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2023年10月02日11:44

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『熊は、いない』感想

〜政府から映画制作を禁じられながらも不屈の精神で映画を撮り続けるイランの名匠ジャファル・パナヒが監督・脚本・製作・主演を務め、自らを題材にして撮りあげた社会派サスペンス〜
〜パナヒ監督はトルコで偽造パスポートを使って国外逃亡しようとしている若い男女を主人公にしたドキュメンタリードラマ映画を撮影するため、イランの国境近くの小さな村からリモートで助監督レザに指示を出す。そんな中、滞在先の村では古い掟のせいで愛し合うことが許されない恋人たちをめぐるトラブルが大事件へと発展し、パナヒ監督も巻き込まれていく〜<映画.comさんより>

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冒頭、どこかの街のありふれた日常風景。
そこに男女が現れて、パスポート云々の話。
そこに「カット!」の声。スクリーンに現れる助監督。
タブレットPCの映像を見ながら、リモート撮影の支持を出していたのはパナピ監督!
驚きの始まり。でも、そうか、パナピ監督は、映画制作&出国禁止なんだ。
それで、こういう方法をとったんだと、いきなり納得&関心。
wifiがなかなか入らない場所ゆえ、撮影は一端、中止状態に。

この若い男女は偽装パスポートを使って、トルコ国外に出ようとしていた。
パナピ監督は、彼らのその様子を撮影したいと願い出ていた。

一方、監督が滞在しているイランの小さな村では、結婚する男女が、村民に川で足を洗ってもらうという儀式が行われようとしていた。
監督からその儀式を撮影してくるように頼まれた男は、カメラ操作に慣れてないため、録画と停止を逆に操作してしまい、撮るべきではないものを撮影&録画してくる。
ここが面白くかつ大事だったんだと思うけど、私、肝心のその時の村人たちの会話をあまり覚えてない・・・たらーっ(汗)

この村には、古くから守られているしきたりがいくつもある。
代表的なのは、生まれたら、へその緒が切られる前に、結婚相手が決まっているというもの。

そのしきたりに背いて、今、まさに、駆け落ちしようとしている男女がいる。
へその緒の規則でその女性と許嫁になっていた男にとっては、たまったものじゃない。
そんな折、監督は、村のあちこちをカメラで撮っていた時に、その男女の逢瀬も撮っていたのではないか?と問い詰められる。
監督は否定するが「絶対、撮っていない」と神に宣誓するために、村の儀式に行くことになる。
その道すがら「ここは熊が出るから気をつけて」と村人に言われる。

その’熊’とは一体・・・。
村人たちを外に出させないようにするための警告?
外の情報を遮断する。実際、電波も弱いままだし。
村は、今のままの村を維持したい。ゆえに、村のしきたりに背く者は排除。

※予告編
https://youtu.be/8xrh2dTmCGg

監督は、ある時、ある事情から、深夜に車で国境まで向います。
密入国(出国)に使われる’特急便ルート’の不気味さ。
暗闇で国境を教えてもらった時の監督の反応。
移動中、村人の誰にも会わなかったはずなのに、翌日には村中に知れ渡ることに……。
「監督の車のタイヤについていた砂はこのあたりのものじゃない」

やがて描かれる2組のカップルの末路。
登場人物、誰ひとりとして、幸せにはなれない。

エンディングが秀逸。
シートベルトを促す音。そしてブレーキ。
ただ、これだけなのに、そこからの余韻が深い。
いつまでこんな状態が続くのか。国の中にいても自由はないが、外に出る自由もない。

先日、息子さんパナー・パナヒ監督の『君は行く先を知らない』を観たが、いやあ、ちょっと、やっぱり。レベルが違う。

構造が巧み。フィクションとノンフィクションの世界が交差する。
撮影自体、命がけでやっているのに、それだけで終わらず、しっかり見応えある作品に仕上げてある。
監督の魂こもった力作。凄いです。是非、劇場でご覧下さい。4つ☆
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