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2012年10月31日21:47

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巨匠たちの英国水彩画展

Bunkamura・ザ・ミュージアムで開催中の『巨匠たちの英国水彩画展』に行きました。
特集ページのアドレス↓
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester/index.html

フォト

本当は、英国に行きたいのです。英国のテイト美術館に行きたいのです。現在、テイト美術館では、5年かけて企画した、ラファエル前派展を開催中なのです。来年1月まで開催しているそうなので、英国に行ける人は、行って来て下さい。で、私に、シメオン・ソロモンの画集(英国ならあると思うんだ!)を買ってきて下さい。

と、そんなワケで、本物の英国には行けないけれど、渋谷の英国になら行けるであろうと、行って来ました、巨匠の水彩画展。18C〜19世紀末までの英国の画家たち。おそらく、皆様、パッと思い浮かぶのは、ターナーの絵でしょうね。私もそうなんですが、私、実は、ターナーには、そんなに興味がなく(^_^;)、ラファエル前派とヴィクトリア時代の水彩画が来ているので行ったのですが。でも、ターナーも良いものですね。ターナーだけのターナー部屋があって、最初「退屈な風景画だよね。」とか思っていたのですが、見ていて、何故か『懐かしい気分』になりました。何故だろう?私は、18世紀の英国に生まれたワケでも、何なら、英国に行ったコトすらないと言うのに・・・。
海外旅行に行った人(母含む)には、『アンタ、英国は気に入ると思うから行ってみな』とは言われます。理由を訊くと、「アンタ、古い建物好きじゃん。英国、古い建物いっぱいあるよ。」とか、「アンタが好きそうな絵画が沢山ある美術館がある。」とか、「オックスフォードの方に、ヲタな店主の古書店がある。」とか言われ、勧められるのですが、もう、見事に誰も「ご飯が美味しい。」とか、「ブランドが安い。」とか言わないのな!皆、私のコトを分かってて有難いよ(笑)。1人「ゲイのフィーリングカップル5対5みたいな番組をやってるよ!」と言った奴がいるのだが、その人は、私が、「ゲイのフィーリングカップルが見たいから、渡英します!」と言うと思ったんだろうか?それだけ謎だったんだが・・・。いや。見たいけれど・・・。あと、ホームズの本場スラッシュコメディが欲しい。今度こそ、ちゃんと読みたい。その前に、英語をすらすら読める語学力が必要だよね・・・(-_-)。あと、英国独特のギャグが分からん・・・。

今回の展示。シメオン・ソロモンの絵が2点あって、特に、瞑想に耽る若き美貌の神官の絵が、もう、もう、もう!でした。ソロモン。同性愛者だった為に、警察にとっつかまっちゃうんですケドね・・・。確かに、この人、美青年の官能美を描かせたら上手いは!って思うよ。

今回の展示は、マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵・・・らしいです。
ウィットワース学院が1980年に一般開放。で、水彩画ってのは、18Cの英国で普及したそうです。貴族の子女の教養の一つだったらしい。で、その後、イタリアへのグランドツアーの記念の絵としても広まったらしいです。
18C以降の愛国心や歴史への傾倒から大聖堂や城壁などの水彩画・・・起伏に富む、ピクチャレスな絵・・と言うコトらしいのですが・・・コレが人気になったらしい。

では、気になった絵をザックリ紹介。
ジョン・ロバート・カズンズ『グリニッジ・パークから見るテムズ川の眺望、グリニッジ病院の彼方にロンドンのセント・ポール大聖堂を望む』。すげえ長いタイトルだなっ!てか、ピクチャレス絵画って何故か、もれなくタイトル長げえぞ!見たままの風景説明を、タイトルでしてるんでしょうか?画面の半分が空。下には森・・木立ちかな?・・が広がっている。遠くに。テムズ川や聖ポール寺院が見える。

J.M.W.ターナー『コンウェイ城』。早速ターナーが出てきちゃうんですね。海辺に建つ城。灰色の空。茶色の岸壁と灰茶の城。遠くに漁師らしき人物もいる。

ジョン・グローヴァー『エイヴォン川から望むウォリック城』。木立ちにたつお城の絵。川が流れていて水を飲む牛が描かれていてのどかな絵。しかし・・・。英国って、ホント、城が多いんだなっ!(^_^;)

