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2014年02月22日17:56

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ナショナル・シアター・ライブ 「フランケンシュタイン」

映画館で舞台を見る。所謂ゲキシネというやつに、初めて行きました。結構面白いものですね。TOHOシネマズさんは、他にも新感線や、タイタンライブを上映していますが。

私が見てきたのは、怪物がベネディクト・カンバーバッチ氏で、フランケンシュタイン博士がジョニー・リー・ミラー氏ヴァージョンの『フランケンシュタイン』。
日本では、何故か、怪物の名前がフランケンシュタインっぽくなってますが、本来は、怪物には名前はなく、フランケンシュタインは怪物を作った博士の名前。
カンバーバッチ氏が、BBCのSHERLOCKのシャーロック・ホームズ役で、ジョニー氏が、CBSのエレメンタリーのシャーロック・ホームズ役なので、どちらも現代版ホームズ役者なのであった。Wホームズですね。お芝居見てる時は、ホームズっぽくはなかったケド。

Wキャストで、逆ヴァージョンもあるのですが。両方見ても良かったんですが、「映画として考えると、結構チケットが高いのに、それでクソつまんなかったら嫌だな。」と思って、片方しか見ていないのですが、クソつまらなくはなかったです。ただ、「どうしてここで、英国の客は笑うんだろう?」(劇場でやっているので、お客さんの反応も入っている)と思う部分はあった。文化の違いかなぁ〜。
あと、もう、博士の婚約者のエリザベスがやりきれない。本当にやりきれない。何あの不条理感。いや、筋は通ってるけど・・・。

でも、終わり方は私の好きな終わり方でした。原作とは違うけれど、あの終わり方は好き。怪物と博士は、あのままずっと、お互い憎しみと想いを感じながら、いつ果てるとも知れない“追いかけっこ”をずっとずっとず〜〜〜っと続けるんでしょうね・・・。おそらく博士が本当に亡くなるその日まで。
で、危うく、怪物と博士でCPを作りかけましたとさ。危ねー、危ねー。まさか、フランケンシュタインでCPが出来るとは。

原作は、ご存知メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス(原題はFrankenstein: or The Modern Prometheus)』。
何が凄いって、このメアリーちゃん。18歳でこの小説を書いてます。ゴシックホラーの金字塔と言われるこの小説を。18歳の女の子が、人造人間の話なんて何で書いたのだろう?(書いた経緯は、知ってるけど、書いた理由が不思議なの)不思議ね、19世紀。

お芝居もほぼ、原作通りに進みます。最後が違う・・という感じかな。
あと、そう言えばそうか・・と思ったのだが、フランケンシュタインって、怪物は前半部分は、ほぼ素っ裸なんだね。忘れてたよ。作られたんだもんね、博士に。
ジョニー・リー・ミラーは本当にイケメンだなぁ〜て思った。そして、ジョニーさんは顔が可愛いので、顔の可愛いマッドサイエンティストになっていました。狂ってるのに、顔は可愛い。余計怖いか。
因みに、カンバーバッチさん怪物ヴァージョンの方を選んだのは「カンバさん、怪物似合いそう。結構そのままで怪物〜」と思ったからである。そして合っていた。

映画。本編は字幕が付いてますが、冒頭のナショナルシアター50周年の紹介部分は、字幕が付かないので、見に行かれる方は、リスニングを頑張って下さいねっ。私はやっぱり半分しか聞き取れなかったYO!(泣) あと、冒頭にメイキングが入っていた。これは結構面白いですよ。

先行予約で取ったら、映画館の客席のほぼド真ん中で、ずごく見やすい席でした。これは有難かった。前回のスタトレ。舞台挨拶付きだったから、良い席が前だったのだろうが、映画で最前列って見づらいよ!!

