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2012年02月17日16:23

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北京故宮博物院200選

『北京故宮博物院200選』に行きました。チケットは、マイミクさんより頂いたもの。マイミクさん、本当に有難うございます。

分かってはいたのですが・・・。人が多い！！人垣ですよ、人垣。
そりゃ、休日に行ったら、入館までに２時間並ぶは、こりゃ。
どうやら、中国の美術展としては、異例の入場者数だそうです。展示物の半分が、一級文物（日本で言うところの国宝）で、門外不出のお宝も持って来て、日本には殆ど入ってきてない元時代の文人画なども持って来たのが効いたらしい。本場の故宮博物院でも、ここまでお宝が並ぶことは、そうそうないんじゃないか？と言うコトらしい。そりゃ混むはな。てか、良く、中国側貸してくれたな。一応、日中国交正常化40周年記念で・・と言う名目があるようなのですが、最近の日中関係を見越して、「仲良くしとこうよ～」みたいな部分も働いたのではないか？とも思います。でも、それでお宝が見られるのであれば、こちらは、それで良いのですが。

とにかく、凄い人と凄い物品数で、見終わるのに５時間くらいかかり、私、常設展見られなかったんだよ・・・。意地で、私が好きな埴輪だけ見て来たケド。浮世絵見たかったのに！国宝見たかったのに！法隆寺宝物館にも行きたかったのに！！
なので、これから行く方は、自分が回るスピード＋２時間くらい余裕を持って行った方が良いです。

久々に音声ガイドを借りました。中国四千年の歴史を理解する頭は私にはないであろう・・と思って。でも・・・ぶっちゃけ借りなくても大丈夫だったかも知れない(^_^;)。ちゃんと説明があるので、それ読めば分かった・・・って言う・・・。解説読むのが面倒臭い人は、借りた方が良いかもです。

で、音声ガイド。１部と２部があって、１部は、ＮＨＫのアナウンサーの松平さんが、普通～に解説してくれるんですが、２部が、乾隆帝（最後に、乾隆帝が愛でていたお宝コーナーがある）と、女官が解説・・ってテイになってるんですね。で、乾隆帝の声が、三木眞一郎氏なんだ。
乾隆帝って、あんな甘ったるい声で喋るでしょうか？（笑）肖像画もあったケド、あの顔から、あの甘ったるい声が出るとはとても思えん！(^_^;)
それが、気になって気になって解説に集中できないって言う・・・。でも、面白いので、一聴の価値はあるかも知れません。三木さんが「朕」て言う。「朕は待ちかねておったぞ。」って言う（笑）。

因みに、女官の声は、玉川砂記子さんがあてている。コレは可愛い。「凛々しいお姿ですは、乾隆帝様！」とか言う（笑）。

美術展って、大抵女性客の方が多いのですが、男性客が多かったのも、この美術展の特徴かも。歴史好きな人が来てるんだと思うんだケド、歴史好きって、男性の方が多いんだよね。今は、歴女ってのがいて、歴史萌えの女の子も増えましたが。あと、年齢層は高目だった。仏教美術展の客層に近いかな？

私の１番の目当ては、チベット密教の仏像でした。以前やった『ポタラ宮展』に行きそびれちゃったんだよ、私・・・(-"-)。フライヤーだけ持ってるの。
あ、なんで、「中国なのに、チベット密教？道教でしょ、普通？」と思った方も多いかも知れんのですが、乾隆帝が、チベット密教を信仰していたので、北京故宮博物館には、チベット密教の仏像が沢山あるのです。中国文化に疎いのに、コレは知ってたって言う・・・。

故宮・・まぁ、紫禁城だよな。は、なんでも明の永楽亭朱棣～清の溥儀（ラストエンペラーじゃ）まで、500年で24人の皇帝がいたそうな。で、へえぇ～って思うのが、今までは漢民族が支配していたのだが、中国全土で２％しかいない、騎馬民族の満州民族が天下を取るらしい。勿論、ぶっちぎりで多いのは、漢民族。漢字を使う民族だよね（私は、こうやってザックリ覚えをしている）。騎馬民族だったので、勇猛果敢に攻めて行ったそうな。展示物にもあったのだが、満州語って、モンゴル語みたいな字なのね。漢字じゃないのね！思わず「あ・・・そうか。漢民族じゃないんだもん・・・」って思った。