トマス・カーディン『リッチフィールド大聖堂の西正面』。西正面って、スゲエ細かい指定だなっ!(笑) この方、若かりし頃、ターナーと共に研鑽を積んだ画家らしい。少し斜め横から、大聖堂の西正面を描いたもの。壁の装飾模様がとても細かく描かれている。水彩画なので、やわ〜んとしてて穏やかそう。灰色と薄茶の色合い。英国って、「曇天多いんだろうなぁ〜」って言うのが絵を見てても分かる。だって、「スッキリ青空!」って絵、ないんだもん。だいたいが、鈍色の空。遠く空はかすんでいるみたい。

J.M.W.ターナー『ソールズベリー大聖堂の参事会堂、ハンプシャー』。また出た、ターナー!なのですが。この絵は、凄く好みでした。いや、さっき、あんまり興味ねえって言っておいてなんですが(^_^;)。
3人の人物が中央にいるんだケド、本当に、小さく描かれているのね。メインは大聖堂の大きな窓。窓から光が射し込んで、その光も神々しい光ではなく、穏やかな光で、全体的な絵のトーンは薄茶。コレは綺麗だったはぁ〜・・・・。

ジョン・コンスタブル『デダム教会と渓谷、サフォーク』。私、コンスタブルの絵は、好きでございます。やはり空は曇天の鈍色。手前に牛。牛飼い(だと思う)が寝そべっている。淡い緑と灰色で描かれた木々。遠くに教会と村も見える。何処か懐かしい・・・。そんな風景。

フランシス・タウン『アンブルサイド、ウィンダミア湖、ウェストモーランド』。岩場だらけ。ウェールズ地方ってこんなところなんだろうなぁ〜って思う。余談だが。ガイ・リッチー監督の『シャーロック・ホームズ2』のフランスの国境を越える場面。あれ、フランスではなく、ウェールズで撮影したそうです。リッチー監督曰く「おかげで、英国で撮影殆ど出来ちゃった。」らしい。今も、こんな場所なんでしょうね。ちょっと行ってみたいね。

フランシス・ニコルソン『ゴーデイル・スカー渓谷の滝、ヨークシャー』。全体的にやっぱり灰色と茶色い。左右は断崖。その中央に滝が流れている。セピア色の色彩でパッと見、銅版画みたいです。水彩画なんだケドね。

で、1740年代に、上流階級の子弟が教育の仕上げとしてイタリアを中心とした隣国の文化を体験する『グランドツアー』なるものが流行したらしい。アルプス山脈経由で行けるルートが開拓されたからと言う理由もあるらしいのだが。で、訪れた名所の景観を描いた水彩画を注文したんだってさ。でも、ナポレオン戦争を機に衰退してしまうんだそうな。

アレクサンダー・カズンズ『山の渓谷』。ペンとインクの絵で、滲みを利用して描いてるから、ちょっと水墨画みたいって思った。

サミュエル・プラウト『ヴェネツィアの運河カプリッチョ』。カプリッチョって、イタリア料理屋の名前みてえですが(あれは、カプリチョーザだ!)、『奇想画』って意味でござんす。この絵は、実在する建物に想像力を働かせて描いた架空の景観図。なので、カプリッチョなんだそうだよ。でも、“いかにも”なヴェネツィアの風景なんだよ。運河。橋。舟。行商人などが描かれ、後ろには教会。実際にはないのに、絶対ありそうな風景。で、ヴェネツィアの絵だから、色彩が豊か!英国を描くと、だいたい薄茶か灰色なのに、赤、青、緑、カラフルです。

ナポレオン戦争が終わって、次は、イタリアより遠方に行くようになった英国人(のお金持ち)。ドイツ、スペイン、エジプト、インド、中国まで。。しかも、中東が大人気だったとか。ラファエル前派でお馴染みハントは、実際1854〜55年の間、中東を訪れたそうな。で、中東ですからね。陽光が強烈。結果、色彩が強烈になって、描写が鋭利になったそうな。ターナーの英国描いた鈍色やわやわ感の対極だね。
でも。ちょっと思うが、ワトスン君も、アフガンに従軍してたけど、当時も中東情勢って、そんなに良くないはずなんだケド・・・旅行危なくなかったんでしょうか?

