ま、無茶苦茶な脚本、なんて
過去の必殺シリーズには当たり前だったしね
(消費税やルービックキューブが出てきたりした
後期は素より、『仕掛人』にだって「誕生日」
なんてのが出てくる始末!)。

だから、これくらいの無茶は必殺ファンには
珍しくもなんともない。

当時鎖国していた日本で、入ってくる
欧州の情報と云えばオランダだった筈なのに
やたらイギリスを押す老中がいるとか、
恐らくは文化文政期の筈なんだが、
最初に小五郎に仕置される莫連者に
見せた小銭が寛永通宝だったり、と
下らない脚本演出の甘さは気にならない((本当に?)。

あ、当時妻帯禁止の仏教徒が「添う約束を」
とか云うのは、単純に浄土真宗だと考えれば
平仄が合うので、ツッコミは無用だね。
蓄髪妻帯が唯一許されていたのが真宗だからさ。

相変わらずオーヴァな涼司に
安定のお菊、といい具合に主水と
融合してきた小五郎も悪くない。

何より良かったのが。

新人の何とか君だ(今のところ役者の名前も
役名も覚える気無し)。

最近の(つうか、仕事人後期から皆、だが)
若手仕事人は、殺しが始めてだろうが何だろうが
いきなり華麗に的を仕留めたりしちゃうもんだったが
(好例が源太だ)、何とも無骨な懐剣に
体ごとぶつかるような殺し、だ。
これは痺れる。

ましてや、最近お亡くなりになられた
林隆三さんの。
『必殺必中仕事屋稼業』の政吉の
殺しを彷彿とさせるそれは。

矢張り、感慨深かった。

また、仕置を行う前の、怯えを孕んだ
その台詞。

「多分、一思いには無理です。殺しは・・・初めてなんです」

この台詞の重さ、残酷さ!
その後の嘔吐するシークエンスまで、
ここまで「殺し」の実感を湧かせようという
演出は、必殺は避けてきた。

あくまでも一小市民による人殺し、という
重さ。

これを描こうというスタッフの心意気に打たれた、
と云えるだろう。

それだけに、その後の涼司、小五郎の手馴れた殺しには
イマイチ乗れなかったのもまた、面白い副産物だろ
云えるか。

今後も、この新人君がレギュラ化していって。

このような泥臭い殺しをいつまで出来るか。

楽しみにしたい。

でもねぇ。

ちょおっとだけ、惜しいと思うんだよね。

折角寺の持童だった訳だしね。
坊主にして、手業の殺しとかしてくれれば
なぁ、なんてな。

ま、でもあの華奢な感じだし、レントゲンは
涼司がもう使っている訳だし、おまけに
田中が抜けた後にまた、という訳にも
行かなかったんだろうけどね。

そして、独りだけやらた芝居の大きい(笑)
高橋英樹だが。

いいんじゃ〜ん。

このまま、仕置人における天神の小六ポジションに
収まってくれれば良いんではないかと。

たまに出てきて重要な役掻っ攫う、でも
全然ありでしょ。

そろそろ、往年の時代劇スターたちの
「思い出作り」の為の悪役体験ってのも
飽き飽きだからさ。

後、要所要所で見られた逆光多用の
初期必殺っぽい演出も素敵だったし、
仕置人、仕留人、仕業人のBGMを
多く使ってくれたのも個人的には素敵。

新人君の殺しのテーマが仕業人、ってのは
本当にぐっときた。しかも、仕置用の曲じゃないって
あたりも。

小ちゃんは・・・仕方ないのかね。

主水健在の時の『新仕事人』の曲が
良すぎたから、矢張りとって付けたような
主水の殺しのテーマは、残念。

あの曲と『必殺!』はそろそろ殿堂入りさせる
べきだと思う。

そんな事をぶつくさ云いつつも。

結局、楽しませてもらいました。

矢張り、必殺はいい。

出来ましたら、またレギュラシリーズを。

必殺シリーズの最高の舞台は、映画でも
二時間スペシャルでもなく、
45分のテレヴィ番組だと思うのでね。
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