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2013年10月30日18:24

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加山又造と近代絵画の巨匠たち

『加山又造と近代絵画の巨匠たち』に行きました。チケットは、毎度お馴染み新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、いつも有難う。
フォト

以下、『加山又造と近代絵画の巨匠たち』のHP。
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201309_seki/

このタイトルの前に、セキ美術館名品展とありました。愛媛県の松山市にあるセキ美術館から借りて来たものだそうです。セキ美術館は初めて知ったのですが、良い作品を持ってるんですね。展示数は40点と少な目でしたが、「良い品を厳選して持って来た。」感じがしました。

加山又造さん。山種美術館のロビーにある、鶴が飛んでる絵の陶板画。あれの原画が、加山又造さんだよね。

加山又造さんは日本画を描く人なのだが、『創造美術』に西洋画の強い影響を感じさせる動物画を発表して注目されたらしい。でも、その後、琳派や宋画などにも影響を受けていったらしい。

「あ、琳派」と思ったのが、『中央公論社の表紙』。鶴の絵や、花の絵。デザイン的で、余白も綺麗にとってある。この辺り琳派っぽいかも。琳派ってようは、デザインなんだよね。みっちり描かない。私は、8月の表紙の蝶とカミキリムシとテントウムシの絵が気に入りました。葉の瑠璃色と、てんとう虫の赤が対比されてて綺麗〜。

今回意外だったコト。加山又造の絵は怖い。私好みかも知れません。見ていて不安をかきたてる部分が凄くある。何だろう?そんなサイコ野郎って人じゃないはずなのに・・・・。御舟といい、又造さんといい、画家の不思議さである。本人はサイコじゃないのに、絵が何かサイコっぽい。それとも、絵で自分の内面の黒い部分を吐きだしていたんだろうか?

『飛ぶ黒い鳥』。又造さんは、烏を良く描くんですケドね。これもそうなんですケド。ひび割れた金地。揉み紙って言うんだろうか?そこに、黒いカラスが2羽描かれているのだケド・・・。怖いの。何か、骨のようにやせ細ってて、目もイッちゃってて怖いの。サイコカラス。あと、飛んでるようには見えない。又造は『鴉には、私と共通の感覚がありそうに思える。孤独の楽しさ、孤独の安心感、その為の悲しさ』と言っていたそうな。私も孤独が好きなので、気持ちが分かります。又造さんて、人苦手(人嫌い)だったのかも知れない。で、烏に親近感を覚えていたのかも。でも、コレ。孤独って言うより、ひたすら怖いんだケド(^_^;)。

『白い道』。この絵、大好きになった。暫くボーっと見てました。枯れた木立ち。そこに烏の大群が飛ぶ。画面は暗く重い。全体的に黒い画面なのだが、下の道だけ白い。コレは、北海道で見た景色が元らしく、白い道は雪道らしい。これも、何か妙に不安にさせる絵でした。白黒の対比もちょっと怖い。でも、怖いけれど、これは美しいと思った。

『日輪』。タイトルは、明るそうなのに、コレも何かサイコパスっぽい絵。中央少し右寄りに大きな白い太陽。黒の木立ち(コレも葉はないので、枯れているのだろう)を茜色に染めている。手前に何故か、赤色で描かれた木立ちがあるのだが、枝が細く細かく、まるで血管のよう。銀の木立ちは美しいのに・・・・。画面はやはり揉み紙で、ひび割れが細かく入っている。コレもきっとサイコ加減に拍車をかけているのだと思う。太陽と枯れた木立ちの取り合わせだから、生と死を表しているのかな?とも思った。

私、又造さんの絵、好きです。こんな心に闇があるような絵を描く人とは思ってなかった。

他の方の絵も良かった。
横山操『暁冨士』。まっ赤な富士山。画面下には、金色で木立ちが描かれている。金色の雲も浮かぶ。赤い冨士は、ところどころ、黒い筋が見える。赤い絵の具(辰砂だろうか?)を厚塗りして、それを削り落としたかのようだ。何でも、横山氏は、黒い冨士を描き、その上に赤い絵の具を一発で決めて刷毛でぼかしたんだそうな。じゃあ、コレは削ぎ落としじゃないんだ・・・・。

高山辰雄『朧』。タイトル通り朧です(笑)。全体的に青い画面。画面左上に白い月。山並みも緑の朧だ。ソフトフォーカスをかけているような感じ・・と言えばよいのか。これも朦朧体って言うのかな?高山さんは、こういう朧な絵を良く描くよね?

今野忠一『月山』。上半分に白い山。下半分には真っ赤なも紅葉(だと思う)。紅葉は、もう、赤の塊です。空も赤い。今野は山形生まれで、月山は身近で山岳信仰の対象である山を重要なモティーフとしていたそうな。フォービズム・・まではいかないケド、ちょっと野獣系と言いたくなる勢いのある絵。

洋画もあった。藤島武二『ヴェニス風景』。ヴェニスの水路の風景。橋が架かり、向こうに白と茶色の建物が見える。全体的には影になってて暗いのだケド、その建物には外壁に光がわずかにあたり輝いて見える。小品なのだが、凄い存在感のある絵。藤島さんて、絵、上手いよねぇ。文学性に富んだ浪漫主義的な絵を良く描いた藤島氏。この絵も確かに文学チックかも。これ、イタリア滞在中に描いたらしい。イタリア滞在中はのびのびとした筆致で油絵の特質を生かした人物、風景画を描いていたようだ。イタリアの気候がそうさせたんじゃ?という気もするよね。

国吉康雄『馬を選ぶ』。茶色の帽子にこげ茶のコートを着て斜め左を向いて新聞を読む女性。表情はちょっと寂しげに見える。でも「馬を選ぶ」とあるのだから、読んでいるのは競馬新聞なのだろう。競馬やってるなら、楽しいんじゃないのか?と思ったのだが、コレは、国吉の心理状態にあったらしい。アメリカの代表的な画家として活躍するも、米国籍は得られず、開戦により『敵性外国人』とならざるをえなかった不安が、こういう絵にさせたのでは?とのコトだった。国吉の不安感が出た絵ってコトなんだろう。

小磯良平『少女』。椅子に腰かけ斜め左を見る少女。ピンクのベストが愛らしい。頭部以外ザックリ描いているから、描きかけかと思ったら、サインがあるのでこれで完成らしい。この時代、小磯はこういう、描きかけのような絵を沢山描いたらしいよ。小磯さんて、東京美術学校(今の東京藝大)を首席で卒業したんですね。そりゃ、上手いはずだはね・・・。

他、横山大観や、上村松園の絵などもあります。
あと、又造さんのコトをサイコサイコ書いちゃいましたが、可愛い猫の絵や、綺麗な女性の絵などもあります。
何でも、又造さんは、線を通して対象以上の対象を表したいと思っていて、裸婦も裸婦の中に潜む神秘を写し取りたいと思っていたそうな。ただ、本人曰く「しかし、いつも大切なものを写し取れず困っている。」と。真面目な部分と、やはり、拘るサイコっぽい部分があるような気がしてなりません。

お土産は、ポストカード3枚。

加山又造がお好きな方、近代日本画に興味がある方は行ってみるのも一興かと思います。
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