「彼女を……愛しているからです!」
ある恐喝事件の被告 − なぜ彼女に二度と会わないと誓えるのかとの裁判官の質問に答えて
ちょっと前に『傍聴マニア』という向井理と南明奈と六角精児の深夜ドラマがありまして、けっこうおもしろかったのですが、これの元ネタになったのが『裁判長! ここは懲役4年でどうすか』という裁判傍聴エッセイでした。さまざまな人生模様や裁判の実態が盛りこまれた、これもかなり興味深い本です。
冒頭の言葉は、少女を恐喝し通報されて捕まった30代後半の男のものです。12歳の少女と付き合い始めて恐喝にいたるわけですから、まったく情状酌量の余地はないかにみえますが、知り合ったのが出会い系サイトでさんざん貢がせた挙句、さらにお金を引っ張ろうとして「彼氏ができた」「結婚の約束をした」「彼のところにお泊りした」というメールしていた方もまだ若いのにたいしたタマだといわざるをえません。
といって、男の方も泊まりにこなければ自宅に電話すると脅し、7万円で関係して写真を撮影という行為は、純情さが暴走しての勇み足なんて生易しいものではなく、なんだかどこにも共感の手掛かりがありませんが、これが現実だろうなとも思います。
冒頭の返答をしたとき、彼の顔は愛を告白できた喜びに満ちていて、居合わせた他の人間はげんなりしていたそうです。まあ、仕方がないですね。
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