mixiユーザー(id:429476)

2012年04月16日16:14

3 view

ボストン美術館 日本の至宝

東京国立博物館で開催中の『ボストン美術館 日本の至宝』に行きました。チケットは、マイミクさんからの頂きものです。マイミクさん、有難うございます。
フォト

会場は、結構な賑わいでしたが、それでも故宮博物院展よりは、人が少なかったので、良しとします。巻物のところは、凄い混みようだったケドね。「前の人に続いてゆっくりお歩き下さい。」と係員さんが言っていたが、まぁ、止まってじっくり見たくはなっちゃうよね(^_^;)。それで、人が溜まっちゃうんだケド。
今回の目玉は、曽我蕭白です。いやぁ〜、凄かったよ、蕭白。「やりすぎちゃん」って私は呼んでるんですが(笑)、蕭白のあのやりすぎスピリットには感服する。自信家で、めっちゃくちゃな人だったっぽくて、酒飲んで、金なくてイキナリ絵を描いたとか、勝手に寺の壁に絵を描いたとか、そんな逸話もある人です。はた迷惑な人っぽいケド、当事者じゃなくて、話聞いてる分には面白いよね。

常設展が見たくて、8時まで開館の金曜日に行ったと言うのに、結果、法隆寺宝物館の2階展示室に行きそびれるって言う・・・。気が付いたのが閉館の10分前だったので、もうどうにもならなかった。その時、私は、本館のロッカールームにいたのだ(行ったことがある人は分かると思うが、本館と法隆寺宝物館は、結構な距離が離れている)。てか、あれ2階展示室ってどう行ったっけ?階段上るのに、1度外に出るんでしたっけ??でも、伎楽面見られたから良しとするかなぁ〜・・・。
ところで。常設ってアジアンコーナーなくなっちゃったの?以前は、特別展示室をアジアンコーナーにしてたり、表慶館をアジアンコーナーにしてたりしてたと思ったんだケド(東洋館が改築中の為)。ガンダーラ美術好きとしては、復活して欲しいんだが・・・。
結果、7時間いても全部は見られず、「いつか、常設展だけ来てやろう!」と思うのであった。

さて、ボストン美術館。お雇い外国人のフェノロサと、実業家のビゲローのコレクションが元ですね。それに、フェノロサの通訳やってた岡倉天心の審美眼がもれなくついてくると。
仏画とか、仏像も良い物持ってて、私は日本人なので「良い物持って行きやがったな!う〜〜ぬ、フェノロサめ!」と思うのでありました(笑)。

では、気になった作品なんぞをサックリ紹介。

冒頭に、イントロダクションとして、フェノロサと関係が深かった画家の展示があったのも面白かった。橋本雅邦などの絵ね。

まずは、仏画&仏像コーナー。

『普賢延命菩薩像』。人の病を治す菩薩さんなのだが、乗ってる像の目が凶悪!(^_^;)像の牙も3本あるので、聖獣なのでしょう。ってコトは凶悪な目はわざとかな?

『毘沙門天』。北方を守る仏さんですな。剣を右手に持ち、宝珠を左手に持ってポーズをとっている。吉祥天や夜叉も描かれているのだが、夜叉がどうにもひょうきんな顔なのよね。

『一字金輪像』。今回の私のお気にり。密教独特の仏様。イケメンだよ!インドの金輪王になぞらえて、金輪ってついてるらしい。一仏に帰依するので、“一字”って文字がつくんだってサ。

『大威徳明王像』。火に囲まれる青い姿の槍持った明王様。恰好良い!

奈良時代の貴重品『法華堂根本曼荼羅図』があったのだが、コレ、おそらく、作られた時は極彩色だったんでしょうね。流石に年月には勝てず、剥離も酷いのだが、X線写真を見ると、細かく描かれていたコトが良く分かります。

『弥勒如来図』。下絵なのですが、指示や修正のあともあって、それが分かって面白い。ドレープの描き方が細かいねぇ〜。

『四天王像』。元は、永久寺真言堂の障壁画だったらしい。多聞、広目天、増長天、持国天が描かれているが、多聞天がスゲエドヤ顔(笑)。矢を持った鬼が可愛いな。コレも結構剥離が激しかったケド、やはり作った当初は、極彩色だったんだろうね。

『弥勒菩薩立像』。快慶が作ったとされてる。結構なまめかしい感じを受ける弥勒様。衣の襞の彫り方が、本当に美しいんだよなぁ。そして、後ろを見たら(後ろも見られる)、ちゃんと後ろ側も彫ってあり、後ろで服の紐を縛っていた。あと、この菩薩様、オシャレアンクレットをしていて、コレも素敵だった。艶めかしくも美しい仏像ですね。