※以下、ナショナル・シアター・ライブ 「フランケンシュタイン」の感想を書きます。これからご覧になる方や、「フランケンシュタイン読んでみようと思ってるんだケド」と言う方は、ここから先は読まれない方が宜しいと思います。

では、ネタバレOKの方のみいらっしゃいまし〜。

ナショナル・シアター・ライブ 「フランケンシュタイン」
TOHOシネマズ府中

ざっくり粗筋。
冒頭。怪物が生まれるところから始まる。怪物はもがき苦しみ、そして立ち上がる。そこにフランケンシュタイン博士が来る。この博士こそが、この怪物を作った本人なのだが、博士は怪物のあまりの醜さに恐れ慄き、怪物を捨て、研究施設があったドイツから、故郷のスイスに逃げ帰ってしまう。
捨てられた怪物は、あてどなく彷徨う。怪物は、娼婦を助けたり、心優しい奴なのだが、容姿が醜いばかりに、どこの街に行っても迫害されてばかりだ。ある日、1軒の農家に辿り着く。怪物は、そこで、元大学教授の盲目の老人に出会う。老人は息子夫婦と住んでいた。軍隊に大学を追放され、今は農家をやっているという。大学教授の老人は盲目故に、怪物の醜い姿は見えない。本来の怪物の優しさを感じてくれる。教授は、彼に知性を感じ、読み書きを教え、知恵をさずける。怪物は、どんどんそれらを覚え、人間らしくなっていく。老人は訊く。「オマエの名前は?」 怪物は答える。「名前は・・・ない。」 「両親は何処にいる?」 「両親は・・・いない。」
怪物は夢を見る。自分と同じ怪物・・でも、美しい女性の怪物の夢を。彼はこの世に1人の孤独を感じていた。
ある日、老人は言う「息子夫婦に紹介する。」と。怪物は言う「オレは醜いから、息子夫婦に会ったら嫌われる。石を投げられる。」と。老人は、そんなことはないと言い、帰ってきた息子夫婦に怪物を会わせるも、息子夫婦は怪物を罵倒。「父さんから離れろ!」と石を投げ、こん棒で怪物を殴りつける。

怪物はその場から逃げだす。老教授は「彼は私に指一本すら触れていない。何てことをしたんだ!」と怒る。その夜。怒り心頭の怪物は、その農家に放火する。

怪物は、博士を追ってスイスへ行く。フランケンシュタイン家では、フランケンシュタインの婚約者がおり、結婚間近。その婚約者とフランケンシュタインの弟が遊んでいる。かくれんぼをしているようだ。婚約者が隠れた時、フランケンシュタインの弟に怪物は近づく。怪物は訊く。「ここいらに、フランケンシュタインという男はいないか?」 弟は答える。「それは僕の名字だ。」 怪物は言う。「ヴィクター・フランケンシュタインは、オマエの父親か!」 弟「違う、ヴィクターは、僕の兄さんだ。」弟から、兄ヴィクターは、家におり、研究室に閉じこもり、殆ど家から出て来ないことをきく。
怪物は、弟を誘拐。彼を殺し、死体を船に乗せ、川に流す。

それを見つける博士と婚約者とヴィクターの父親。博士は、弟の遺体と一緒になくしたはずの自分の日記が入っているコトに気づく。そして、のたれ死んだと思っていた怪物が生きていたことを知る。

博士は怪物と出会う。怪物は言う。「オマエと争いに来たんじゃない。弟を殺したのは、そうでもしないと、オマエは俺の元に来ないと思ったからだ。オマエに頼みがある。オレと同じ怪物の異性を作ってくれ。そうしたら、もう2度とオマエの前には現れない。」 博士はその申し出を受ける。「本当だな?2度と俺の前には現れないな?」

博士は、フランケンシュタインの要望通り、美しい女の死体で怪物を作りあげる。怪物は喜ぶ。しかし、博士は、こんな怪物が何匹も人間社会に生まれ出るコトを恐れ、その女怪物を殺してしまう。フランケンシュタインは怒り狂う。

