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2006年10月16日17:45

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ベルギー王立美術館展

現在、国立西洋美術館で開催中の『ベルギー王立美術館展』に行きました。

今回は、常設展もちゃんと見ようとして、7時間美術館にいたのに、結果、常設展の時間は20分しかとれず・・・(-_-;)。敗因は、スライドトークショー(正味40分ほど)を見たからだと思う。内容は、面白かったのですが、夜の6時から(金曜日は、夜の8時まで開館しているのです)というのはどうなのだろう?
スライドトークショーを見てから、絵を見たら、新たな発見もあったので、もう少し早くやっても良いんじゃなかろうか・・・と。6時からだと、終わってからもう1度見られない人もいると思うので。

ベルギー美術は、日本ではあまり馴染みがないから、そんなに混んでないだろう・・・と思ったら、思ったより人はおりました。勿論、そんなに混み混みではなかったケド。

会場の展示は、ルネサンス期からマグリットなどの近代絵画までを網羅したモノで、結構充実しておりました。私が大好きな、ベルギー象徴派の展示もありましたしね。
ネーデルランド絵画に含まれる、ルーベンスなどの絵の出展もありましたよ。
1番の目玉は、日本初公開のピーテル・ブリューゲル(父)?の『イカロスの墜落』だと思う。

さて、私のお気に入り絵画をザックリ紹介〜。

ヤーコブ・ファン・スワーネンブルフの『地獄のアイネイアス』。ちょっと、ボスの絵みたいでした。怪物に食われてる人間たち。

ルーベンスの『聖ベネディクトゥスの奇蹟』と、その絵をドラクロワが模写した『聖ベネディクトゥスの奇蹟』が、両方並んで飾ってあったのが面白かった。見比べられます。ドラクロワはキチンと模写してますね。キチンと模写しすぎてて、あんまりドラクロワっぽくなかったのが、逆に面白かったな。

ヤーコブ・ヨルダーンスの『飲む王様』。
今回の展覧会のポスター絵にもなっていた絵画。

クリスマスの祝祭週間に、“豆の宴会”というのをやるのだそうです。ミートパイの中に豆が入っており、その豆入りミートパイを当てた人は、紙製の王冠を被り王様役をやる。王様役は従者を選ぶことが出来、王様役がお酒を飲む時は「王様が飲むぞ!」と皆で声をかけなければいけない。
言ってみれば今で言う“王様ゲーム”だな(笑)。

宴の享楽的な感じが良く出ています。左横の人は飲みすぎたのか、ゲロ吐いてるし(^_^;)。

でも、どうやら描いたヨルダーンスは“こんな享楽的なコトばかりしてはいけない”という戒めの意味を込めて描いたらしいよ。風俗画というより、寓意画に近いのかな。

ガスパール・ド・クレイエルの『天使に着付けてもらう若いマリア』。この絵可愛い〜。凄く好き。中央に、赤い服を着た、若い美少女のマリア。マリアの髪に天使が花飾りをしています。

ダーフィット・テニールス(子)の『イタリア絵画ギャラリーのネーデルランド総督レオポルト・ウィルヘルム大公』
部屋にズラリと並んだ、イタリア絵画の名品たち。ティツィアーノ、ジョルジョーネ、ベロネーゼ・・・。1級品の絵画ばかりだ。
絵画のミニチュアを見てるようで、大変楽しい絵。
この、イタリア絵画。レオポルト・ウィルヘルム大公の自慢のコレクションだったらしい。描いたテニールス(子)は、どうやら、これら絵画の管理者でもあったようだ。
因みに、青いカーテンがあり、その中に保存された、ひときわ大事にされている絵は、天下のラファエロ描くところの聖母像だそうだ。

ヤン・フェイトの『鶏と七面鳥』
あまりの細密画っぷりに、伊藤若冲の鶏図を思い出す。

フランソワ=ジョゼフ・ナヴェス『砂漠のハガルとイシマエル』
旧約聖書の一説から着想を得た絵。
アブラハムの本妻に子供が出来なかったので、アブラハムは女奴隷のハガルに子供を生ませるのだが、後に本妻の方に子供が出来てしまう。本妻は、ハガルに嫉妬し、ある日、ハガルの子のイシマエルが自分の子供を罵ったと難癖を付け、ハガル&イシマエル親子を追い出してしまう。
砂漠に放り出されて途方にくれ、死にかけるハガルとイシマエル。そこに天使が現れ「お前の子供は後に、大事をなす」と言い、助けてくれる。そんな話。
確か、イスラエルの語源って、イシマエルじゃなかったか?