で、ここから超有名な絵巻が2点展示してある。
『吉備大臣入唐絵巻』。後白河の命で作れたらしいよ。あの、サイコ後白河が・・・(それは、大河の設定だよ!おそらく、後白河サイコパスではなかったよ!・笑)
吉備真備の試練の話なんだケドね。
遣唐使船に乗って吉備が来る。待ち受ける唐人達。「何アイツ?」ってバカにした顔の奴もいる。
吉備は楼閣に連れて行かれ幽閉。その楼閣には鬼が現れるのだが、その鬼は阿倍仲麻呂の霊だった。日本で暮らす子や孫の様子を聞き、鬼は喜び、吉備に協力するコトを約束する。楼閣に訪ねてくる鬼がちょっとユーモラスで可愛いんだよな。鬼は、阿倍仲麻呂っぽく、束帯姿で描かれている。護衛は眠り込んでるね。密談する官僚も描かれる。

で、翌日。鬼が来たであろうに、吉備が生きていて、皆吃驚。吉備は試験をするのだが、難文『文選』を読むのが試験。で、吉備は、超能力で幽鬼と一緒に空を飛び宮殿に行って、試験内容を盗み聞き。吉備が本当に盗み聞きをしてる姿で描かれてて「どれどれ・・・」って感じで鬼と柱の影から聞いてるのが、ホント面白かった。

で、吉備が文選を知ってることに、高官は吃驚。高官の絵。あまりに驚きすぎて、高官はパニックを起こしたのか、お付の人にさしてもらう傘を、自分で持って被って馬に乗っていた(笑)。

次は、囲碁対決。囲碁を知らない吉備は、幽鬼から囲碁を教えてもらい、楼閣の天井の格子を碁盤に見立てて囲碁の練習をする。巻物では、ちゃんと吉備は楼閣の中で、天井を見上げてるんだな。
囲碁を飲みこみ勝負に勝つ吉備だったが、唐人達に怪しまれ、唐人は下剤を飲ませてまで碁石を探すも、吉備は、ここでも超能力できりぬけてしまう。
絵巻では、下着姿にされた吉備。そして、下剤を飲まされ吉備が出した汚物(ぶっちゃけ、ウンコな)を、検分する唐人が描かれている。臭いのか、鼻を押さえてる唐人もいて、面白い。
で、結果、証拠は出て来なかったので、唐の名人は、囲碁勝負に負けたコトを伝え、文選や囲碁は日本に伝わりましたとさ。めでたし、めでたし・・・となります。

超能力で空飛んでみたり、試験にズルしてみたり、漫画みたいで楽しいのだ。平安時代の漫画ですな。
次は、アクション漫画みたいな絵巻に行くよ。

『平治物語絵巻 三条殿夜討巻』。大スペクタクルの絵巻。義朝と信頼が後白河を拉致する話なんだが。牛車が激突!三条は大混乱。屋敷に火を放たれ、逃げ惑う女房達!牛車があるから、あぁ〜、おそらく、アレに後白河乗せられて、ついに拉致られちゃったかぁ〜・・・。
車輪が、回ってる描写が、漫画みたいに同心円になっていて面白かった。
あと、スピード感がちゃんとある。鎌倉時代のアクションムービーですがな。

『白衣観音図』。狩野元信が描いた絵だからか、アウトラインがしっかりした観音図。優美さはあまりないケド、迫力が凄くある観音様である。

『松に麝香猫図屏風』。猫怖っ!(笑)

太刀や着物の展示もあった。
『唐織 胴箔地蝶撫子模様』。全身が金箔で覆われた能装束を胴箔と言うそうな。蝶が一面に飛んでいる姿は、ちょっとグロテスクでもある。

『長絹 白紅浅葱段燕花熨斗模様』。かずら能に登場するシテの上衣らしい。白抜きの藤。金色の扇と流水がとても美しい。絽の着物・・かな?透けてて綺麗。

『振袖 黒縮緬地桜楓模様』。桜や楓が黒字に刺繍された着物。成人式前の公家の娘が着ていたモノらしいです。公家らしく、上品で艶やかですね。

『梨地家紋散糸巻太刀』。糸巻太刀は、高位の武士が直垂や大紋を着る際にはいた外装を言うらしい。柄の部分に緑の糸。つかには装飾も施してある。家紋も入ってるね。金色で綺麗。見せる用で、実用ではないので、凄く重そう・・って思っちゃった(^_^;)。