で。色彩が明るくなったって、説明にあったので、さぞや明るい絵が出て来るかと思ったら・・・サミュエル・プラウト『サン=カンタンの市庁舎、フランス』。やっぱり曇り空じゃねえか!(笑)フランスなのに?この絵は、ラスキンのスケッチを元に制作したらしい。本物見てないから、曇天なのかなぁ?フランスは、もうちょい明るいと思うんだケド・・・。重厚な市庁舎と華やかなアーケードが描かれている。アーケードは、フランスっぽいね。

ウィリアム・ホフマン・ハント『コルフ島』。やっとターナーと、ラスキンと、ゲインズバラ以外の知ってる画家出て来たよ!(笑) 因みに、このコルフ島。英国の保護領だったらしく、島には政府関係者を中心に、英国人社会が根付いていた場所なんだって。
緑の大地。糸杉に遠方に海と山。ハントらしい、ちょっとベタっとした塗り方なんだ。ハントの絵って、この特徴があるから、一発で分かるよね。やっと、明るい絵になってきたぞ。

エドワード・リア『デルフォイからコリンティアコス湾の彼方を望む、ギリシャ』。全体にブルーフィルターがかかったような薄い青。岩場と海。山羊と山羊飼い(なのだろう)が描かれ、座って海を見ている。ギリシャだと神殿描きそうなのに、牧歌的な絵なんだね。

ウィリアム・ホフマン・ハント『シオンの丘からレファイム平野を望む エルサレム』と『岩のドーム、エルサレム、ラマダンの期間』。ハントは、1854年、エルサレムに訪れた。だから、この絵もエルサレムの風景。
シオン〜の方は、茶の大地。荒野が続く。横に人物がいるんだけど、ちょっとキリストっぽい気もするんだよな・・・。巡礼者の姿も見え、丘を登っている姿もあるようだ。
岩のドーム〜は、夜のエルサレムの風景。窓に明かりが灯った建物。画面左に女性がおり、エルサレムの街並みを眺めているようだ。ハントは、本作の為、最適な月の光線が得られるまで待ったんだそうだよ。ってコトは、実際を見て描いてるんだね。

ウィリアム・マラー『奴隷市場・カイロ』。お次は、エジプトはカイロ。エジプト人たちが、中央でお喋りしてる。おそらく、アフリカ人であろう・・大人2人と子供1人が座っている。女性はこちらを見ているが、このアフリカ人たちは、奴隷として売買されていたんだろうね。マラーは、実際に中東に足を運んだ少ない画家の1人らしいのだが、奴隷市場が行きつけの場所だったそうな。今考えると、人身売買だもんな・・・。コレ、酷い話なんだケド、これを書くと長くなるので、この話は、後日ってコトで。

レジナルド・バラッド『日没時のスフィンクス、エジプト』。夕暮れのスフィンクスの前に人が2人立っている。後ろにはピラミッドも見える。何処か幻想的な風景画だった。

ここからは、英国が生んだ国民的画家、ターナーの特集。全部ターナーのターナー部屋がありました。
ターナーは、初期作品には、トマス・ハーンの影響が見られるらしい。1824年に発注された版画シリーズ『イングランドとウェールズのピクチャレスな景観』の為の原画は完成度も高いんだそうな。

『クリューズ渓谷の小針峰、フランス』。山に曇天。あぁ、曇天模様に戻って来たよ(^_^;)。羊もいる。この絵。グレーの下塗りを施し、外でスケッチをし、色彩とディティールは屋内でやったらしい。紙のあちこちを削りハイライトを入れている。確かに、羊の絵の部分とか、かなりハイライトが入っていた。木立ちや滝も描かれているが、ここも削ってるかな。
ところで・・・。こうなると、ターナーさんは、曇天で、空を描いちゃう人なんじゃねえか?って思えて来るよね(^_^;)。

『ルツェルン湖の月明かり、彼方にリギ山を望む』。ターナーは、1841年〜44年まで、スイス中部各地に足を運んでいたらしい。一日の様々な時間帯の多様な気象条件の下で描いたんだそうな。この絵は湖と山の絵。全体的に淡い青。月明かりが湖面に映っている。月は出ているが、まわりは明るいので、ちょっと不思議だ。白夜みたい。

んで。こっからが、私の本番ですね(笑)。幻想絵画に、ラファエル前派、ヴィクトリア絵画が出て来ます。
ウィリアム・ブレイク『“ヨーロッパ”図版、口絵、≪日の老いたる者≫』。出たな、ブレイク!天使を実際見た男。幻視者ですな。ブレイクは、1794年頃に自らの詩『ヨーロッパ、ひとつの預言』の彩色口絵として、この絵の下地の銅版画を制作したらしい。この絵は、自ら作り出した神格ユリゼンを邪悪な暴君として描いているそうな。筋肉質のユリゼンが、長い髪をなびかせ、紅色の球体から身を乗り出している。周りには赤黒い空。
こう言っちゃなんだケド・・・。ブレイクさん、ちょっと中二病っぽいところあるよね?(^_^;)(私は、ブレイク大好きですよ!)