で。最初は、書画コーナーから始まるのだが。まぁ、殆どが、一級文物だは・・・。てか、前半のコーナー一級文物ばかりなのですは・・・。ここのコーナーが目茶目茶混んでいて、最初、説明だけ読んで、４時過ぎに空いたので、それから見ました。人垣になっちゃって見られないんだもの・・・(-"-)。係員の人が「順番は特にございませんので、空いてるところからご覧ください。」と言っていたが、空いてるところなんかなかった！

『祥龍石図巻』。帳拓瑞さんが書いたもの。穴の開いた珍しい太湖石が出てきて、それが出てくると、吉兆らしく、それで書いたモノらしい。で、この石が祥龍石って名前らしい。渋い墨絵で恰好良い。12世紀のモノが、ちゃんと残ってるんだなぁ。
何でも、徽宗帝と言う皇帝が、審美眼があって、工芸が発達したらしい。

『楷書閨中秋月詩帖』。徽宗さんが書いたもの・・って、さっきの審美眼のある皇帝じゃん。流麗で綺麗な文字だと思ったら、皇帝が書いた書だったのか。どうりでな。コレ、結構読めます。楷書だし、漢字だし。

宋時代は、何でも、個人の個性を尊重した時代らしく、書も独特なモノが出来たらしい。

『草書諸上座帖巻』。黄庭堅筆。私のお気に入り。踊りを踊ってるような字が楽しい。もうこうなると、創作書道みたいです。まぁ、草書なんでしょうけれど。書いてある文章は、法眼文益禅師の語録から・・らしい。でも、何て書いてあるのかは読めない(^_^;)。最後に楷書で文章が書いてあるのだが、この時代、いくら独特の書き方が流行したからって、科挙の試験は、楷書だしで、楷書はやはり大事だったようだ。

『長江万里図巻』。長江の絵の水墨画。雲と波の描写が良い感じ。

で、拓本もあった。拓本って墨を塗って写す写し絵みたいなやつね。魚拓みたいなやつ。骨董好きの我が家のじいちゃんも、中国の拓本持ってました。王羲之などが広まったのは、拓本のおかげらしいです。
何かスゲエなって思ったのは、『四明本西嶽華山廟碑』。記念碑をそのまま拓本にしちゃった。しかも、結構デカイ記念碑を。碑自体は、1555年に大地震が起こって破壊されちゃったらしいのだが、拓本にしておいたので、何が書いてあったかは分かる・・と言う。

『楓鷹雉鶏図軸』。雉を狙う鷹の絵。鷹は楓の木の上にいて、雉は茂みに逃げようとしている。李迪が描いたもの。李迪は、鎌倉時代から日本にも入って来るらしいのだが、日本のモノは、茶室にかける用で、３０㎝四方の小さいモノが多いのに比べ（小さく加工されたっぽい）、こっちはデカイ！中国って、領土が広いから、デカくても問題なかったんじゃないか？とも思う（笑）

『行書扈従帖』。祭襄筆。コレ、何か凄いコトが書いてあるのかと思ったら、新茶を貰ったから、それについてのお礼状だった（笑）。「お茶有難う」みたいなコトが書いてある。書ではなく、お手紙なのね。祭襄さんは、宋の書の四大家の一人らしい。あ・・・だから、手紙も展示してあるのか。この人、皇帝についていた従者でもあるそうな。偉い人だったんだね。

宋画もあった。宋画なら、国博の常設でも、東洋館で見られるよね。今、改装中だケド・・・(^_^;)。『出水芙蓉図冊』。中国で蓮のコトを芙蓉って言うそうな。だから、描かれてるのは蓮。画面いっぱいの桃色の蓮の花。蓮は君子の姿として愛されてたそうな。高貴な花ってコトなんでしょうね。

