さて、続きです。
【日時】
3月28日17時15分
【状況】
水道橋駅前は『チケット売ります』希望者で
溢れかえっているが、その為完全なる買い手市場が
形成されており、条件の悪いチケットを持つ我々の苦戦で
事態は推移している。
【装備】
3.28 一塁側二階席 2枚
3.29 三塁側一階席 1枚(同行者分)
【ミッション】
手持ちのチケットを観たい方に『なるべく高額で』引き取って頂く事。
【条件】
1.本日のチケットは周囲の状況を鑑みて一枚5000円での
売買を目標とする。
2.バラ売り可。
3.二枚買ってくれたら値引きもアリ、な交渉をする。
4.明日の分は今日よりも若干条件がいいので、
もうちょっと値を張って交渉。
5.交渉は基本的に私がやる。
6.負けても泣かない。
7.死して屍拾うもの無し
8.死して屍拾うもの無し
【達成リミット】
開演時間である18:30。
【更なる経緯と顛末】
アリーナAという素晴らしいチケットを確保してしまった以上、
我々はなんとしても手持ち分を売りさばいて収支を
合わせなければなりません。
しかし、この状況ではなぁ。
などと弱気が頭をもたげます。
私「チケットあるよぉ、無い人売るよぉ、ってだみ声で云う?」
同行者「無い人売るよ、余ったの買うよぉって?」
私「これ以上増やしてどうするんだ(笑)」
いっかな好転しない状況に、出るのは無駄口ばかりです。
元来シャイな私は、こういうのは苦手なんだが。
やはり、そうも云っていられない。
遠巻きに見ている人は結構いる訳だから、まずは
話しかけて貰わないといけません。
ここで声掛け出したらマジでダフ屋だし、どうしたもんか。
とりあえず、遠巻きにチケット探している人に
視線のキャッチから初めてみる事に。
もう、ガン見です。人様の目をガン見。
ともかく興味のある、需要のありそうな人の視線を
とっ捕まえて、こちらに関心を向けさせないと
いけません。何せ、選択肢は買い手にそれこそ
売るほどあるのだから。
すると。
結構な頻度で買いたい方が声をかけてくるように
なりました。やはり、直接訴えるくらいインパクトの
ある事は無いらしい。
そろそろ時間も押してきて、17:30も超えようとしております。
どうやら、買い手も焦りが見えてきたようなんですね。
結構、駆け込みで入ろうという人や、あまり
よく分らないけど昔好きだったから来て見た人など、
多少『ライトな』ファンが増えてきたようです。
へヴィでディープな愛をXに捧げているコアファンは
どうやら随分前に会場入りしているようです。
私たちのようなチケットのランクアップを狙う人たちが
一通り掃けて、『とりあえず見られればいい』みたいな
人たちが多数を占めてきている、と。
チャ〜〜〜ンス。
ここに来ていい潮になってきました。
あまり、相場をご存じない方達ですから交渉もしやすい
だろう。ここで売りそこなったら本当に機会を失う。
俄然やる気になります。
開演まであと一時間。ここが勝負のしどころです。
そんな時、気になる方が約一名、対岸から視線を
送ってきている事に気付きます。
しっかりと視線を捕らえて、売る気をアピール。
冷やかしならこんなに長い時間(つうても数分ですが)
見てないだろ?という事で、雰囲気だけでも愛想よく、と
心掛けます。
よし、来た!!
近づいてきます。文科系の薫り漂う気弱そうな男の子です。
まだ、歳若いな。こんな子もX見に来るんだなぁ、と
感慨深い。
男の子「あの・・・」
私「はいはい♪」
男の子「明日のチケットを探しているんですけれど・・・」
同行者の目がキラーン、と光ります。
私「あ、今日のはあるの?」
ちょっとフック。
男の子「あ、はい・・・。明日のだけ取れなくて・・・」
ん〜?最終日も取れたって事か?羨ましいなぁ・・・
じゃない。交渉交渉。
私「明日のは一枚しかないけど」
男の子「あ、いいです」
ここで類推出来た事を整理。
1.(恐らく)他の日のチケットは定価で購入している。
2.ここで他の人に大体の相場などは聞いていない(今来たばかり)。
3.明日のチケットは今日はあまり売られていないので、
交渉の余地はかなりある。
私「一階席なんだけど、いいかな?HIDE側」
条件の悪さに追加の条件を加えて誤魔化します(笑)。
男の子「・・・いいです」
よっし!とりあえずこれで少しは断りにくいぞ。
私「定価で12800円だから、出来たら定価で買ってほしい
所なんだけど、こんな状況だからさ。値引きして
10000円でどう?」
周りを示すゼスチャをして、値段提示。
周りに29日のチケットはあまり無いし、値引き、って点を
アピール。さぁどうだ!
