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2012年01月17日17:39

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ついてない日

 ここ数日のがんばりすぎがたたって、昨日はついに疲れてしまい、子どもたちを保育園に送るなり、帰って来て横になった。その朝、私は不機嫌で、藤吾さんがとても心配したのだけど、どうしても元気になれなかった。これは休むしかない。
 それから、お迎えの時間から逆算して、仕事は2時まで、家事・食事作りは3時まで、それから自転車で郵便局と薬局へ行って・・・と頭の中で計画を立てた。
 ところが、仕事は思ったよりよけいに時間がかかって、終わらないうちに3時近くになった。無理矢理やめにして家事。それから夕飯のカリフラワーと根セロリのポタージュを、ミキサーにかける寸前まで作って時計を見るとほとんど4時。お昼寝したぶん、ぜんぶ遅れてしまった!
 それでも郵便局も薬局もあきらめたくない。自転車で往復15分、郵便局と薬局でそれぞれ10分、急げばまだなんとか間に合う、と自分に言い聞かせ、自転車を出しにいく。
 自転車のある小屋に行くと、パパが自分の自転車といっしょに、私のキーホルダーに鍵のついていないチェーンで私の自転車をつないでいる!一分も無駄にしたくないのに、このチェーンのキーはどこだろう?パパめ!といらつきながら鍵を探しにうちの中へ戻る。それでもまだ予定をあきらめたくない私。鍵はすぐ見つかり、自転車を出して、大急ぎで郵便局へ向かう。

 晴れていて、自転車で風を切るのは気持ちいい。郵便局への坂道を、数回立ちこぎ、・・・
 したところで突然、なんと右のペダルが取れてしまった!立ち上がって踏み込んだ瞬間だったから、足場を失って私は見事に転倒した。転げ落ちながら、スローモーションでペダルの飛んでいくのや、バックがかごから飛び出すのが見える。右も左も、ひざも腿も腰も肩も、あちこち強く打ったけれど大した怪我はなし。起き上がって、散乱した荷物と、転がっているペダルと、倒れた自転車を急いで歩道に上げた。自転車、買ったばっかりなのになんで壊れるの?フランスで買うものはすぐ壊れるから困る・・・。それでも数秒間、あきらめないつもりの私は、ペダルを修理しようと試みたが、素手ではとてもだめなことに気付いて、今度こそ、郵便局と薬局はあきらめざるを得なくなった。
 ついてないなあ。(本当は、車が後から来なかっただけ、ついていたのだけど。)

 仕事でもやりたいことがぜんぶ出来なくて、そのうえ私が忙しいから子どもたちには負担がかかっていて、子どもたちは荒れている。右も左もうまく行かないことばかり、という気がしてくる。

 壊れた自転車を押しながら、足を引きずってうちに帰り、スープをミキサーにかけて洗い物をして子どもたちを迎えに行く。おかげでいつもより少し早く着いた。
 疲れているときの常で、二人は私が来ても大喜びしない。な〜んだ、ママか、今ごろ迎えに来たって知るもんか、という顔で二人とも遊び続ける。しょうがないから、保育士さんと話したり、よってくる子供たちと一緒に遊んでやったりする。
 しばらくしてママを十分に困らせたら、二人とも私のところにやってきた。アビは疲れていてさっそく抱っこ。3人で保育室を出て、ロッカーへ。
 今度は二人とも着替えたくない。でも、いつもより早く着いたから、私は待つ余裕があった。それで、着替えろ着替えろとうるさく言わずに、子どもの言うことを聞いてやる。
 アビがロッカーの上に乗せてくれと言う。よくそこに子どもを座らせて、お母さんたちが着替えをさせる。私も時々使うけど、二人いると一人のそばにじっといられないことがあるから、危なくて高いところに子どもを乗せるのは気がひける。でも昨日はアビを座らせてやった。藤吾さんは、ロッカーの脇に据えてある、大工仕事のおもちゃで遊び始めたからだ。ほかの子がいるときはあまり触れない大型のおもちゃだから、今のうち、ママを待たせて、「ドンドン」の遊びをしてやろう、と藤吾さんは思っている。私が止めるのを無視して、「みてみて、ママ、じゅーんじゅーん」とドリルを回すふりをする。
 うれしそうだな。じゃあちょっと、そのまま藤吾さんは遊ばせて、その間アビのそばに立っていればいいか。アビはロッカーに乗っても着替えるつもりはなく、壁に貼ってある写真を見るために立ち上がる。通りかかった保育士さんが、「あんた写真を近くで見てるの?」と笑う。それに飽きると今度は、名前がわりにロッカーに置く子どもたちの写真カードの箱を取って、写真を一枚一枚見始める。「アミン、これアミンなにしてるの?たべてるの?」「のんでるんだよ。ジュース」「アビ、ジュース、ア・ラ・メゾン」、「リザ、わらってるね」「リュカ、大きいリュカ」「小さいリュカ」写真全部にコメントする。私はひたすら、待つ。

 と、ドルセという保育士さんが(たしかチーム長)通りかかって、「あらなにしてるの?」とアビに声をかける。「早く着替えてほしいんだけど」と私が困った顔をすると、ドルセは「ごゆっくり」という。そして、何かかたづけてからもう一度、今度は私に話しかけてきた。「お宅の子たちは本当にいい子。かわいい天使だわ。ちゃんと言うことを聞くし、やさしくて、静かで、よく遊んで。こういう子はめずらしいんですよ。お母さんが静かだからでしょうね?これはお母さんの育児がいいんですよ。この二人を前にして、いつも私はすばらしいって感心してしまいますもの。この子たちといると、疲れるどころか、癒されますよ」。
 私は、すっかりびっくりしてしまった。ふだんから保育士さんたちから、「ほんといい子たち!かわいい子たち」と言われはするものの、子ども好きの保育士さんたちのこと、すべての子どもがかわいいという意味だろうと思っていた。
 「うちでは二人で喧嘩ばっかりして。それに双子だから、十分かまってあげられないと、いつも心配なんですよ」と言ったけど、本当はすごく誇らしかった。それに、今日はとんでもなくついてなくて、子どもたちにも八つ当 たりしたし、なにかもつまらなく思えて仕方がなかったときだったから、私はドルセの言葉にものすごくなぐさめられた。
 その日、保育室で子どもたちを待ちながら話したもう一人の保育士さん、クリスティンも、「私は、お宅の子たちみたいのばっかりほしいですよ」と言ってくれたばかりだった。
 おかげでそのあと、私は気持ちよく天狗になって、そう悪くもないのかもなと思う。それで、またがんばれそうな気がしてくる。
 
 フルタイムで働くフランスのお母さんたちの子どもより、うちの子たちに余裕があるのは当然だ。日本のお母さんたちは、たいてい私よりしっかり子育てしてるから、日本の子どもをパリ郊外の保育園に入れればみんな天使に見えるだろう!

 ついてない日だと思ったけど、すくわれた。家事や育児は、がんばっても誰も褒めてくれないのがふつうだから、そんなこと言ってくれる人がいるのは、ありがたいことだ。
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