『蛛綱擒猿図冊』。猿が蜘蛛の巣を壊そうとしてる絵なのだが、乾隆帝直筆の詩が書いてある。なんでも『巣が壊れれば、蜘蛛に捕まりそうな虫は助かるケド、蜘蛛は死んでしまう。』と言う生存の原理が書いてあるらしい。「あちらを立てればこちらが立たず」で、どうやら、民族とか諸々纏めなきゃいけなかった乾隆帝が、そんな思いを込めて書いたらしい。皇帝って、大変なんだな・・・。

『行書城南唱和詩巻』と『行草書城南雑詠詩巻』は、元は一緒のモノだったらしいのだが、後年、バラバラにされて、転々としたが、奇跡的に後年故宮博物館にどちらも納められた書（詩）らしいです。元は、朱熹と張栻が書いたもの。でも、張栻が書いたオリジナルは、なくなってしまい、、もう１度別の人が書いたのに、それも、バラバラになってしまったそうな。故宮で会えてよかったね。

んで。元時代になるのだが。元時代は、写実より心を重視したらしい。見たままを描くのではなく、心で見て描け！みたいな感じだったそうな。
んで。この元時代の文人画って、当時から今まで人気高くて、日本には入って来なかったそうな。それが今回来ていると。

『行書書蘇軾海棠詩巻』。非常に豪快な字の書。鮮于枢と言う人が書いてる。何でも、趙孟頫って人と人気を二分していたらしいのだが、鮮于枢が亡くなったあとは、趙さんの独断場になってしまったそうな。忘れられちゃった・・ってことなのかしら？

私この趙孟頫さんって知らないのですが、非常に有名な方らしく、故国が滅亡するも、フビライに取り立てられた人だそうな。『趙体』って言う、秀麗な字を作ったらしい。でも、この人、宋の皇帝の末裔だったらしく、それなのに、元に仕えたから、ずっと「裏切り者」扱いされていたそうです。・・・貴種流離譚みたいだね。本当は身分の高い人だったんだね。

『楷書帝師胆巴碑巻』。わぁ～。篆刻の字みたい～。文章の内容は、碑文の元らしいです。コレを、前述の趙さんが書いたのか。

『行書洛神賦巻』。これも趙さん作。趙さんは、自分の出自（皇帝の末裔）を確認するかのように、王羲之の伝統的な書法を奉じたそうな。「裏切り者」呼ばわりされて、悔しかったのかなぁ～・・・。
『水村図巻』。コレは、趙さんが描いた絵。この人、絵も上手いんだね。写意と言って「心を写すこと」らしいのだが、そういう信念で絵を描いていたらしい。山水画なのだが。中央に侘び住まいがあって、コレは仙人が住む家で、謂わば、理想郷みたいなモノらしいです。

で、ここから、衣装や、宮廷の物品などが出てくる。古いモノもある。『明黄色彩雲金龍文緙絲朝袍』。万寿節（皇帝の誕生日）などの祭祀に着る高位の礼服だそうな。明黄色は皇帝のみが着られるんだって。一面に細かい龍の刺繍が施してある。皇帝のお洋服だから当然なのだが、スゲエ豪華で「これ作るのに、何日かかるんだ？」って思った。

『玉刃矛』。わぁ～、武器だぁ。槍みたいな感じ。でも、コレは、儀式用の武器らしい。怪獣が、刀身を咥えているようなデザインで恰好良い。戦国時代なので、ええと・・・紀元前５世紀のモノだって。紀元前か・・・。中国だなっ。

『克鐘』。何か銅鐸っぽい感じのモノだった。他の鐘とセットで演奏したらしい。西周時代だから、紀元前10世紀くらいのモノらしい。古ううう～。

『豆』。穀物の料理を供える青銅器らしい。文様にトルコ石が使われている。何か蛇（？）っぽい文様にも見える。春秋時代。紀元前７世紀・・・。まぁ、中国4000年の歴史があるからな。