ヨハン・ハインリヒ・フュースリ『夢の中でポンペイウスの前に姿を現すユリア』。カエサルとコルネリアの間に生まれた娘のユリアが、死後亡霊となり、ポンペイウスの前に姿を現す場面。ポンペイウスは、寝台にいるが、頭を抱えているように見え、ユリアは横向きで宙に浮き、「うあー!!」と言う感じで、手を前に出している。ぶっちゃけ、ユリアが怖い!顔も怖い!!

で・・・・。ここで、私は出会うのです。私が、とても好きな画家。ラファエル前派の中で1番好きな画家。シメオン・ソロモンに。もう、堪らん絵がありました。
シメオン・ソロモン『律法の巻物を運ぶ』。律法の巻物を抱きしめる若き神官。法悦・・なのでしょうね。うっとりと目を瞑りエクスタシー・・すなわち、法悦の絶頂にいるようだ。巻物が布で巻かれているのだが、この布に神官が手を入れているのが、妙に艶めかしくて、エロティシズムを感じます。言ってしまえば、神官は、巻物とセックスをしているような・・・。背景には、オレンジ・・だろうか?実がなっている。ソロモンは、前述通り、同性愛者でした。同性愛の現場に踏み込まれて、お縄となり、画家に戻れず、最後、貧民窟で亡くなります。それでも、最後まで画材は手放さなかったそうです。描かないと、表現しないと死んじゃう人だったんでしょうね。
この絵。解説には『“男性を同性愛の対象”と見ながらも、信仰の枠でとらえる官能美。』と書かれていました。ソロモンは、敬虔なユダヤ教徒の家で生まれています。信仰も絶対。でも、自分が同性愛者なのも逃れられない事実。それを昇華する為、絵を描いていたのかも知れないね。(この時代、英国は同性愛が犯罪だしね・・・)
しかし。官能的に美しい青年を描かせたら、やっぱり、ソロモンは上手いや・・と思いました。でも、この絵葉書はなかったの・・・。もう1枚の『画家の愉悦』の方はあったのに。でも、絵としては、私は、こちらの方が良いな・・・と思いました。
この絵。アクリルグワッシュで描いているので、パッと見、油彩画みたいです。

ジョン・マーティン『マンフレッドとアルプスの魔女』。バイロンの詩集『マンフレッド』より。出たな、バイロン!(笑) アルプスの魔女を呼び出す場面。岩場があり、神父的な湖が広がっている。洞窟の奥に魔女がいる。マンフレッドは手を伸ばし何かを言っているようにも見える。岩場から渦巻く雲のある青空が見きれている。魔女は、この後、マンフレッドに力を貸す代わりに魂を要求する。
もう、私、、来た来た来た〜!!!うおおおおお〜〜!!と言う感じです。バイロンとかね。耽美馬鹿には、堪らんのですよ。
因みに。このマーティンさん。当時の大都市ロンドンの劣悪な労働と衛生環境の改善に力を注いだ人でもあるらしい。良い人なんですね。

お次は、待ってました!のラファエル前派。正直、私ゃ、コレとヴィクトリアと、前述の幻想部分が見たかった。ターナーごめん。

ラスキンって人がいるのだが、この人が水彩画を擁護。ラスキンに感化されたラファエル前派は、唯美主義と融合し、作品を作る。
この唯美主義の説明が難しいんだぁ〜・・・。説明には、『芸術はただ芸術の為のみに存在し、倫理的な目的を必要としない』と書いてあったんですが・・・。正直なんのこっちゃでしょ?(^_^;) 耽美主義にも通じるのですが、芸術至上主義って言うんですよ。単純に言うと、「美しいもの第一主義」みたいな感じ。だから、唯美主義者の描く絵って、絵の中に意味を込めないんです。寓意とかないの。ただ、美しく芸術的なものを描きましょう・・・って言う考え方なんだ。こんな説明で分かるだろうか??
で、私は、この唯美主義、耽美的な絵が、転げまわるほど好きなのです。

エドワード・バーン=ジョーンズ『≪ペルセウスとネレイスたち≫のためのネレイスの顔の習作』。まずは、この人にご登場頂かないとの、バーン=ジョーンズ。ジョーンズは、デッサンが綺麗なモノが多いんだ。コレも習作なので、鉛筆デッサンなのだが、左をチラリと向く女性の頭部の絵。ちょっと勝気な口元をしている。もう、綺麗、綺麗。鉛筆の濃淡の美しいコト・・・ため息出ちゃう・・・。