男の子「じゃあ・・・買います」
商談成立!!
にこやかに礼を云い、チケットを売買。気が変わらないウチに
取引完了。
うん。いい潮だ。
私「どうだ」
同「まあまあ」
・・・さっきいくらでもいいって言ってたのはどの口だ。
さて。
一枚は首尾よく行った物の、難しいのが残っております。
しかも、私のチケットが一枚含まれているんだから、
大事です。人のチケットを売る事に地道をあげている
場合じゃありません。
そろそろ17:45分。
人の壁もまばらになりつつあります。
つうても30人はいるでしょうが。
今度は女性の二人組みが視界に入ります。
右から左に舐めるように見て行き、何度も
往復します。
これは手ごわい。
何人かに声を掛けているのが見えます。
女性ってだけで手ごわいのに、ああもマーケティングリサーチを
されたら、こちらは手も足も出ないだろうなぁ。
などと思っていると。
その女性達が私達に声を掛けてきました。
女性「チケット探しているんですけどぉ」
私「(知っているよ)はいはい、二階席なんで
席はちょっと良くないんですけど、その分値引き
しますよ」
もう、必要な条件だけとっとと伝えて、どこに食いついてくるか
量ります。これが席種だったら、アウト。交渉の余地なし。
金額だったら多少は余地あり。駄目で元々、って気分なので
気は楽です。
女性「え〜っとぉ、おいくらですか?」
私「二枚連番で一枚5000円。二枚まとめて買ってくれたら
9000円でいいよぉ」
言わずもがなのデータを添えて、多少のお得感を演出。
一枚5000円で考えていたんだから、これぐらいの値引きはOKだろう。
女性「ん〜〜〜」
私「なんか、周りの相場がそれくらい(=5000円)だったから、
それに併せたからね。さらに二枚買ってくれたら値引き。多分、
これが底値だと思うよ」
適当に嘘八百並べ立てます(笑)。
女性「もうちょっと、考えてみま〜す」
私「他の意見聞いてみて、安いと思ったら戻ってきてね〜」
無理だなぁ、と思いつつも一応保険に声掛け。
なんだか、どんどんダフ屋かテキヤ風に自分がなってきている
気がしてきます。
いやいや。商売商売。
銭の花は商いの上に咲くんや(テキトー)。
時刻は17:55。
辺りも暗くなり始め、もの寂しい気分になります。
そろそろリミットかなぁ、などと考えていると。
「チケットあります?」
ふいに声を掛けられました。
これも歳若い男の子二人連れ。
私「二階席だけど、いい?」
既に慣れた言い回し。
男「いくらですか?」
ん?二階席に抵抗がない、な。これは交渉しやすいかも。
私「定価12800円の所を5000円。7800円引いちゃうよ、この際!」
・・・どの際だ。
押しがもう一つ必要なら、そこでまとめて買ってくれたら値引き案を
出そう、と思っていると。
男の子二人が「5000円なら安いよな」などと会話しています。
お、いけるいける。
私「じゃあ、二枚で10000円。一枚分のチケット代より安いからねぇ。
商売上がったりだよ」
訳の分らんジョークでさらに一押し。
頷いて財布を取り出す男の子たち。
よし、君達いい子だ!
最後が一番スムーズに商談成立。
これで、全ての肩の荷が降りた・・・。
ようやく東京ドームへ向かえます。
長かった・・・。
なんとか、売り抜けて今手元にあるアリーナAの
チケット代は結果として22800円也。
上等上等。
そんな時同行者が浮かない顔をしています。
怪訝に思いどうしたのか問うと。
「あんなに素直に買ってくれるんだから、もう少し
上乗せすればよかったのに」
・・・どの口がそれを云うと百万回(略)。
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