何か、やたら、龍モチーフのモノが多いな・・・と思うも、何でも、漢の初代皇帝の劉邦が龍の子である・・と言う伝説から、皇帝＝龍なんだそうな。通常、龍の手は指爪が４本なのだが、皇帝の龍は５本なんだって。４本だと「蟒蛇（うわばみ）」と考えられてたらしい。で、九が最大の数字なので、九匹の龍で、九龍は、皇帝の象徴なんだそうな。ふ～～ん。日本の天皇陛下も、蛇の血が入ってるコトになってます。中国も、偉い人は、通常の人間とちょっと違う・・ってコトになっているんだね。

『雲龍堆朱大合子』。ようは赤い箱なのだが。コレも五本の爪の五爪龍がいる。漆を盛って作る技法で作られてるらしい。蓋の裏に、乾隆帝の詩文が彫られているそうな。
乾隆帝って、やたら、作品に、詩文入れるな（笑）。詩を書くのが趣味だったのかな？

で、暫く行くと、琺瑯工芸がある。琺瑯ってようは、七宝とかエナメルみたいなモノね。ガラス作品。中国には元の頃、西アジアから伝わったらしい。

『琺瑯八宝文長方形香炉』。まぁ、まんまだな。長方形の琺瑯の香炉。琺瑯って、トルコ石みたいな色が多いのに、コレは白地だった。白地に細かい文様。『大明万暦年造』の文字が入ってる。

『金胎画琺瑯水注』。琺瑯の水差し。真珠やら珊瑚やらで飾られ、女性と子供の絵が入ってる。下方部が四角で、上部が丸いデザインも可愛らしい。色は、トルコ石の青。

『緙絲極楽世界図軸』。緙絲＝刺繍。刺繍で描かれた極楽浄土。阿弥陀と脇侍菩薩を中心に描かれた極楽世界。西洋風に言えば、タペストリーってところでしょうか？何か、「派手な極楽だな」って思ってしまった(^_^;)。刺繍だから？天女も沢山いる。しかも、デカイし。

『方盤』。コレ、可愛かったな。紀元前５世紀のモノなのだが。虎の形の足がついた長方形の水器。水器の内側に、亀が規則的にならんでいる。鯉なども彫られてる。外側の左右には、グレムリンのような怪物もいる。見てて楽しい。

『孔雀領地真珠珊瑚雲龍文緙絲朝袍』。緑色の地に刺繍で模様を施している。何か、もうスゲエ。細か～い真珠や珊瑚を生地に縫い込めてるし。龍も刺繍で描かれている。他にも、蝙蝠や鶴など、吉兆を表す動物も描かれている。ここで「蝙蝠って吉兆なの？」と言う方もいるだろうが、東洋では、蝙蝠って、福と同じ発音するから、おめでたい吉兆動物なんですよ。日本も吉兆動物扱い。コレが西洋だと、不吉の象徴になっちゃうんだなっ。吸血鬼の蝙蝠とかね。
これ、緑の糸を使ってるのかと思ったら、何でも、孔雀の羽を敷き詰めているので、乱反射して緑色に光るんだそうな。・・・偉い人の服だからなのでしょうが・・・凝ったコトを・・・。

『梔子堆朱盆』。梔子が漆で盛り上げて作られてる小さなお盆。こう言った漆を塗り重ねて文様を浮き彫りにする技法を『彫漆』と言うらしい。梔子は、黄漆を最後に塗り、黒漆を挟み込んであるそうな。何重構造にもなってる・・ってコトだね。漆のサンドウィッチ。

『花鳥螺鈿舟形容器』。黒漆に螺鈿。意匠は鷺と睡蓮。元は、皮革を用いて器の形を舟形に作ったんだって。舟形って言うより、私には『お弁当箱』に見えた。だって、内側に仕切りがあるんだもの。おかずとご飯の境目みたい(^_^;)。

清朝の宮廷文化コーナーに行く。
清は、中国東北部で興った満州族の王朝。第６皇帝の乾隆帝の時が１番栄えたんだそうな。
この頃、世界の人口の３割漢民族だったらしいのだが、それを、２％の満州民族が支配してたってスゲエな。