『梨地鳳凰螺鈿金装飾剣』。お公家さんが儀式などで使う飾剣。鳳凰の螺鈿細工に、緑に石が嵌っている豪華なモノ。細身で華奢なのもお公家さんらしい。コレも、実用ではなく、飾る用だから、華美なんだろうね。

ここから、近代絵画
『海棠に長尾図』。狩野探幽らしい、優美な長尾。墨の濃淡で表現した水の描写も美しい。海棠は富貴を表すので、おめでたい絵柄らしいよ。

『仙境、蕭史、弄玉図』。狩野養信の絵。笙の名手蕭史とその嫁弄玉の絵。三幅の軸だが、中央に仙境が描かれ、左に鳳凰に乗る弄玉。右では蕭史が龍に乗る。蕭史が龍に乗って昇天したので、コレも吉祥で、吉祥絵みたいです。

『龍虎図屏風』。文句なしに恰好良い!長谷川等伯の龍虎図。右隻に天空から舞い降りる龍。左隻にそれを見ている虎。虎がどことなく「ふふんっ。」と言う顔をしているように見える。
迫力もあって、品もあって、良い屏風絵だなぁ。

『松島図屏風』。尾形光琳の屏風絵なのだが、島の描き方が、色味と良い、造形と良い、セザンヌっぽいんだよ。緑、青、茶で、抽象的な島。スゲエ斬新な描き方するよな・・って思う。

『十六羅漢図』。伊藤若冲!私が大好きな画家です。鸚鵡図もあったケド、私は、この羅漢様の方が好き。変な顔の羅漢様なんだ。枇杷の木の下でムッとしてる羅漢。木陰で手紙を読む羅漢。木の下にしゃがんで「ニヤリ」と笑う羅漢。杖を持って松の木の下で空を見上げる羅漢。
若冲得意の筋目描きで絵がれた部分もあり、大変楽しい1枚。

ここから、曽我蕭白コーナーが始まる。
『巌居士・霊昭女図屏風』。ちょっとグロい隠者の龐居士。横にすねをあらわにした女性が川で洗濯をしている。チラリズムの娘を、どうやら、居士は見ているらしい。女の色香に惑って力がなくなった久米仙人の逸話と見るコトも出来るらしい。
でも、私が気になったのは、人物より、木目の妙に生々しい感じだったり、ひびやシミへの妙な拘りだったり。何か木目もどろっとしてる感じなのよ。流動的と言ったら良いのか。
それも気になるんだよなぁ。

でも、『鷹図』とか見ると、「この人、ちゃんとした絵も描けるんじゃないか・・・」とか思ったりね。(笑)いや、そりゃ、基本が描けるから、デフォルメ出来るんだケドさ。蕭白ってどうしても、グロイ絵の方が有名じゃない。

『風仙図屏風』。私のお気に入り。中央に剣を持つ仙人陣楠。池に住む龍を追い出し、天の水門を開けさせ、干ばつを防いだと言う逸話があるそうな。
龍は左端、今まさに黒雲になって、飛んで行こうとしてる。凄い風なのだろう。ひっくり返ってしまった人もいる。そして、後ろには、どんぐり眼で吃驚してるウサギ!「ド吃驚!」って顔のウサギなんだ。仙人が目立つけど、是非、後ろのウサギにも注目して下さい。私ゃ、何回見ても笑ってしまった。

『商山四晧図屏風』。商山四晧とは、中国の秦の始皇帝による圧政と国乱をさける為に、高山に遁世した4人の高士のコトだそうな。太いアウトラインで一気に描いたような絵。左の人物に至っては、もう、人だか何だか分からない(^_^;)。四角い何かのオブジェのようだ。どうやら、牛に乗ってるらしいのだが、カタツムリにも見える。字が、わざとデザインされてそうなってるんでしょうが、ヘロンって言う感じの文字なのも楽しい。

『雲竜図』。今回の目玉展示物がコレですね。ばかデカイ龍。ギョロ目ではあるが、どこかユーモラスな龍。蕭白の描く波って、なんか、植物のゼンマイみたいで、独特よね?コレも、そんな波が見える。本来は、間に胴体が描かれていたらしいのだが、今残ってるのは、下半身と頭のみ。
ボストン美術館で長いコト修復してましたよね、この絵。最初持ち込まれた時は、襖に貼ってあったらしいのだが、今回はそれを剥がしてパネルにしてありました。
龍が足をバイ〜ンって画面手前に出してる構図も面白いよなぁ。

こんな感じの美術展でした。お土産は、ポストカードが常設のも合わせて10枚ほど。
若冲の羅漢がなかったのは残念だったなぁ。

日本美術に興味がある人は、行ってみると楽しいと思います。そして、蕭白ってスゲエって思う。
6月10日までやってます。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2012年04月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930