mixiユーザー(id:8306745)

2008年04月12日00:19

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ちょー今更ですが、『HUNTER × HUNTER』25巻読了

・・・ため息しか出ない。

雑誌が生まれた事にそれぞれ役目と功績が
あるとしたら、ジャンプの功績は荒木飛呂彦と
富樫を世に出した事、とすら言い切ってしまえるかも
知れない。

世に言うジャンプ黄金期と云われる時期を
経験していて、すら。

凄まじいばかりの濃密な時間が一冊で描かれる。
作中で過ぎる時間は宮殿突入までのおよそ10分前からを
60ページほど。そしてラストまで8秒ちょい。

たった8秒。

今まで漫画を読んで来た経験で云うと、大ゴマとモノローグの
多用は物語のスピードを削ぐ、と思っていたが全く違う。
凄まじい緊張感とスピード感でグングン物語が
進んで行く。

それは構図やコマ割り、演出の全てが素晴らしいから、
という詰まらない結論になるしかない。

唸るほど面白い漫画、なんてそうそう読める物じゃない。

この作家には読者を待たせる権利がある。
どれだけでも。

その結果がこのクオリティなのだ。
作家は作品のみで語るべきであり、この作家は
これほどの物を読者に提示出来ているのだ。
この物語を、この巻を読んだ人間は、皆
待てるだろう。それが例え年単位のスパンであっても。
次巻を手に取らずにはいられないだろう。

他の作家と比較して、創作態度を云々される事も
多いが、よいのだ。他の作家だって休めば。
そして、このクオリティの作品を産み出せるのならば。
これだけハードルを上げても、富樫は全く読み手の
不満も文句も呑み込ませ、忘れさせたのだ。

まぁ、大体が萩原一至のように自家薬籠中に
陥るのが関の山なのだが。

そして、この表紙の素晴らしさ。
ただ、お綺麗で大向こう受けだけを
狙う漫画には無い『生きている人間』の
顔が描かれている。
盲目であり、愚図で何も出来ない厄介者扱いの
娘が唯一世界と戦う事の出来るゲームを
自身の命を賭けて行っている顔。

これを今巻の表紙にする事は、『王』の
変化を追う物語としても、絶妙のタイミングだろう。

凄まじい手腕と才能だ。

この作家に多産を望んではいけない。

そして、いつになっても、続刊や新刊を待ち望まれる
一握りの作家の一員を同世代で得られた事を
感謝するべきなのだ、ろう。
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