で、音声ガイドはここから、例の三木版乾隆帝になる。「待ちかねておったぞ。本日は、朕秘蔵の品をご紹介しよう。」とか言われる。甘い声で（笑）。

『康熙帝南巡図巻　第十一巻』。康熙帝の視察の様子を描いたもの。南京（報恩寺）～秦淮河。長江を下る康熙帝一行。大パノラマで楽しい。河を船で下り、山村に入り、村を横切り、また、町に出て・・・。町には商店街も。何を売ってるんだろう？スゲエ長～～～い絵巻物。

『康熙帝南巡図巻　第十二巻』。康熙帝が、南巡を終え、京師（北京）に帰還する情景。紫禁城太和殿からの大パノラマ。こちらも大パノラマ。紫禁城の辺りがスゲエ。
ズラ～～～～～～～～～～っと延々並ぶ家臣たち。象もいる。手に旗を持った楽団もいる。踊ってる人もいる。紫禁城の中にも入る。天安門を通り、大清門へ（今は取り壊されて、天安門広場になってるそうな）。正陽門には馬で戻る人たちも。門を出て町へ。商店街をお通り、城の外へ・・・。最後、人文字で『天子萬年』って書いてある。コレもスゲエ大パノラマの長～～～い絵巻物。当然、一級文物。どちらも現在の場所の写真も飾ってあって、対比しながら見られるようになってるのも面白かった。

乾隆帝の肖像画もあった。鎧を着て、西洋の絵画みたいなモノもあったりした。25歳で即位した時のモノもあったが、宣教師のジュゼッペ・カスティリオーネって人が描いたモノらしい。乾隆帝がお気に入りの画家さんだったみたい。制作途中、良く、工房に行って、乾隆帝は、絵に細かい注文を出していたそうだよ。マメだな、乾隆帝。黄色の礼服をちゃんと着ていた肖像画。さっき本物見たやつだ。

『乾隆帝紫閣遊宴絵画巻』。ジュンガル部、ウイグル部を平定した100名の功臣像を掲げての宴会の様子。アクロバットやってる人がいたり、皇帝が中央に座っています。これも長い巻物。

清は満州語と漢語が公用語だったらしい。
で、面白かったのが『御製五体清文鑑』。チベット語、モンゴル語、ウイグル語、漢語、満州語と５か国語乗った翻訳辞典。チベット語とウイグル語には、発音（今音と古音があった）も書いてある。満州語って、ホント、漢語と全然違うんだ～。チベット語みたいな文字なのね。うねうねみみず文字。多民族国家だから、これ、大変だろうなぁ。少数部族はもっと違う言語を使うだろうしね。

満州語の本も展示してあったが、見事に読めん！(^_^;)　うわぁ～。うねうね～って思う。

他、雍正帝が、モンゴル族やチベット僧などにコスプレしてる絵もあった。実際は着てないので、想像の絵らしい。色んな部族のコトを思ってますよ！と言うアピールもあったらしいよ。

『乾隆帝是一是二図軸』。是一是二は、「私は１人？はたまた２人？」と言う意味らしい。乾隆帝が漢の文人の姿で筆を持っている。テーブルには美術品の数々。実際、満州民は、漢民族の服を着てはいけないと言う決まりがあったので（礼制を守るって意味合いから）、コレも想像の産物らしいのだが、皇帝＝中国文化の体現者となるので、こういう絵が描かれたそうな。絵の中の美術品が、裏に回ったら、実際に展示してあって、面白かった。
酒の容器は、文房具入れに使っていたよ。乾隆帝は比較的自由な発想で美術品を使ってたみたい。

『西清硯譜』。清朝宮廷のお宝240点を描いた図録らしい。系統的に解説も付いてる優れもの。宮廷画家による挿絵入り。

あと、三希堂って言う、皇帝の部屋が再現してあったのも面白かった。５畳くらいなんだって。皇帝のプライベートルーム（書斎）だけど、狭いんだね。美術品は高そうなのが置いてあったケド。