博士は家に戻り、婚約者と結婚。そして、妻となったエリザベスを守るため、警備を強化する。しかし、怪物は、既に、エリザベスの寝室に潜んでいた。ベッドから飛び出す怪物に驚くエリザベス。しかしエリザベスは聡明で優しく、彼がフランケンシュタインが作った怪物であると理解し、彼に優しく接する。彼女と怪物は話をする。仲睦まじげだ。怪物は苦しげに言う。「あなたは良い人だ。初めてオレに優しくしてくれた。とても良い人だ・・・。だけれど・・・すまない。」 怪物はエリザベスに馬乗りになり、エリザベスを殺す。そこに入って来た博士。博士は、その様子を見て激怒するも、怪物は「オマエは約束を破った。オマエがしたことと同じことをしたまでだ!」と言い捨て、屋敷を逃げ出す。博士は叫ぶ「オマエを地の果てまででも追いかけて行ってやる!」

北極点近く。怪物がいる。ソリを引いてボロボロの姿の博士。博士は怪物のそばに行くも、もう、動く元気はないようだ。動かない博士を抱え、怪物は泣く。「私は、愛して欲しかっただけだ。アナタに愛して欲しかっただけだ。」 怪物は、博士の口にワインを注ぎ、額に口づけをする。そこで、死んだと思った博士は目覚める。怪物の心を知った博士。しかし、怪物は、再びそこから逃げる。その怪物のあとを追う博士。

こんなお話。

最後だけ違うよね。原作だと、博士は北極点近くで船に拾われて、そこで死んじゃって、怪物が来て、博士の死を嘆いて、どっか行っちゃう・・・という話だったと思ったので。

このお芝居の博士は死にません。おそらく、これからずっとずっとず〜〜〜っと、自分が作った人造人間・・・自分が犯した罪とも呼べよう・・・を追いかけ、一生過ごすのであろう。人生をかけた壮大な追いかけっこ。

これ、最後の場面は好きだったなぁ。そうなんだよね。この怪物さん。ようは、博士が自分を作った創造主で、お父さんみたいなモノだから、ただ「お父さんに愛して欲しかった。」だけなんだよね。そう考えると切ねえ、切ねえ。

最後。博士が追い付いて、「親愛なる博士。アザラシの肉があるぞ!」と怪物が言って、博士がその肉にくらいついて、そこで力尽きて動かなくなって、怪物がその博士の体を抱えるシーンが美しくて好きだった。(私はこの時点で、博士死んじゃったと思ったけどな(^_^;)) 開かない口にワインを流し込み、額に何度も口づけをする怪物が、顔は醜いのに、何故か美しく見えるって言うね。まぁ、カンバさんだから、そんな醜くもないんでしょうけれど(メイクはしてるが)。
ホームズがホームズにキスしてるとも言える(笑)。

でさ。どうしてもつっこみたくなるのは、「博士、オマエ何がしたかったんじゃ?」って言う(^_^;)。
女怪物を作っておいて、怪物の前で殺すことはねえよなぁ。そら、怪物も怒るよ。この博士、バカなのか?と思うよな。怪物が増えるのが恐ろしくなったという理屈は分かるが、もっと何かやり方があったろう!そしてこの女怪物役の女優さんが綺麗でした。トップレスなのだが、彫刻みたいだった。
博士は「女神を作ろう。」って言うんだよね。「悪魔のオマエに女神を作ろう。」って。

あと、もう、博士の婚約者のエリザベスちゃんの死に方が、死に損って言うか、何て言うか。怪物は、復讐で殺してるんだが、エリザベスちゃんは良い娘さんで、怪物にとても優しいのに。優しくしたのに殺される。理不尽!怪物にやれれちゃった上、殺されるからね。怪物は、博士に高らかに言う。「これで、オレも本当の男だ!」と。

最初、博士が怪物作ったってコトをエリザベスちゃんが信じてくれなくて、「結婚式に呼びましょう!」って言うのが好きだった。結婚式に正装で参列する怪物・・・ちょっと見たいよね(笑)。