同じく、ジョーンズの『ウェヌス・ディスコルディア(不和のヴィーナス):≪トロイア物語≫のプレデッラのための習作』。以前、バーン=ジョーンズ展で、トロイア物語の絵はあったケド、コレはトロイアの習作なので、鉛筆下絵。でも、綺麗、綺麗。右に怯える女神たち。中央に戦う男2人。左の玉座に座るのはウェヌスであろう。ウェヌスの足下には、男性2人が抱擁し、倒れてる。もう、ジョーンズの絵で、男性2人抱き合って、倒れていて御覧なさいな。腐女子の耽美馬鹿の私は、もう、「有難うございま〜す!」ですよ!ホント。

前述の唯美主義。ジョーンズは凄く影響を受けています。元々、中世物語好きだったしね。この人。

フォード・マドックス・ブラウン『ロミオとジュリエット』。言わずと知れた、シェークスピア作品ですね。窓辺にジュリエット。ロミオはバルコニーに腰掛けジュリエットの首筋にキスをしている。ジュリエットは眼を閉じ、ロミオを抱擁していている。ベタなラブシーンの絵ですが、綺麗です。

19世紀半ば、水彩画の描き方が劇的に変化します。ジョン・ラスキンが画家たちに進んで自然の中に歩み入り、間近に描くよう奨励した為・・らしいのだが、どんだけ、影響力あったんだよ、ラスキンだよな(^_^;)。で、この当時、ソロモンのところでも書いたケド、顔料に白色を混ぜて作らせたボディー・カラー(グワッシュ)を使うようになった。なので、パッと見、油彩画みたいな水彩画も増えた。中産階級の顧客向けに英国の懐かしい風景を描くようにもなるらしい。で、ラスキンは、19世紀末、水彩画に批判的になるんだってサ。さんざん擁護しておいて、この人、何なのだろう(^_^;)。

アナ・ブランデン『リザード・ポイント、コーンウォール』。油彩っぽいです。海辺が七色の色彩で描かれていて綺麗だった。茶と緑の荒々しい岩肌との対比も面白い。コーンウォールは、荒涼とした場所・・らしいんだケド(ホームズ先生の療養の地でもある)。

アルフレッド・ウィリアム・ハント『タインマウス埠頭、北東の風』。また出た、ハント。荒々しい波。灰と白色の夕景(だと思う)。遺跡にも見える場所だね。

チャールズ・ウェスト・コープ『黒板を持つ少女』。黒板を持つ横向きの少女。茶灰の背景。少女は前を真っ直ぐ見すえているように見える。ヴィクトリア朝時代の公的な展覧会には、子供や教室を描いた子供の絵が多いんだそうな。少女はおとなしく従順で、男子は教室で騒ぎ、罰を受けている絵が一般的だったらしい。流石、規範を重んじたヴィクトリア時代だね。

ジョン・メイジー・ライト『『お気に召すまま』第5幕第4場の1場面』。あら、私の好きなお気に召すままだ。シェークスピア作品ね。アーデンの森で、ハイメン(愛の神)がロザリンドとオーランドを引合す大団円の場面。中央にロザリンドとオーランドがいて、皆に祝福されているようで、温かい雰囲気。これ、とりかえばや(男性が美少女に変身。女性が男性に変身)で、お互い恋におちる・・・と言う、かなり倒錯的な劇(笑)なので、面白いので、機会があったら見て下さい。

サミュエル・シェリー『ハムレットと墓掘り人夫−シェークスピア作『ハムレット』第5幕第1場挿絵』。ハムレットの挿絵なのだろう。画面左に喪服のハムレットが、友人ホレーショーと一緒に立っている。ハムレットの手には骸骨。墓掘りと話し、墓掘りが「骸骨は自分の父道化のヨリックだ。」と語る場面。ハムレットは、そこで、生の儚さを知る。ハロー、ヨリック。世界の関節が外れてしまった!ですな。骸骨が随分簡略化されて描かれていて、イラストっぽいです。

ジョージ・ジョン・ピンウェル『古い十字架』。古い十字架の下でくつろぐ男女。女性は寝そべり、男性はそれを見ている。背景は紅葉の山だ。静かでほっこりする絵。

他、自然を描いた絵なども多数展示してありました。水彩画って、小さいから、展示数が多いのね(^_^;)。じっくり見ると、結構時間がかかります。
お土産は、ポストカード5枚。ソロモンの、神官が欲しかったぁ〜。欲しかったよぉ〜。あの法悦の美貌の神官の絵がぁ〜。流石に、これ1枚の為に、図録を買うのはどうだろう?と思いとどまり、図録は諦めましたが・・・。アンケートに、思いっきり『シメオン・ソロモン展をやって下さい』と書いて来ました。それほど好き。

水彩画がお好きな方、英国好きな方、英国絵画好きな方は、行ってみると良いと思います。
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