で、ここから私が見たかった、チベット密教関係。
清朝は、宗教的には寛容で、道教もイスラム教も仏教も信仰してＯＫだったらしいのだが、貴族などは、チベット密教を信仰していたらしい。皇帝が信者だとそうなるんだろうね。

『藍繻子地八宝文刺繍瓔珞法衣』。スゲエ難しい名前が付いてるが、ようは、ラマ僧（チベット密教の僧侶）の服。腕飾り、耳飾りなど、派手。服も紺地に青で、やっぱり派手。高僧って何で派手になるんだろうね。

乾隆帝が、菩薩にコスプレしてる肖像画もあって、「スゲエ～」とか思ったら、チベット密教って、戒律が厳しくて、例え皇帝でも、ラマ僧が１番偉いから、傅かなくちゃいけないので、「それなら、朕自らが菩薩にならねば」と、こういう絵が描かれたらしい。権力誇示するのって大変なんだななぁ～・・・。

『大威徳金剛（ヤマーンタカ）立像』。恰好良い～。コレ、金剛なんだけど、ようは、菩薩が怒ったところ。９つの顔、34本の手、16本の足、水牛の角を持ち、顔もイノシシみたいで、もはや、仏だか怪物だか分からない！！顔は金色。チベット密教は、ヒンドゥーの影響が色濃いですね。てか、密教系は日本でも、ヒンドゥーの要素がかなり入っている。仏様もエロ恰好良い。

『金剛菩薩立像』。コレは元はインドラ様だったみたい。腰をくねって捻って色っぽく立ってます。アルカイックスマイルの美少年。コレ、立ち方にも全部名前があって意味があるんだよね。覚えてたケド、忘れちゃったよ・・・(^_^;)。

『閻魔（マヤ）像』。閻魔は人間の先祖なんだそうな。で、最初の死者なんだって。豚の上で手を広げて見えをきる。閻魔の顔はイノシシっぽいぞ。

『上楽金剛（チャクラサンバラ）立像』。守護神の一種らしい。妃を抱く金剛様。エロイシーンの仏像だ！コレ、まぁ、交合の図・・なのだが、神力や仏の合一って言う意味もあるらしいよ。
そして、相変わらず、手が多い。

『十一面観音菩薩立像』。十一面観音は、バラモンの十一荒神が起源って説があるらしい。頭が四段重ねなのがスゲエ。手は４本なのだが、４本の手がポピュラーらしいよ。

観音様が多いのは、清は、観音様が守ってくれる・・と言う考えがあったから・・みたい。

ほか、『黒貂纓金龍文刺繍甲』。満州族の鎧。綿を圧縮して作ったモノなので軽いらしい・・・のだが、それって、すぐ槍とか通っちゃわないのか？胸に鏡があるのだが、コレは、護心鏡と言って、胸を守るものらしい。

『銅製鍍金嵌琺瑯日晷儀』。方位磁石によって、東西南北を合わせておき使う日時計だそうな。あ、だから、中心に方位磁石があるのか。

『青玉紅玉石象嵌稜花洗』。六角菱花のすかし彫の器。紅石と緑色の石を嵌め込んでいる。ウイグル人も、清朝は取り込み、新疆と名付けるのだが、ウイグルからは、良い玉（ぎょく）が沢山持ち込まれたらしい。今、ウイグル自治区は、諸々問題もはらんでいるケド、そもそもは、玉目当てでの支配だったのかな？と思う。

そんな感じでした。いやぁ～。出展数が多い多い。お土産はポストカード６枚。服の形の変形絵葉書が可愛い。

乾隆帝って、85歳で引退するまで、60年皇帝の座にいたそうな。凄いね。でも、そんな怖そうな人じゃなかったな。肖像画を見る限り。良いとこのボン風ではあったけれど。

中国美術や中国の歴史がお好きな方はどうぞ。２月19日までやっています。ただ・・・今行くと。滅茶苦茶混んでると思う・・・(^_^;)。

あと、今回、難しい漢字を色々覚えました！！（笑）

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