あと、冷静に考えると冒頭の博士も酷い。自分で作っておいて、いざ見たら「醜かった」から捨てるって・・・。オマエ何だよ!理由そこかよ!ブサイクだったから捨てちゃうって。あれかなぁ、筋肉とか、機能優先で作っちゃったから、あまり顔のこと考えなかったのかなぁ〜・・・。でも、出来栄えに満足してる部分もあって、怪物に「私が作った完璧な体。」って言ったりはする。顔か?顔重視だったのか、博士?博士面食いなのか?自分が美形だから!(ジョニーさんですからね顔は)

あと、疑問なのだが、農家のシーン。ここで怪物は1年間過ごすんだが、よく1年間、息子夫婦と鉢合わせしなかったよな。何処かに隠れて住んでいたのだとは思うんだケド。
農家のシーンの冒頭が好き。老教授はヴァイオリンを弾くのだが、怪物は、ヴァイオリンを持って、教授に渡し、「コッチニクルナ、バケモノ」と言う。ヴァイオリンを弾いて貰いたいのだが、知ってる言葉がこれしかないんですね。常に「こっちくるな、化物!」としか言われたコトがないので。
でも、老教授は、化物が、ヴァイオリンを聴きたがっていると分かってくれる。
あと、雪にはしゃぐ怪物がとても可愛い。たどたどしく「SNOW!SNOW!(雪、雪!)」って言う純粋無垢な怪物さん。てか、カンバさんが可愛い。

博士と対峙するシーンで、「皆殺しにしてやった!」というからには、放火して全員殺しちゃったんだろうな・・・。この老教授も殺しちゃったのか・・・。「石を投げないって言ったじゃないか!嘘つき!」と言う言葉が切ない。

博士との対峙シーン。怪物がやたら博士を持ち上げるのがちょっと可愛いって言う。そうしないと、女怪物を作ってくれないと思ったからだろうが。「博士にしか出来ない。オマエは天才だ!」って言う。You are Genius!
対して、自分が作った怪物にボロックソ言う博士。「クズ」とか言うなよぉ。何だろう、この人。元々性格破綻者のような気はする。

そして、カンバーバッチ氏の身体能力の高さに驚く。梯子をするする登るし、するする降りる。怪物は身体能力が高いという設定だから、そうなのだろうが、あれすごいと思った。ジョニー氏怪物ヴァージョンでは、ジョニー氏も同じコトをやったのかな?

あと、冒頭の怪物がのたくるシーンが異常に長いような気がするのだが、あれは怪物の苦悶を伝えるから長め・・・とか、そんな理由があったのだろうか?ほぼ素っ裸の男性が延々悶絶してるシーンというのは何か不思議だ。
あと、これ、両名に言えるが、素っ裸になるから、体毛処理しなくちゃいけないから大変だろうな・・・って・・・(何か、労う部分が間違ってるような気もする)。
ゲキシネならではだと思うが、上から撮影した映像があって、これは生舞台では見られないから面白いなと思った。全裸の怪物を上から見ると、ああなるんだなぁ。いずれにせよ、カンバさん熱演してました。そして、SHERLOCKのS2E1で、ホームズがアイリーンに一服もられて倒れるシーンが「フランケンシュタインぽかったよね。」の意味がようやく分かった。確かにあれは、ぽい。

舞台上で、ガチで火を使っていて驚いた。あれ、本物の火だよね?どうやってるんだろう?下にガス通ってるのかな?農家を怪物が放火する時に使った松明にも本物の火を使っていたし。日本じゃ絶対出来ないよね。
あと、ロイヤルシアターの舞台ってでかいのね。まわり舞台で、円形っぽい舞台なのね。あんなデカイと思わなかった。

照明の演出が凄い。目がチカチカする。綺麗だったけれど。

そんなところでしょうか。

最後、一応、怪物の愛は博士に伝わったのかなぁ〜・・・と思う。憎悪と愛を背負いながら、この世界の博士と怪物は、生涯終らぬ追いかけっこをするのだろう。

画像には、ジョニーさんの怪物ヴァージョンも載せてみた。てか、こっちの方が検索で多くひっかかる。何でだろう?カンバさん怪物似合ってたのに。
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