途方にくれ、悲しげな顔をした女性(ハガル)。腕にはぐったりした美少年(イシマエル)を抱えている。凄く綺麗な絵。ロマンティシズムも感じます。それにしても、ぐったりした、美少年イシマエルの色っぽさは何なのだろう??と思ったら・・・。
このナヴェスさん。新古典主義のダヴィットに師事していたらしい。あぁ〜・・・納得(笑)。ダヴィットの絵って、ちょっと、いかがわしいものな(笑)。

さぁ〜て!!
ここからは、私の得意分野に出発よ!(笑)
そう、耽美幻想馬鹿の私が大好きな、ベルギー象徴派ブース&シュルレアリズム絵画ブースでございます。

フェリシアン・ロップスの『口論』
出たぁ〜!!天下の辛辣風刺画家、ロップス!!
綺麗なドレスを着た女性2人が階段にいます。上段の女性は下段の女性に指を指し、険しい表情。下段の女性は片手に扇を持ち、上段の女性を振り仰ぎ「フンッそれがどうしたの?」という表情。
まわりの良家の人達も、はやし立てているらしい。
「社交界って言ったって、所詮は見栄っ張りの集まりで、虚飾の世界でしょう?」ロップスのこの絵は、そんなコトを言ってるみたい。

ジェームズ・アンソール『怒れる仮面』
骸骨と仮面の画家、アンソール。
私、この絵、見たかったんだぁ〜。見て吃驚。こんなにデカイ絵だったんだ!!
机に座って酒瓶を前にする仮面の男。扉から入ってきたすりこ木を手にした仮面の女。
実はコレ、アンソールの両親。仲が良いと思っていた両親だ。
父がアルコール中毒になり、母親はピリピリしだす。
そんな家庭を仮面をつけた人物で表現した。本来なら重い画面になりそうなのに、人物が仮面を付けているから、不思議とユーモラスで幻想的な絵になっている。

その横には、同じくアンソールの『燻製ニシンを奪い合う骸骨たち』
見て吃驚。こんなに小さい絵だったんだ!!
燻製ニシンは、アンソール本人。骸骨2人は評論家。「評論家ども、俺を色々批評して、散々食い物にしやがって!!」怒りの画家アンソールのそんな心の叫びを絵にしたもの。

フェルナン・クノップフの『シューマンを聴きながら』と、アンソールの『ロシア音楽家』が並んで展示してあったのも面白かったです。
当時、クノップフの『シューマンを聴きながら』は、アンソールの『ロシア音楽家』とあまりにも似すぎていると、評論家から、散々の酷評を受けたらしい。
並んでたのを見たけど・・・。女性が黒いドレス着て、どっちにもピアノがある・・以外、あんまり似てないのですが・・・(^_^;)。
クノップフは神秘主義の画家らしく、ソファに座り、額を押さえ音楽を聴く女性は「鬱病ですか?」とちょっと訊きたくなる雰囲気(笑)。
アンソールの方は、ピアノを弾いている女性の後ろに男性がいて、「ラブラブですか?」と訊きたくなるよ。

フェルナン・クノップフ『白、黒、金』
あぁ〜!!この絵の色付いてるヴァージョン、『ベルギー象徴派展』で見たぁ〜!!
今回のは、鉛筆とチョークでモノクロに仕上げられている。
ベールを纏った、両性具有チックな女性。手前には翼が左頭部にのみ生えた像がある(ケルビム?メルクリウス?)。
流石、神秘の画家。こういう表現は上手いやね。
因みに描かれている女性は、クノップフの理想像。クノップフのアニマだね。

そして・・・。
出た〜!!絶対あるとは思ったが、あったらあったで大喜び〜\(^o^)/。
ジャン・デルヴィル。『トリスタンとイゾルテ』
この絵の綺麗なコト。綺麗なコト。
綺麗〜。萌え〜。スゲエ〜!!
鉛筆画のモノクローム。
抱き合って眠る、男女(トリスタンとイゾルテ)。女性の手にはグラス。掲げもち、中の液体はこぼれている。
天からは光がさす。毒杯をあおって、死にゆく恋人達。

もう駄目。こんな絵描かれたら、もう駄目。妄想スタート!ですわ。(笑)
何で、この絵のポストカードがないのサ、国立西洋美術館!!

さて、次は、シュルレアリズムブースに参りましょう〜。

ポール・デルヴォー『ノクターン』。
手前には裸婦2人。指をバリ舞踊のようにくっつける不思議なポーズをしている。ルネサンス期の建物も見える。遠くには、きちんとした身なりの紳士2人と女性。そして手前には、赤い幕。
静謐なる不条理。そんな感じ。
デルヴォーの絵は、いつも静かだ。静かで不思議な絵。
人物は皆、マネキン人形みたいだし。幕があるからか、芝居の一場面にも見える。
そして、あまりの静けさに、少し不安になる。
デルヴォーは、シュルレアリストの画家に分類されてしまうが、論理を嫌い、絵画のモチーフは、子供の頃に見た絵や風景からとっていたらしい。

同じく、デルヴォーの『夜汽車』
夜の駅。誰も乗っていない、誰も降りてこない汽車をじっと眺める水色の服の少女。駅舎には明かり。
こちらも不思議な絵だけど、こちらには郷愁がある。いつかどこかで(それは夢の中かも知れないが)見たコトがあるような・・・。そんな風景。

ルネ・マグリットは、有名な『光の帝国』(空が昼で、下部分が夜の絵ね)も来てたけど、私は『血の声』の方が好み。
大きな木。木には扉が3つ付いている。1番下には、家が入っており、2番目には、大きな白い球体が入っている。3番目の扉は開きかけてはいるが、中は見えない。
嫌でも「3番目の扉の中は何だろう?」と想像してしまう。
因みに、この絵の着想は『不思議の国のアリス』だそうだ。なるほど。

他にも、ヴァン・ダイクの肖像画や、風景素描などもありました。
なかなか充実の展示会。
ベルギーはワッフルだけじゃないのね・・・と分かります(笑)。
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