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2013年10月25日18:55

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種村直樹先生と美人SF作家(5)

 こうして、講師の皆さんが喋っている間にも、先に説明したように、後に講師さんの講演料となる料理が、次々と目の前に運ばれて行った。
 ジュージュー音を立てる料理があったり、通り過ぎた後になってから、音速ジェット機の音のように匂いだけ来る料理もある。
 運んでいるボーイさんが転びそうになったりもする。
 声優でもある池澤春菜先生が、マイクに良く通る声で、
「目の前でいろんな事が起きますね」
 と感心していた。
 若木未生「グラスハート グラスハート(1)」(コバルト文庫)
 http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88-1-%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%8B%A5%E6%9C%A8-%E6%9C%AA%E7%94%9F/dp/4086118092
 池澤春菜先生の父親、芥川賞作家の池澤夏樹先生は推理小説、SF小説のマニアで、早川、創元、サンリオの本が揃っていたそうだ。
 その影響で小学生時代から本ばかり読んでいたそう。
 放送では言えないような言葉の「本きちがい」と呼ばれ、後に、その時にたまたま読んでいた本、「alien(エイリアン)」の小学生読みから、「ありえん」と呼ばれるようになったそうである。
 サンリオは一時期、難解SFを出版していて、今年になって古本が値上がりしたりして話題になっている。
 新井素子先生も父親の本が、早川、創元で、作家別でなく出版社の番号1番から全てが揃っていたそう。
 だから、出版社と翻訳家が違いながら同じ小説が揃っていたりするそうだ。
 そんな話が次々出るので、自分も壇上にいるのに身を乗り出して、恵まれた環境ですねと羨ましがっている作家さんがいた。
 小説の材料を、山手線の人の中で考えるという作家さんがいる。
 タイトルが浮かんだら書けるという作家さんがいる。
 物語を与えないと人間が描けないという作家さんもいた。
 男性作家は設定から考える、女性作家は状況から考えるのではないかという作家さんがいた。
 SF小説をなぜ書くようになったかについては、あらゆる事がSFの世界でならできるという作家さんがいた。
 池澤春菜先生はもう少し難しく、SFに拾われる人と拾われない人がいて、自分はSFに拾われたのだと語っていた。
 森岡浩之「星界の断章 <1>」(早川文庫JA)
 http://www.amazon.co.jp/%E6%98%9F%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%96%AD%E7%AB%A0-1-%E6%97%A9%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%ABJA-%E6%A3%AE%E5%B2%A1-%E6%B5%A9%E4%B9%8B/dp/4150308020
 休憩時間を挟んで、山田正紀先生と長谷敏司先生が新たに壇上に加わる。
 今度は執筆環境について語っていた。
 新井素子先生はオアシスという機種を使っているそうで、旧い機種のため、今ではファイルを開ける編集者がいないのだそうだ。
 山田正紀先生は一番作家歴が長いので、手書きで書いているという話をしても、最初は皆、ふむふむと聞いているだけだった。
 ところが、手書きの原稿をソフトウェアを使ってパソコンに取り込んでいるのだという話になると、ほかの作家さんは壇上にいるのも忘れて、そんな機械とソフトウェアはどこに売っているのだと質問責めにしていた。
 一番作家歴が長い山田正紀先生が、一番先端の技術を使っているのであった。
 森岡浩之先生は初めてワープロが出た時に、画面が数行しかない機種を2万円で買ったのだそうだ。
 ところが、400字で8枚ぐらいのメモリしかなく、森下一仁先生が選考の短編小説コンテストにも応募できない。
 新たに文豪を買ったが、これでも30枚ぐらいしか入らず、また新たに買い直すを繰り返しているようだ。
 若木未生先生は書院という機種を使い、後に手で書く事に喜びを感じたりしながら、今はパソコンで一太郎というソフトウェアを使っているそうだ。
 問題の池澤春菜先生は、パソコン上でお気に入りのフォントがあり、レイアウトまで決めないと自分の文にならないそうだ。
 長谷敏司先生の場合は、手書きの時代を経ないで、パソコン執筆になったとの事であった。
 山田正紀「神狩り」(ハヤカワ文庫JA)
 http://www.amazon.co.jp/%E7%A5%9E%E7%8B%A9%E3%82%8A-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABJA-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E6%AD%A3%E7%B4%80/dp/4150309949
 パソコンでは文体が変わるのかという話になった。
 やっぱり、パソコンだと平仮名の頻度が減るとの事だった。
 新井素子先生は、せっかくだからと登場人物の画数が多くなったそうだ。
 ただ、手書きの時代から画数が多い登場人物を出している作家さんもいて、その人の事も紹介していた。
 池澤春菜先生が父親から譲り受けたパソコンは、「ア」と入力すると自動的の「アレキサンダー大王」と出たそうだ。
 終了が近づき、聴講者から、今日は雨だけど、雨をテーマにしたSFを教えてほしいとの質問があった。
 いくらでもありそうだけど、皆、なかなか思いつかない。
 山田正紀先生から、横田順彌先生に「朝だ雨だ」で始まるユーモアSFがあると紹介があった。
 http://www.ebunko.ne.jp/dassent.htm
 あと、聴講者の中の作家さんから、
「僕の作品があります」
 と、助け船があった。
 丸美先生は、星新一先生の「雨」や小松左京先生の「物体O」の雨の場面を思いついたけれども、壇上にいたら頭が真っ白になって、思いつかないだろう。
 長谷敏司「あなたのための物語」(ハヤカワ文庫JA)
 http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABJA-%E9%95%B7%E8%B0%B7-%E6%95%8F%E5%8F%B8/dp/415031036X
 21時頃に終了し、続いて、希望者は講師を囲んでの二次会となる。
 一度会計となり、丸美先生は、オレンジジュース(430円)3杯と焼きそば(780円)で2,070円となった。
 二次会希望者は1,500円で軽食と飲み放題となる。
 入場の時と合わせて6,070円となった。
 9月14日(土)の小松左京『日本沈没』展記念講演の時に一緒だった東野司先生が前の席に来てくれたけど、現・SF作家クラブ会長だから次々と相談に来る人がいた。
 そんな様子の写真を写している人がいたので聞いてみると、東野司先生に頼まれているようだ。
 だから、巽孝之先生や小谷真理先生など、ほかの作家さんがいても写してはいなかった。
 その写真家さんとは、
「SF作家クラブ50年と重なったせいもありますけど、現会長になってから芸能人が入会したり、華やかになりましたね」
 そんな話をした。
 池澤春菜先生は、演壇にブランコをするように腰掛けながら、ご馳走をたべていた。
 22時頃に終了。
 外に出ると、観覧車の点灯も終わっていた。
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